ピアノを弾かない人でも知っている名曲「乙女の祈り」を作曲したテクラ・バダジェフスカ、ディスコでは今でもかかる定番ナンバー「天使のささやき」で知られる黒人女性3人組ユニット、スリー・ディグリーズ、毎年夏にやってきて全国を回るテケテケオジサンのベンチャーズ、さて共通点は何だろう。日本ではその分野をかじった人なら知らない人はいないくらい有名だが、本国では全く知られていないという。
ソニー・クラークもそんなひとりだ。ジャズを普段聴かない人でも、「クール・ストラッティン」の脚ジャケットには見覚えがあるほど有名なピアニストだが、本国では無名に近い。ブルーノートのハウスピアニスト的存在で多くのアルバムに参加しているので、人気があるように見えるが、これはジャズ専門のマイナーレーベルのお家の事情による。アルフレッド・ライオンは短期間にカタログ数を持ちたかったため、ギャラの安い無名のミュージシャンを登用し、集中的にレコーディングすることで財政難を切り抜けた。無名とはいえ実力のあるクラークなら多くのセッションを重ねることでいずれ人気が出るだろうという思惑もあったのだろうが、本国では評価されないままその31歳の短い生涯を終えている。
中古レコード店の永久在庫になりそうなデザインのジャケットは、80年当時キングレコードが編集したアルバムで、鍵盤ジャケットの別テイク3曲と、シングル盤で発売された6曲で構成されたものだ。別テイク3曲は世界に先駆けて日本で発表された貴重なものであり、クラークとポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズの三位一体によるトリオ演奏は躍動感にあふれ、本テイクと比べても全く遜色がない。クラークのピアノを「後ろ髪引かれるような」と形容したのは、評論家のレナード・フェーザーだが、まさにバック・ビートを強調したプレイはブルージーこのうえなく、このブルージーさが演歌という土壌を生まれながにして持っている日本人の琴線を揺さぶるのだろう。
58年の「クール・ストラッティン」はセールス不振で、61年の「Leapin’ And Lopin’」までの3年間が空白になっている。そのアメリカでは売れない「クール・ストラッティン」が、日本から大量注文がきてライオンは驚いたという。本国で売れることが人気につながりそれが勿論一番なのだろうが、本国では無名でも外国で評価され人気があるのは、ある意味本国で売れる以上に格好がいい。家庭では相手にされなくとも、外では少しばかり人気あるのが格好いいオヤジだと、小さな世界に自分を重ねてみる。
ソニー・クラークもそんなひとりだ。ジャズを普段聴かない人でも、「クール・ストラッティン」の脚ジャケットには見覚えがあるほど有名なピアニストだが、本国では無名に近い。ブルーノートのハウスピアニスト的存在で多くのアルバムに参加しているので、人気があるように見えるが、これはジャズ専門のマイナーレーベルのお家の事情による。アルフレッド・ライオンは短期間にカタログ数を持ちたかったため、ギャラの安い無名のミュージシャンを登用し、集中的にレコーディングすることで財政難を切り抜けた。無名とはいえ実力のあるクラークなら多くのセッションを重ねることでいずれ人気が出るだろうという思惑もあったのだろうが、本国では評価されないままその31歳の短い生涯を終えている。
中古レコード店の永久在庫になりそうなデザインのジャケットは、80年当時キングレコードが編集したアルバムで、鍵盤ジャケットの別テイク3曲と、シングル盤で発売された6曲で構成されたものだ。別テイク3曲は世界に先駆けて日本で発表された貴重なものであり、クラークとポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズの三位一体によるトリオ演奏は躍動感にあふれ、本テイクと比べても全く遜色がない。クラークのピアノを「後ろ髪引かれるような」と形容したのは、評論家のレナード・フェーザーだが、まさにバック・ビートを強調したプレイはブルージーこのうえなく、このブルージーさが演歌という土壌を生まれながにして持っている日本人の琴線を揺さぶるのだろう。
