広島県福山市鞆地区へ視察に出かけた。ここは今、都市計画家や建築家ならばだれでも知っている答えのでない大変大問題を抱えているところである。
それは、調度左側のフェリーが停泊しているあたりから右側へ、港の真ん中を横切る道路橋を架ける計画が広島県によって進められようとしている。地区内の狭隘な道を通らないために交通渋滞解消を目的とし、交互通行の道路橋、しかも橋の下をフェリーが通過できるように中間部は高く持ち上げられる形態で計画されている。
これに対して、歴史や景観分野の学識経験者の立場からは、港を二分する道路橋の建設は景観上からみて建設反対を主張している。これに地元住民を巻き込み、これまで建設促進派と建設反対派とが入り乱れ、選挙で市長が替わるたびに大きな議論を巻き起こしつながら、意見が二転三転しているところである。
鞆の浦は、伝統的建造物群保存地区に指定するには、古い良好な保存状態の建物が少なく、また集積度も低い。だが、江戸時代の港湾施設である「常夜灯」、「雁木」、「波止場」、「焚場」、「船番所」が全て揃って残っているのは全国でも鞆港のみである。このような状況で議論は、真っ向から互角にぶつかり合い、二項目対立の議論は結論が出ず、袋小路にはまり込んだ感がある。
私は、橋の経済性という点から考える必要があると思われる。鞆の浦地区の先にある集落人口が減少しているために、将来橋が必要になるのだろうか、単なる交通渋滞解消のためだけに今大がかりな土木工事が必要だろうかといった点である。むしろ鞆の浦の港の部分は、フェリーでつなげはよいとする代案もあるだろう。その程度の交通量である。
こう考えれば良好な港湾景観を壊してまで、経済的負担の大きい道路橋を建設する理由が見あたらないのではないだろうか。
鞆の浦,2012年5月18日
OLYMPUS PEN E-PM1,M ZUIKO DIGITAL12mm/f2.0
ISO200,露出補正-1/3,f8.1/1000モノトーン
それは、調度左側のフェリーが停泊しているあたりから右側へ、港の真ん中を横切る道路橋を架ける計画が広島県によって進められようとしている。地区内の狭隘な道を通らないために交通渋滞解消を目的とし、交互通行の道路橋、しかも橋の下をフェリーが通過できるように中間部は高く持ち上げられる形態で計画されている。
これに対して、歴史や景観分野の学識経験者の立場からは、港を二分する道路橋の建設は景観上からみて建設反対を主張している。これに地元住民を巻き込み、これまで建設促進派と建設反対派とが入り乱れ、選挙で市長が替わるたびに大きな議論を巻き起こしつながら、意見が二転三転しているところである。
鞆の浦は、伝統的建造物群保存地区に指定するには、古い良好な保存状態の建物が少なく、また集積度も低い。だが、江戸時代の港湾施設である「常夜灯」、「雁木」、「波止場」、「焚場」、「船番所」が全て揃って残っているのは全国でも鞆港のみである。このような状況で議論は、真っ向から互角にぶつかり合い、二項目対立の議論は結論が出ず、袋小路にはまり込んだ感がある。
私は、橋の経済性という点から考える必要があると思われる。鞆の浦地区の先にある集落人口が減少しているために、将来橋が必要になるのだろうか、単なる交通渋滞解消のためだけに今大がかりな土木工事が必要だろうかといった点である。むしろ鞆の浦の港の部分は、フェリーでつなげはよいとする代案もあるだろう。その程度の交通量である。
こう考えれば良好な港湾景観を壊してまで、経済的負担の大きい道路橋を建設する理由が見あたらないのではないだろうか。
鞆の浦,2012年5月18日
OLYMPUS PEN E-PM1,M ZUIKO DIGITAL12mm/f2.0
ISO200,露出補正-1/3,f8.1/1000モノトーン