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さて、このバーニー・ケッセルの「On Fire」を見て何を思われただろうか。「長年探し歩いているが、一度もエサ箱で見たことがない」、「ようやく見付けたが、手の出るようなki金額ではなかった」、「大枚を叩いて買った」とコレクター諸氏は仰るかもしれない。1974年にSJ社から発売された「幻の名盤読本」に掲載されているレコードだ。今ではCDで簡単に聴けるが、当時は珍しい1枚だった。
チープなジャケットで、同書で紹介されなければ中古レコード店の正面に飾られていたところで誰も見向きもしないが、演奏内容が素晴らしいことと、Emerald という超マイナー・レーベルの希少性から注目を浴びることになる。このレーベルの親会社はビートルズのプロデュースで知られるフィル・スペクターが興したフィレス・レコードで、Emeraldのジャズレコードはこれ1枚というのもコレクターの蒐集欲を煽る一因だった。数あるケッセルのアルバムでも5本の指に入るほどの内容で、これがもしコンテンポラリーからジャズの香りがするカヴァーで出ていたならケッセルの評価も人気ももっと上がっていたと思う。
1965年にハリウッドのジャズクラブ「PJ’S」でライブ録音されたもので、ジェリー・シェフのベースとドラムのフランキー・キャップのサポートを得て活き活きとしたソロを聴かせる。テクニックを駆使した「Slow Burn」で始まり、「いそしぎ」や「リカード・ボサノバ」というライブ定番のポピュラーな曲をはさみ、次は味わい深いメロディの「Who Can I Turn To」をじっくり聴かせる。そしてラテンタッチの「One Mint Julep」でしめるというプログラムだ。「PJ’S」にレギュラー出演しているラテンジャズ・ピアニスト、エディ・カノのリスナーに配慮した選曲は心憎い。
このレコードが復刻されたのは80年代の初めで、それはそれは酷い音だった。米盤なら所謂、風邪ひき盤と呼ばれるプレスミスも珍しくないが、徹底した品質管理の日本で新品のレコードからノイズが出ることなどあり得ない。マスターテープが行方不明でディスクからダビングしたことによるものだが、買ったばかりのレコードを返品する騒ぎもあったという。購入者は烈火のごとく怒ったとか。「On Fire」だけに。
チープなジャケットで、同書で紹介されなければ中古レコード店の正面に飾られていたところで誰も見向きもしないが、演奏内容が素晴らしいことと、Emerald という超マイナー・レーベルの希少性から注目を浴びることになる。このレーベルの親会社はビートルズのプロデュースで知られるフィル・スペクターが興したフィレス・レコードで、Emeraldのジャズレコードはこれ1枚というのもコレクターの蒐集欲を煽る一因だった。数あるケッセルのアルバムでも5本の指に入るほどの内容で、これがもしコンテンポラリーからジャズの香りがするカヴァーで出ていたならケッセルの評価も人気ももっと上がっていたと思う。
1965年にハリウッドのジャズクラブ「PJ’S」でライブ録音されたもので、ジェリー・シェフのベースとドラムのフランキー・キャップのサポートを得て活き活きとしたソロを聴かせる。テクニックを駆使した「Slow Burn」で始まり、「いそしぎ」や「リカード・ボサノバ」というライブ定番のポピュラーな曲をはさみ、次は味わい深いメロディの「Who Can I Turn To」をじっくり聴かせる。そしてラテンタッチの「One Mint Julep」でしめるというプログラムだ。「PJ’S」にレギュラー出演しているラテンジャズ・ピアニスト、エディ・カノのリスナーに配慮した選曲は心憎い。
このレコードが復刻されたのは80年代の初めで、それはそれは酷い音だった。米盤なら所謂、風邪ひき盤と呼ばれるプレスミスも珍しくないが、徹底した品質管理の日本で新品のレコードからノイズが出ることなどあり得ない。マスターテープが行方不明でディスクからダビングしたことによるものだが、買ったばかりのレコードを返品する騒ぎもあったという。購入者は烈火のごとく怒ったとか。「On Fire」だけに。
「フー・キャン・アイ・ターン・トゥ」は、1964年のイギリスのミュージカル「ドーランの叫び 観客の匂い」の挿入歌で、アメリカへはトニー・ベネットの歌で紹介されました。メロディが美しいことからインストでも取り上げられる曲です。今週はインストでお気に入りをお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 Who Can I Turn To Best 3
