
封切が予定されていた映画や発売予定のアルバムが何らかの理由により中止になる「お蔵入り」の語源は、蔵にしまい込み陽の目を見ることがないからという説と、本来よりも早く千秋楽を迎えたことを「千秋楽」の「楽」を逆さまにした「くら」と呼んだことからという説があるようだ。どちらにしても公開や発売を楽しみにしていたファンにとっては残念なことであり、前評判が高いほどさまざまな憶測も飛び交う。
ジャズレコードにもお蔵入りは数多くあり、ティナ・ブルックスのブルーノート・セッション「マイナー・ムーブ」もその1枚である。58年に録音されながら未発表のまま埋もれ、日本のキングレコードが発掘したのは80年代のことだった。当時唯一発売されていた「トゥルー・ブルー」よりも前のセッションで、事実上ブルックスの初リーダーアルバムにあたり、リー・モーガン、ソニー・クラーク、ダグ・ワトキンス、そしてアート・ブレイキーという錚々たるメンバーがサポートしている。R&Bバンド出身特有のアーシーなテナーはテクニック的にも問題もなく、典型的なハードバップは当時のブルーノート路線から見ると外れているわけでもないのに何故発売が見送られたのか不思議でならない。
未発表だったとはいえ、オリジナル2曲とスタンダード3曲を程好く配置した作品はデビューを飾るに相応しい内容で、マット・デニスの名作「エブリシング・ハプンズ・トゥー・ミー」も収録されている。チェット・ベイカーのクールなヴォーカルで知られる曲で、そのメロディの美しさとアドリブの面白さからインストでも度々取り上げられる曲だ。何度となく演奏したであろう手馴れたバック陣を相手にティナはやや起伏に欠けるものの、伸びのある高音と濁りのない低音をバランスよくコード進行にのせている。フレージングは荒削りながらデビューアルバムとしては及第点で、発売に踏み切ってもブルーノートの名を汚すものではなかっただろう。
ティナにはもう1枚、BLP-4052というレコード番号とジャケット・デザインまで決まっていながらお蔵入りした「Back to the Tracks」もあり、幻のテナーマンと呼ばれる所以である。アルバムはお蔵入りしたまま晩年は病院と刑務所で過ごしたティナは、Everything Happens to Me ~なにもかも悪いことばかり起こる、と思ったかもしれない。
ジャズレコードにもお蔵入りは数多くあり、ティナ・ブルックスのブルーノート・セッション「マイナー・ムーブ」もその1枚である。58年に録音されながら未発表のまま埋もれ、日本のキングレコードが発掘したのは80年代のことだった。当時唯一発売されていた「トゥルー・ブルー」よりも前のセッションで、事実上ブルックスの初リーダーアルバムにあたり、リー・モーガン、ソニー・クラーク、ダグ・ワトキンス、そしてアート・ブレイキーという錚々たるメンバーがサポートしている。R&Bバンド出身特有のアーシーなテナーはテクニック的にも問題もなく、典型的なハードバップは当時のブルーノート路線から見ると外れているわけでもないのに何故発売が見送られたのか不思議でならない。
未発表だったとはいえ、オリジナル2曲とスタンダード3曲を程好く配置した作品はデビューを飾るに相応しい内容で、マット・デニスの名作「エブリシング・ハプンズ・トゥー・ミー」も収録されている。チェット・ベイカーのクールなヴォーカルで知られる曲で、そのメロディの美しさとアドリブの面白さからインストでも度々取り上げられる曲だ。何度となく演奏したであろう手馴れたバック陣を相手にティナはやや起伏に欠けるものの、伸びのある高音と濁りのない低音をバランスよくコード進行にのせている。フレージングは荒削りながらデビューアルバムとしては及第点で、発売に踏み切ってもブルーノートの名を汚すものではなかっただろう。
ティナにはもう1枚、BLP-4052というレコード番号とジャケット・デザインまで決まっていながらお蔵入りした「Back to the Tracks」もあり、幻のテナーマンと呼ばれる所以である。アルバムはお蔵入りしたまま晩年は病院と刑務所で過ごしたティナは、Everything Happens to Me ~なにもかも悪いことばかり起こる、と思ったかもしれない。
ピアニストを中心に多くの名演がある「エブリシング・ハプンズ・トゥー・ミー」のお好みを今週はインストでお寄せください。楽器別、ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 Everything Happens to Me Best 3
The Bud Powell Trio (Roost)
