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シナトラやハリー・ベラフォンテの伝記の著者でジャズ評論家としても著名なアーノルド・ショーが書いた「The Jazz Age: Popular Music in the 1920's」は、禁酒法やギャングを背景にジャズが花開く狂乱の20年代を描いている。この時代を題材にした小説や論文に度々引用されるほど洞察力は鋭い。その中に演劇評論家のアラン・デールが新聞に寄稿した音楽評が紹介されている。「この曲が世界中でヒットしなかったら私は帽子を食ってみせよう」と。
その曲とはコーラスの頭の歌詞をタイトルにした「Sometimes I'm Happy」だ。ヴィンセント・ユーマンスが1925年に作った曲で、当初オスカー・ハーマン二世が作詞したものの紆余曲折あり、アーヴィング・シーザーが書いた詞で現在歌われている。27年のフランクリン・バウアを皮切りにルイーズ・グルーディとチャールズ・キングのデュオ、ベニー・グッドマン、サミー・ケイ等々、ヒットチャートの上位を飾っているので、世界中とまではいかないもののアメリカではヒットしたことになる。どんなテンポでもいける曲で、90年経った今でも歌い継がれている大スタンダードだ。
名唱はいとまがないが、一番ジャージーなものといえばサラ・ヴォーンのチヴォリ・ガーデンのライブ盤を挙げたい。ミスター・ケリーズ、ロンドン・ハウスと並ぶサラがマーキューリーに残したライブ傑作である。この63年のチヴォリでは、放送禁止になりそうな「Misty」で有名だが、この曲も凄い。超アップテンポでメロディをくずして1コーラス終えると、今度はスキャットだ。今更サラのテクニック云々は失礼だが、常人がいくら練習したところで絶対に追いつけない域で、ジャズヴォーカルの神が降りてきたとしかいいようがない。そのスキャットにはユーモアもウィットもインテリジェンスもある。
「帽子を食べる(eat my hat)」とは、「絶対にない」という慣用的な言い回しだが、もしヒットしなかったらアランはどうしただろう。普段から辛辣な批評をしているアランのこと、酷評された俳優や脚本家から詰め寄られることもある。機知に富んだ文章を書くアランならハットに乗せたポークパイを食べたかもしれない。人を食った話だと翌日の新聞を賑わしすことだろう。
その曲とはコーラスの頭の歌詞をタイトルにした「Sometimes I'm Happy」だ。ヴィンセント・ユーマンスが1925年に作った曲で、当初オスカー・ハーマン二世が作詞したものの紆余曲折あり、アーヴィング・シーザーが書いた詞で現在歌われている。27年のフランクリン・バウアを皮切りにルイーズ・グルーディとチャールズ・キングのデュオ、ベニー・グッドマン、サミー・ケイ等々、ヒットチャートの上位を飾っているので、世界中とまではいかないもののアメリカではヒットしたことになる。どんなテンポでもいける曲で、90年経った今でも歌い継がれている大スタンダードだ。
名唱はいとまがないが、一番ジャージーなものといえばサラ・ヴォーンのチヴォリ・ガーデンのライブ盤を挙げたい。ミスター・ケリーズ、ロンドン・ハウスと並ぶサラがマーキューリーに残したライブ傑作である。この63年のチヴォリでは、放送禁止になりそうな「Misty」で有名だが、この曲も凄い。超アップテンポでメロディをくずして1コーラス終えると、今度はスキャットだ。今更サラのテクニック云々は失礼だが、常人がいくら練習したところで絶対に追いつけない域で、ジャズヴォーカルの神が降りてきたとしかいいようがない。そのスキャットにはユーモアもウィットもインテリジェンスもある。
「帽子を食べる(eat my hat)」とは、「絶対にない」という慣用的な言い回しだが、もしヒットしなかったらアランはどうしただろう。普段から辛辣な批評をしているアランのこと、酷評された俳優や脚本家から詰め寄られることもある。機知に富んだ文章を書くアランならハットに乗せたポークパイを食べたかもしれない。人を食った話だと翌日の新聞を賑わしすことだろう。
♪幸せなときもあるし、落ち込むときもある・・・という歌詞の「サムタイムズ・アイム・ハッピー」は今でも歌われている愛すべきナンバーです。今週はこの曲のお気に入りをヴォーカルでお寄せください。インストは機を改めて話題にします。
管理人 Sometimes I'm Happy Vocal Best 3
Carmen McRae / By Special Request (Decca)
Sarah Vaughn / Sassy Swings the Tivoli (Mercury)
Beverly Kelly / Sings (Audio Fidelity)
サラ・ヴォーンはこの曲がお気に入りのようでして、ミスター・ケリーズや、「In The Land Of Hi-Fi」でも取り上げております。
他にもドリス・デイをはじめジョー・スタッフォード、ダイナ・ワシントン、ロレツ・アレクサンドリア、ビリー・ホリデイ、ナット・キング・コール、日本で録音したジョニー・ハートマン、津軽弁で歌った伊藤君子等々、多くの名唱があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Nat King Cole "Sometimes I'm Happy" 1957 Nat King Cole Show
https://www.youtube.com/watch?v=CtPeknt0mBA
カメラ視線が自然です
1. The Rockin' Chair Lady / Mildred Bailey
とても古臭い演奏ですが、ボクにとってこの曲はこの演奏ですかね(笑)
その昔通っていたジャズ屋のエンディングでこのアルバムがかかったので、とても想い出のあるアルバムです.
