6月5日ブログ「ドローイング741.小説:小樽の翠653.ツカモッチャン先生と裸の王様論」の人体のイラストの制作過程を映像化しました。
絵画では、人体を描くときに体の芸用解剖学の知識が必要になります。解剖学は、古代ギリシャからあったと私は記憶していますが、ルネッサンスの頃にレオナルド・ダ・ビンチが解剖学のノートを残しています。トップ画像は、その一部です。
今は科学の時代ですから、こうした古書をあさる必要は無く、十分説明された解剖図が数多くあります。
出典の蘊蓄はおいといて、デッサンを描く場合に見えてくる人体の表層の筋肉に関する知識は必要です。多くの人体に筋肉が見えるわけではありませんし、まして女性の人体ですと脂肪で筋肉が目起つということは少ない場合もあります。だからといって無視して良い知識ではなく、やはり勉強した上で人体を描くというのが絵画のセオリーです。
映像ではクロッキー帳から人体をコピーし、実際よりははるかに筋肉質的な描き方をしました。こんなモデルさんはいませんが、デッサンとしてみれば勉強しましたというところでしょうか。
こうした人体を勉強する以上、全て描くというのが原則です。なかには性器を書くのが恥ずかしいと躊躇する人もいますが、モデルさんは剃毛してまでモデルになって全部あらわそうとしているのですから、描かないとモデルさんに対して失礼にあたります。それにダ・ビンチの解剖学には男女のセックスをしているときの断面図も描かれていたと聞きます。
こうした人体で美しいのは、やはりギリシャ彫刻でしょう。それはデッサンを学ぶ人達の必須モチーフです。筋肉的に美しいのはラオコーン像ですが、個人的にはマルス像が格好良い。筋肉質でありながら知性的な顔立ちは、男の理想型をあわわしています。こちらはマルスほどの肉体美ではないにしても、健康な身体と知性的な考え方の両方が備わっていること、それが男の目指すべきライフスタイルといってもよいでしょう。
画像出典:マーティン・クレイトン , ロン・フィロ、 共著:森田義之, 小林もり子 訳:レオナルド・ダ・ヴィンチの「解剖手稿A」 人体の秘密にメスを入れた天才のデッサン、グラフィック社、2018年.
ドローイング・人体と解剖学no749