Stan Getz / In Stockholm (Verve)
Thelonious Monk / Solo Monk (Columbia)
話題にしましたティナ・ブルックスの「マイナー・ムーブ」はキングレコードから発売されたレコードです。CDも出ておりますが、ジャケットは違います。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
好きになったのは、パーカーのwith stringsを聴いてからです。
なんとなく、ちょっと切ない気持になります。
Stan Getz / In Stockholm も良いですね。
モンクは、「アローン・イン・サンフランシスコ」でも演奏していますね。
ここでの演奏は、あの独特のたどたどしいような感じが一番よく出ているのではないかと思います。
ベスト3は迷いましたが、バルネ・ウィランのソプラノを入れました。
テナーだけでなく、ソプラノもなかなか良いです。
それから、大好きなバドは、やはり外せませんでした。
Charlie Parker / with Strings
The Bud Powell Trio
Barney Wilen / Barney
ティナ・ブルックスが、お蔵入りの録音がそんなにあったとは知りませんでした。
どおりで、リーダー作が少ないですね。
私はTre BlueとBuck To The Tracksの2枚しか持っていません。
「マイナー・ムーブ」、探してみよう。
私的には、これは群を抜いています。
初めてこのアルバムを聴いた頃は、
新主流派のピアノばかり聴いていたので、
ジョーダンのシンプルで透明感のあるフレーズは
とても新鮮に感じたものでした。
これとNo Problem が収録されているA面ばかり
ヘビロテしていました。
2、3は、誰も選びそうもないものを。
2)「Both Sides of Tony Scott」
モダン期に入って急速に衰退してしまったクラリネット
という楽器を、デフランコとともに孤軍奮闘しながら
伝承しつづけたトニー・スコット。
もう少し、評価されていいように思います。
このアルバムのEverything 、渋いです。
ディック・ガルシアの、くぐもった音色のギターが
また心憎い。
3)「琴線/ 納浩一」
文字通り、心の琴線に触れるベースの響きです。
Ladies In Mercedes が目的で買ったアルバムですが、
ラストのEverything もいいです。
パーカーの with strings は、ジミー・キャロルのアレンジが何かと取り沙汰されますが、パーカーのソロは素晴らしいですね。
モンクは「アローン・イン・サンフランシスコ」でも演奏しておりますが、私は「ソロ・モンク」を最初に聴いたせいか強い印象があります。パウエルの演奏と聴き比べるたび、強いバップの絆を感じます。
バルネ・ウィランはベサメムーチョのセッションですね。私が所有しているのはオリジナル・フォーマットで発売されたアルバムですので、この曲は収録されておりません。未発表曲としてCDに追加したものですね。ソプラノも聴いてみたいです。
ティナ・ブルックスの「マイナー・ムーブ」は、今宵の君とスターアイズも収録されておりますのでお薦めです。モーガン以下バック陣が素晴らしいですよ。
ジョーダンがトップにきましたね。この曲のピアノベスト3を選ぶなら私も入れるでしょう。ジョーダンと握手した手の温もりと当地のこの季節の風景を切り取ったジャケは一層親近感が増します。A面ばかり
ヘビロテですか。25-25 さんでしたらてっきりグリーン・ドルフィンのB面かと思っておりました。(笑)
トニー・スコットがありましたか。ヴァレンタインが入ったアルバムですね。クラリネットはモダン期に入り急速にプレイヤーが減った楽器だけに、デフランコとスコットは数少ない伝承者として高く評価すべきと私も思います。ことスコットはエヴァンスが入った盤は話題になりますが、他のアルバムは蚊帳の外扱いで寂しいですね。
納浩一とは意外な1枚です。このアルバムは持っておりませんが、一度生で聴いておりますよ。ベースの講師もされている方らしく、正確で丁寧なベースラインでした。打ち上げに同席しましたが、物静かな人でした。性格も音に表れるのでしょう、まさに琴線に触れます。
マット・デニスは本当によい曲を作曲しますね。
そして作曲数が1000曲というのは驚異だと思います。
その中でも、エブリシング・・・は傑作ですね。
この曲はバップが体に染みついているジャズメンに合っているように感じます。
お気に入りは
「ザ・バド・パウエル・トリオ」
永遠の名演!これで決まりだ!
