Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE341. 惣門

2012年05月05日 | Kyoto city
 街を歩いていると道を横切るように、まれに惣門に出会うことがある。惣門とは街道筋に設けられた番所の名残であり当時の往来を監察していた。道が時には門が閉じられて通行が出来なくなり、都への行き来が制限されるというのは、現代の感覚からすれば信じがたいことである。
 中世ヨーロッパの囲郭型の都市などは、もっと明確に塀と門があり、都市の内と外とは明確に区分されていた。都市とはそれ以外の地域とは明確に区分しうるところ、そんな往事の考え方を感じさせてくれる。
 江戸時代であるにせよ中世ヨーロッパであるにせよ、都市が防衛上の拠点として機能していたからだろう。
 現代では都市が防衛上の役割を果たすことはなく、都市とそれ以外の境界はなく、次第に屋並みがまばらになってくれば都市の終わりあたりだろうという認識である。いやダラダラと隣の都市に続く場合もあるだろう。それだけ都市の境界というのは曖昧である。
 しかし現代でも、例えば放射能汚染地区などと指定されたり、伝染病が広がれば、たちどころに道路に検問所が設けられ都市への往来が制限されることになる。
 だから都市とは、常に行き来を制限される可能性をもった存在なのである。

岡崎,2012年4月27日
OLYMPUS PEN E-P3,LEICA DG MACRO-ELEMARIT45mm,f2.8
ISO200,露出補正-1/3,f5,1/320,モノトーン
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