一日の終わりを、この曲で、こんなヴォーカルで聴くとジワーーーッときちゃいます.
こちらはいつになく蒸し暑い日が続いておりますが、そちらはどうでしょうか。
ミルドレッド・ベイリーがありましたね。40年代初めの録音だったと思いますが、古くささがあるとはいえ染み入るものがあります。
ジャズ屋のエンディングにこのアルバムとは洒落ております。美しく甘い歌声は一日の疲れをいやしてくれますね。
「Sometime I'm Happy」が残っているとは、まだまだ素晴らしい曲目が多そうですね。これは、歌っている人が多すぎてどうにもなりません。もうエイやというか、決めました。サラ・ヴォーンは、ジャズヴォーカルそのものといった歌で、これは外せません。
①Sarah Vaughn / Sassy Swings the Tivoli (Mercury)
②Susannah McCorkle / No More Blues (Concord)
③Della Reese / A Date With (Jubilee)
②は、比較的新しいですが、レスター・ヤングの演奏を髣髴とさせるもので、ジャジー。③は、サラ・ヴォーンの①と同じくカーク・スチュアート(p)が伴奏に当たっていて、デラ・リーズも乗っています。
他にも、ノスタルジックなリーー・ワイリーのユーマンス集、黒岩静枝さんがジョン・ヒックスらの伴奏で歌ったJapan tour 97といったものがありました。
相当数の楽曲を話題にしてきましたが、まだまだ名曲が残っております。改めてジャズ100年の歴史の重みを感じます。
サラのチヴォリがトップにきましたか。私は迷いましたが、素直な解釈のカーメンをトップにしました。
そしてスザンナ・マッコークル、ふと悲しい最期が過ぎりますが、素晴らしいシンガーですね。このアルバムはケン・ペプロウスキーの見事なバックで、より輝いております。
デラ・リーズのジュビリー盤がありましたね。最近はあまり聴きませんが探してみましょう。
黒岩静枝さんのお得意ナンバーですので、お店でも時々歌いますよ。9月21日の50周年記念コンサートに向けて追い込みに入っております。
知っているヴァージョンの中では、日本でのジョニー・ハートマンの歌唱が一番好きです。
Johnny Hartman / For Trane
King Pleasure / Moody's Mood For Love
Joe Williams / 201 Vocal Standards From A to Z
キング・プレジャーは、女性コーラスが入っているのも好きな要因です。
ジョー・ウィリアムスはオムニバスアルバムなので、どのオリジナルアルバムに収録されているのかは把握していません。
気づけば男性シンガーのヴァージョンばかりですね。
ジョニー・ハートマンの日本録音盤がお気に入りでしたか。日野皓正さんとのセッションですね。オリジナル収録は「Hartman Meets Hino」です。この曲はベースの池田芳夫さんがいいですね。確か70年代初めの録音だったと思いますが、主役のハートマンはインパルス時代の輝きはないものの自然体でいい歌唱を披露しております。
キング・プレジャーとは渋いところをお聴きですね。音源は持っておりませんが、女性コーラスがバックで気分は王様でしょうか。
お持ちのジョー・ウィリアムスの音源は不明ですが、ベイシーがバックでしたらオリジナル収録は、ルーレット盤「Memories Ad-Lib」です。
男性シンガーばかりの選出ですが、それぞれに味がありますね。
Sometimes I'm Happy Vocal Best 3
Sarah Vaughn / Sassy Swings the Tivoli (Mercury)
Mildred Bailey / The Rockin' Chair Lady (Decca)
Johnny Hartman / Hartman Meets Hino (Capitol)
お盆で留守にしておりましたので集計が遅れましたが、サラのチヴォリが一番人気でした。他にもカーメン・マクレイをはじめベバリー・ケリー、スザンナ・マッコークル、デラ・リーズ、キング・プレジャー、ジョー・ウィリアムス等々、多くの名唱が挙がりました。それぞれ個性あふれる歌唱です。
今宵はお気に入りのサムタイムズ・アイム・ハッピーをお楽しみください。