自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

あれこれ。

2017年05月02日 12時43分47秒 | チャリダー★


春はいつも、猛スピードで過ぎ去ってしまう。


猛スピードで過ぎ去るのだけれど、
振り向くと濃厚な時間の積層がある。


今年も、新しいチャレンジを始めました。
これまでは番組にいただいたお便りに
ほとんどお応えできない状況でしたが、
これをなんとかできないかと。
スタッフと出演者のできるかぎり、
全国を飛び回ってみようと思って、
まずは私が行動してみました。





番組のフォーマットを決めるため、
最初の一本目は私が担当するのですが、
4月は結構ムリをした。
四国へひとりでロケに行き、
群馬のレースもひとりで行った。
なんとか少人数でイベントを撮影し、番組に仕立てる方法を探りたい。
そして、プロのロードレースを撮れるチームを作りたい。
申し訳ないが、日本のロードレース映像は
ジロやツールには遥か及ばない。
選手が世界を目指すなら、撮影チームだって世界を目指すべきだ。


てなわけで、群馬のレース会場へ。
モトバイクに乗せてもらうと、分かることがたくさんある。
まずは、走る選手たちの美しさ。
自転車からの機械音が合唱する。
人とは、これほどまでに美しいのか。
モトバイクから見るロードレースは、これほどまでに美しいのに、
私はそれを知らなかった。
これを伝えるのが、私の仕事だ。


しかし同時に、ハードルの高さも味わった。
まず、日本のレースでは普段はムービーを撮らないため、
ムービーカメラマンの地位が低い。
写真カメラマンが来たら、退かねばならないし、
コミッセールカーはムービーバイクを優先してくれることなんて
ほとんどない。


さらに、モトバイクの運転手が
映像撮影に慣れていない。
どう走ればどんな映像が撮れるのか、
想像できないようだ。


残念ながらこのレース、
まともに撮影できたのは3時間のレース中、10分ぐらい。
最低限の展開はお伝えできるだろうけど、
私が撮りたかったシーンはまったく撮れなかった。


もちろん、自転車は「空力」が影響するレースだから、
前方からの映像はほとんど撮れないなど、
モトバイクの位置取りは自由とはいかない。
しかし、それでももう少し撮れるチャンスはあった。



これは、なんとかしなければ、
撮影したい大一番で手をこまねくことになりかねない。





あのレースを撮るには、何をすれば良いのか。
ムービーカメラマンの地位を上げるには?
…そんなことを悶々と考えながら、
レース後、ひとりで上州名物のカツ丼屋さんへ。
こんな時は、肉がいい。

ふと見ると、前のテーブルでおっちゃんが
ビールをすすりながら、大声で携帯にがなりたてている。
どうやら何かの愚痴をしゃべっているようだ。
「だっからよぉ〜、おめぇ、てけてけってなもんでよぉ〜…」

ほとんど何を言ってるのかわかりません。
こんな愚痴、よく聞いてくれる人がいるもんだ。
おっちゃんの愚痴は延々と続く。
私は楽しくなってきた。これぞ日本の田舎の姿。
すると、突然おっちゃんが「あ、はい」と言って
スパッと携帯をしまった。

すごい!
今まで大声でがなっていたのに、
一瞬で、盛り上がっていた電話が終わってしまった。



電話の向こうで愚痴を聞いてたどなたか。
何を言ったら、あんなに見事に愚痴を終わらせられるのか、
ぜひとも教えていただきたい。