58年の「クール・ストラッティン」はセールス不振で、61年の「Leapin’ And Lopin’」までの3年間が空白になっている。そのアメリカでは売れない「クール・ストラッティン」が、日本から大量注文がきてライオンは驚いたという。本国で売れることが人気につながりそれが勿論一番なのだろうが、本国では無名でも外国で評価され人気があるのは、ある意味本国で売れる以上に格好がいい。家庭では相手にされなくとも、外では少しばかり人気あるのが格好いいオヤジだと、小さな世界に自分を重ねてみる。
アップが遅れまして申し訳ございません。ソニー・クラークは短い生涯ながら、多くのセッションに起用され、サイド作品を含めると70枚以上のアルバムがあります。今週はリーダー作、サイド作含めてお好みの作品をお寄せください。
管理人 Sonny Clark Best 3
Sonny Clark Trio (Blue Note)
Cool Struttin' (Blue Note)
Sonny Clark Trio (Time)
リーダー作は少ないながらどれも素晴らしい内容ですので、何が挙げられるのか楽しみです。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
SONNY CLARK TRIO (BLUE NOTE)
JOHN JENKINS WITH KENNY BURRELL (BLUE NOTE)
リーダー作2枚はクラークのソロがふんだんに聴けるのでやはり外せませんね。いままで聴いた回数も順位通りになるかと思います。ホーン入りが好きなので『TRIO』は少し分が悪かったのですが、個人的にはやはり「朝日~」あってのソニ・クラですし、最近少し聴き込んだこともあります。
サイド作もOKということで、ここは一枚登場願いました。
どの作品も当たり外れなくいいのですが、バレルのブルージーなギターとクラークのピアノもよくマッチし、ジェンキンスの哀感アルトがたっぷり楽しめるBLUE NOTE愛聴盤の一枚です。
ソニー・クラークと言えば、duke様が挙げられたブルーノートのトリオとクール・ストラッティンは外せない2枚ですね。
と言うわけで、お気に入りは
ブルーノートの「ソニー・クラーク・トリオ」
朝日・・・と四月・・・が昔から大好きだ!
「クール・ストラッティン」
ジャケット、メンバー、演奏、全てがゴキゲン!
CDに収録されているロイヤル・フラッシュとラヴァーが意外と良い!
「ソニーズ・クリブ」
バード、フラー、トレーンの3管とクラークの相性が良い!
このメンバーで活動を続けてほしかった!
本題とは関係ない話ですが、ジャズ鑑賞会の準備でMJQのジャンゴとコンコルドを聴きすぎて頭が痛くなりました。
しかもこのところ、パーカー、パウエル、ナヴァロが共演した50年のバードランドのライヴ盤の狂気が見え隠れするパウエルを聴いているので、頭の中が爆発寸前です。
皆様、ジャズの聴きすぎとヱビスの飲みすぎには注意しましょう!(笑)
聴いた回数では私もクール・ストラッティンがトップです。鍵盤ジャケは先だって bob さんも話題にされておりましたが、トリオだけに最もクラークの特徴が出ており好きなアルバムです。「朝日~」のあの爽やかではない粘っこいフレーズには引きずられます。
ジェンキンスの唯一のリーダー・アルバムが挙がりましたか。ジェンキンスも悪くはありませんが、マクリーンとバトルを展開したアルト・マドネスの迫力はありませんね。クラークとバレルは申し分ありませんし、クラークやバレルのリーダー名義でもおかしくない内容です。バレルの「Blues for Two」は好きな演奏ですが、この場合「Two」は誰と誰でしょうね。(笑)
外せない2枚のどちらがトップに立つのか今週は週末まで予想がつきませんが、どちらも編成が違うだけに難しい判断ですね。
ソニーズ・クリブも随分聴きました。フラーが入っているだけに3管も厚みがあります。3管の熱気でクラークもクラクラしたとか。(笑)
>皆様、ジャズの聴きすぎとヱビスの飲みすぎには注意しましょう!
私の場合、誰も注意してくれません。無駄なことを悟ったようです。(笑)
ソニー・クラークは、ファンの方から叱られるのを
承知で書きますと、上手い下手で言えば、同世代の
ケニードリュー、フラナガン、ブライアント、フィニアスらと
比較して、決して上手い方ではないですね。
絶頂期でさえ、高速のフレーズでは指のもつれが目立ちます。
しかしながら、圧倒的なテクを誇るフィニアスなどに
比べてわが国では人気が高いのは何故か?
私はこれは、日本人特有の判官びいきがあるのでは?