Bill Evans / At Town Hall (Verve)
Dexter Gordon / Gettin' Around (Blue Note)
Barney Kessel / On Fire (Emerald)
他にもブッカー・リトルをはじめソニー・スティット、バンキー・グリーン、オスカー・ピーターソン、レッド・ガーランド、ピム・ヤコブ、アール・クルー等々、多くの名演があります。
話題にしたケッセルの「On Fire」は、CDで出ておりますが、こちらは音質に問題ありません。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Bill Evans Trio - Who Can I Turn To? - 19 Mar 65 (8 of 11)
https://www.youtube.com/watch?v=64T0GjbKBdw
ピアノに向かう姿を見るだけでもありがたい。
少し差が付きましたので余裕です(笑)
柳田のトリプルスリーを期待します。
この曲は64年と新しい?ので手持ちは2枚しかありません。
どちらも素晴らしいと思います。
Dexter Gordon / Gettin' Around (Blue Note)
これが一番です、これオルフェの次なんですが、こちらの方が好きかも知れないです。
デックスはこんな曲は上手いですね~ほんと!
Bill Evans / At Town Hall (Verve)
これもまた素晴らしいと思います。 チャック・イズリーズも良いベースですよね。
魅力的なメロディの曲ですが、最後の方は高くて難しい歌ですね。エヴァンスの変奏をとるか、ゴードンのバラードプレイにするかで迷いましたが、
①Bill Evans / At Town Hall (Verve)
②Dexter Gordon / Gettin' Around (Blue Note)
③The Richard Glaser Trio Meets "The Legend" Clarence Webb (richardglasermusic )
結局、ビル・エヴァンスを上にもってきました。③は、クラレンス・ウェブ(ts)がデクスター・ゴードンばりの演奏をしていますが、ピアノ、ベースのソロも入り、①と②の中間な感じです。このアルバムには、「The Good Life」も入っていて、目下お気に入りです。
「On Fire」は、昔からの愛聴盤です。LPの音質の悪さはどうしようもありませんが、大きめのジャケットで慣れているので、手放す気になれません(笑)。
早々とクライマックスシリーズに照準を合わせました(笑)パリーグのファンとして柳田のトリプルスリーは応援しております。
デックスがトップにきましたか。自転車泥棒といえばオルフェですが、この曲もいい味を出しております。ボビハチにバリー・ハリス、ボブ・クランショウ、ビリー・ヒギンス、この当時最強のブルーノートメンバーですので悪かろうわけはありませんね。
そしてエヴァンス、私が最初にこの曲を聴いたのはこのレコードでした。その頃、高校生でしたが、ライナーにはビル・エバンス、チャック・イスラエルと書かれておりました。いつの間にかエバンスはエヴァンス、イスラエルはイズリーズになりました。発音に近い表記がされるべきなのでしょうが、カタカナ英語で覚えた名前は変えられると違和感がありますね。レーガンとは俺のことかとリーガン言い、そんな川柳もありました。
エヴァンスかデックスで悩む曲ですね。耽美なメロディに浸りたいときは前者、琴線を太く揺らしたいときは後者でしょうか。
クラレンス・ウェブがありましたか。貴サイトで話題にされておりましたので聴きましたが、年輪を感じさせる深い音にグッときました。ジャズ人名辞典に載っていないプレイヤーでも凄い人がいるものです。
音の悪い「On Fire」をお持ちでしたか。SP音源でしたらこの程度のノイズはままありますが、LPでは珍しいですね。SJゴールドディスクですので今となってはありがたいレコードです(笑)
Who Can I Turn To Best 3
Bill Evans / At Town Hall (Verve)
Dexter Gordon / Gettin' Around (Blue Note)
Barney Kessel / On Fire (Emerald)
2大名演は決定的でした。ピアノとホーンのお手本となる演奏です。
今宵はお気に入りのフー・キャン・アイ・ターン・トゥをお楽しみください。