かつて入社試験で
作文の試験があった。
試験当日にテーマが発表されるので、
あらかじめ準備も出来ない。
出たとこ勝負だ。
学生の私は、緊張しつつ
ホワイトボードに
若い人事担当者が書く字を
じっと見つめた。
「寒い朝」
現在は、報道部でデスクを務める彼は、
そう書いて、
「寒い朝をテーマに
原稿用紙三~四枚程度に
作文を書いてください。
何のことでも良いですから。」
と、笑って言った。
「寒い朝…う~ん…」
悩む私の脳裏に
当時、単身赴任の父の姿が過ぎった。
「きっと、父は、寒い朝を迎えているに違いない。」
私は、ふと思い立ち、夢中で筆を走らせた。
「今日も寒い朝を迎えた人がいる。
それは、父だ。
父は、二年前から単身赴任で、
独り暮らしをしている。」
父は、仕事人間で
さして趣味もなく
心配だと書いた記憶がある。
あっという間に原稿が埋まって、
30分くらいで試験会場を失敬した。
テレビ局なんて受かりっこない
と思っていたから。
入社して
「君は、作文が良かったんだよ」
と言われて
ビックリした。
寒い朝…
二十年前のあの時と同じ
夫は、単身赴任。
大学生の息子も独り暮らし。
家族一緒に過ごす時間って
案外短いものだ。
みんな寒い朝を迎えてないだろうか。
作文の試験があった。
試験当日にテーマが発表されるので、
あらかじめ準備も出来ない。
出たとこ勝負だ。
学生の私は、緊張しつつ
ホワイトボードに
若い人事担当者が書く字を
じっと見つめた。
「寒い朝」
現在は、報道部でデスクを務める彼は、
そう書いて、
「寒い朝をテーマに
原稿用紙三~四枚程度に
作文を書いてください。
何のことでも良いですから。」
と、笑って言った。
「寒い朝…う~ん…」
悩む私の脳裏に
当時、単身赴任の父の姿が過ぎった。
「きっと、父は、寒い朝を迎えているに違いない。」
私は、ふと思い立ち、夢中で筆を走らせた。
「今日も寒い朝を迎えた人がいる。
それは、父だ。
父は、二年前から単身赴任で、
独り暮らしをしている。」
父は、仕事人間で
さして趣味もなく
心配だと書いた記憶がある。
あっという間に原稿が埋まって、
30分くらいで試験会場を失敬した。
テレビ局なんて受かりっこない
と思っていたから。
入社して
「君は、作文が良かったんだよ」
と言われて
ビックリした。
寒い朝…
二十年前のあの時と同じ
夫は、単身赴任。
大学生の息子も独り暮らし。
家族一緒に過ごす時間って
案外短いものだ。
みんな寒い朝を迎えてないだろうか。