と思ったのですが、ある人に
「違うな。上手いとか下手とか関係なく、ジャズを
こよなく愛してるのがわかるから、人気があるのよ。」
と言われ、なるほど一理あるな、と目から鱗でした。
リーダー作ベスト3は、管理人さんの3枚で決まりでしょう。
私は、個人的には
「Bennie Green Swings The Bues」での
豪快なグリーンのボントロの後ろで、うねうねと
動き回るクラークのバッキングが、大好きです。
ご指摘のように同世代のピアニストに比べるとテクは抜群とはいえませんが、それでもなお心を揺さぶるのは記事に書いたように演歌的な歌いと、韻を踏む「間」に似たタイム感覚があるからでしょう。テクだけでは語ることができないジャズの奥深さや愉しみを、クラークの饒舌ではないピアノを聴くたび思います。
集中してレコーディングに臨んだ絶頂期は、既に相当に麻薬に侵されながらも気魄の籠った演奏をしております。たとえその仕事が麻薬を買う金欲しさのためであっても、そのとき持ちえる全てを出していることも日本での人気につながっているのかもしれません。
ベニー・グリーンとは何度も共演しており、「Bennie Green Swings The Bues」も阿吽の呼吸です。クラークのブルージーなピアノとグリーンのワンノートソロ、それに縦横無尽なジミー・フォレスト、ともに本国では高く評価されているわけではありませんが、日本人なら引き込まれる演奏ですね。
>リーダー作ベスト3は、管理人さんの3枚で決まりでしょう。
久しぶりに意見が合いましたね。タイム盤は全曲オリジナルのため、ことスタンダードに拘る日本では人気がありませんが、ベストに入れたい作品です。とは言ってもオリジナル盤を買う勇気はありません。(笑)
内容、ジャケットと合わせて一番好きです。
Cool Struttin'の出だしの管楽器のハーモニーのメロディラインが良いですね。
ワクワクします。それに続くソニー・クラークのコロコロとした感じのピアノが良いです。
Sonny Clark Trio(BN)では、ソニーのブルージーなピアノがたっぷと堪能できるので、これも好きです。
ビバップの曲Be-Bopの熱い演奏が良いですね。入魂の演奏という感じがします。
それからSoftly, As In a Morning Sunriseも好きです。
そして、もうひとつのSonny Clark Trioも捨てがたいです。
こちらの方がドラムの存在感が強く感じられますが、マックス・ローチですから、それもそのはずですね。タイムの方が落ち着いた感じの音のようなきがするのですが・・・。
1.Cool Struttin' (BN)
2.Sonny Clark Trio (BN)
3.Sonny Clark Trio (TIME)
クール・ストラッティンがトップにきましたね。アメリカでは人気のないアルバムが日本でこれほど愛されるのは、ジャズ喫茶があったからでしょう。ジャズ喫茶という空間は深く頭を落として考える場所でもあったわけですが、イントロのハーモニーを聴くだけで初めて耳にする人はジャケを必ず見ます。そこでパスカルのように、「人間は考える脚である」と悟るわけであります。(笑)
ブルーノートのトリオは Be-Bop がトップを飾るに相応しい演奏ですし、何かとケリーと比較される Softly が聴きものです。この曲のピアノ両横綱も話題にしたいネタです。
タイム盤は泣くクラークと、歌うローチ、それに自分のソロだけはキッチリ決めるベースの輪が見事です。ベーシストの名前は聞かないでください。未だに舌を噛んでも正確に発音できません。(笑)
最近、ソニー・クラークを聴くとなんだか幼なじみと会ったような気分になります。年をとったせいでしょうか(笑)。ジャズ喫茶や自分の部屋でよく聴いていました。タッチだけですぐわかりますね。
①Sonny Clark Trio (Blue Note)
②Cool Struttin' (Blue Note)
③Dial 'S' For Sonny (Blue Note)
③のタイトルは、A・ヒッチコックの映画「ダイヤルMを廻せ!」(1954年公開)をいただいていると想像をめぐらせています。また①、②のジャケットといい彼のアルバムは印象に残ります。
リーダー・アルバムでは、タイム盤はもちろんSonny's CribやLeapin' and Lopin'も忘れられないです。