◎ワールド・ウォーZ(2013年 アメリカ、イギリス 116分)
原題 World War Z
staff 原作/マックス・ブルックス『WORLD WAR Z』
監督/マーク・フォースター
原案/マシュー・マイケル・カーナハン J・マイケル・ストラジンスキー
脚本/マシュー・マイケル・カーナハン ドリュー・ゴダード デイモン・リンデロフ
製作/ブラッド・ピット デデ・ガードナー ジェレミー・クライナー イアン・ブライス
撮影/ロバート・リチャードソン 美術/ナイジェル・フェルプス
衣裳デザイン/メイズ・C・ルベオ 音楽/マルコ・ベルトラミ
cast ブラッド・ピット ダニエラ・ケルテス モーリッツ・ブライプトロイ
◎ゾンビ・ブラピ版
おもってみれば、ゾンビ映画を初めて観たのは高校生のときだった。
といっても『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』じゃなくて、
同監督ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』だった。
このふたつに『死霊のえじき』を加えたものがロメロのゾンビ3部作になるんだけど、
そんな解説めいたことはどうでもいいよね。
でも、おそろしいもので、
もともとコンゴ出身の奴隷たちの信仰してた神ンザンビ(Nzambi)が、
ハイチとかを経てアメリカに入ってきたものがゾンビ(Zombie)になって、
それが映画で扱われたことで、もう世界中の誰もが知る存在になり、
ついにはブラピまでもが主演する映画のモチーフになっちゃったんだから、
いやまったくたいしたもんだ。
ただ、ぼくは活字がダメだからたぶん原作は読まないんだろうけど、
どうやら、原作では日本も舞台のひとつになって、
かなり大掛かりな仕掛けになってるらしい。
ふつうはこれで「ふ~ん」とおもうだけなんだけど、ちょっぴり読みたい。
ていうのも、映画はあくまでも独立したアクション大作で、
原作とはかなり濃度が違ってるみたいだからだ。
ま、それはそれとして、
台湾で発生した新種の狂犬病ウィルスによって世界が死滅するのを、
新たなワクチンをWHO細菌研究所が開発していくまでも簡単な粗筋なんだけど、
やっぱり映画ってのは細かい説明や設定はかっ飛ばしても、
どんどんと話を展開させていかないといけないんだよっていう見本みたいな映画だった。
ハリウッド映画らしく離れ離れになった家族との再会がメインに置かれてるけど、
それじゃあ色気もないわけで、イスラエル国防軍の女性兵士がちょっと色を添えてる。
このアーミーカットの女性兵ダニエラ・ケルテスが好いんだわ。
色恋にならないのが、さっぱりしててまたいい。
ただ、飛行機事故で1匹のゾンビのほかには、かれらしか生還できないってのは、
ちょっと都合が良すぎるだろとはおもうものの、尺ってもんがあるからね。
でも、そんな突っ込みはさておき、軍隊蟻のようなゾンビのCGは凄かった。
生きてる死体があんな敏捷に動くんかいってくらいの壮絶さで、
これはまじにたいしたもんだった。
すこしばかり『トゥモロー・ワールド』や、
『28日後』あるいは『地球最後の男』とかいった匂いもあったけど、
こればかりはこういう世界を描いたパニック大作なんだから、仕方ないね。