皆様、1日1善じゃなくて1日1回は聴きましょう。(笑)
「セロニアス・アローン・イン・サンフランシスコ」モンク
ソロ・モンクも好きだが、今日の気分はこれだ!
「ドドズ・バック」ドド・マーマローサ
結構気に入っていて、店でも時々かけています。
いやあ!everything happens to me!
この曲・・・僕もモンクのソロピアノで大好きになりました。ただ、dukeさんと逆にAlone In Sanfranciscoの方で聴きましたので・・・以下。
1.モンク/「アローン・イン・サンフランシスコ」(riverside)
2.ドナルド・バード/バーズ・アイ・ヴュー(transition)
もちろん僕の手持ちはキング盤です。ドナルド・バードという人は、ペットでテーマをじっくり吹くと実にいい感じだ。この曲のしみじみした感じをペットで出す人はそうはいないだろう。savoyのジャズメン・デトロイトのstardustも最高!
3.ペッパー/ディスカヴァリー(savoy)
たしかオリジナルのサーフライドには入ってなくて、後から出たregentのTwo Altosで発表されたと思う。
このペッパーのバラードは凄い。切れ味の鋭い日本刀のようだ。
次点~(ちょっとインチキで次点として:笑)
25-25さんの挙げられたトニー・スコットに対抗して(笑)バディ・デフランコ/in a mellow mood(verve)~スコットのeverythingも超スローテンポで独特な感じだったが、デフランコのヴァージョンも端正で味わい深い。残念ながらソニー・クラークのソロはなかった・・・。
マット・デニスの数ある作品のなかでもエブリシングは、エンジェル・アイズと並び録音数が多い傑作ですね。1000曲も書くとおそらく本人もヒットした作品以外覚えていないでしょう。全部聴いているわけではありませんが、似たような旋律や、なかには同じタイトルがあるかもしれませんよ。(笑)
パウエルにモンクのサンフランシスコ、そしてマーマローサ、バップピアノのオンパレードですね。マーマローサもパーカーとの共演で身に着けたバップの体臭が抜けず、カムバックしてもブランクを感じさせない同じ匂いがします。匂いはマーマローサの鼻の大きさとは関係ありません。(笑)
Alone In Sanfrancisco の方で聴かれましたか。以前にもモンクのソロの話題のときに、私が挙げたパイロット・モンクとサンフランシスコで意見が分かれましたね。既にサンフランシスコが優勢ですので、また私は負けるでしょう。(笑)
バーズ・アイ・ヴューもいいですね。美しいテーマを吹かせると実によく歌います。スターダストも見事ですが、サボイ盤のスターアイズも素晴らしい。いやぁ、キング盤でしたか。レコード整理中のようですので、transition 盤が出てきたかと思いました。(笑)後ほどお伺いします。
ペッパーはregentで発表されましたが、サーフライドの完全版CDに整理されて収められております。研ぎ澄まされたバラードの極致です。
バディ・デフランコを出す辺りはさすがに幅が広いですね。以前、国内盤が出ましたが、ソニー・クラークが気になりながらも買い逃しております。Verve のトランペッターラベルならその内エサ箱で見付かると思っておりましたが、これが案外高い!クラークのクレジットがなければ半値でしょう。(笑)
1、Now on the blues 本田竹広(ヴィレッジ)
2、Time remember Bill Evance(Milestone)
3、On Impulse Sonny Rollins(Impulse)
欄外で、エロール・ガーナー、CD10枚のBOX物をアメリカで買ってこの中に入っている。
もう一つおまけに、年末にレコーディングした大隅トリオ、ハクエイ君がこの曲をやっていて抜群のできなのだが・・・曲数の制限で今、外そうかと思案中・・・。彼の得意曲ゆえ入れてあげたいのだけど、他の曲も良くて・・・迷っているところ・・・迷っているのはレコード会社のプロデューサー私ではない。
もし選曲から漏れたら、私は原音のコピーをもっているので海賊版でも・・・「ダンナいいものありまっせ!」といくか!幻のEverything happen to me キム・ハクエイ。