凡そ70年前の映画にフレッド・アステアが主演した「Swing Time」がある。リアルタイムでご覧になっている方は少ないだろうが、「有頂天時代」という邦題が付いていた。原題、邦題とも時代を映し出しているかのようだ。この映画の主題歌はアカデミー賞映画主題歌賞を受賞した「The Way You Look Tonight」で、これまた「今宵の君は」という名訳が付いている。どなたが邦題を付けたのかは存ぜぬが、そのセンスたるや70年経った今でも色褪せることはない。
甘いバラードだが深みのあるメロディに魅せられるのだろう、多くの名演があり、ホール・ダニエルス・オクテットにも収録されている。ダニエルスとこのアルバムはあまり知られていないが、Zim Records から出ている「Zoot Sims, Dick Nash Octet / Nashville」なら聴かれた方も多いはず。そのオリジナルがトラッド系の Jump レーベルから発売されたこのレコードである。ダニエルスはレス・バクスターの主任編曲者で、トランペッターのようだが、僅かに聴けるソロは淡白で平板なものだ。何ゆえダニエルス名義で出されたのか不明だが、映画音楽も手がけていることからこのメンバーで、映画のために録音した流れだったのかもしれない。
オクテット編成による厚みのあるテーマはリズミカルに奏でられるが、バラードでなくても曲が持つ美しさを損なうこともなく、完成されたメロディ構成は五線譜の空間を優雅に舞う蝶をみるようだ。主役はズート・シムズで、アンサンブルに乗って悠々と現れ、シムズの最も得意とするミディアムテンポのソロは珠玉のフレーズを紡ぎだす。そして瞠目するのはこの録音が行われた55年にダウンビート誌批評家投票で新人ベストに選出されたボブ・ゴードンで、ウエスト・コーストの柔らかいバリトンの音色を残しながら本セッションの半年後には夭折した。ゴードンの栄光と悲劇の狭間で録音されたアルバムには、ジャズが持つドライブ感と、ジャズしか持ちえない一瞬のスピード感を記録している。
「今宵の君は」を作曲したのはガーシュインやリチャード・ロジャースにも影響を与えたジェローム・カーンで、ドロシー・フィールズに作詞を依頼するため書き上げたばかりの曲を披露した。フィールズはカーンの演奏を聴いたとたん、あまりのメロディの美しさに涙を流したという。
甘いバラードだが深みのあるメロディに魅せられるのだろう、多くの名演があり、ホール・ダニエルス・オクテットにも収録されている。ダニエルスとこのアルバムはあまり知られていないが、Zim Records から出ている「Zoot Sims, Dick Nash Octet / Nashville」なら聴かれた方も多いはず。そのオリジナルがトラッド系の Jump レーベルから発売されたこのレコードである。ダニエルスはレス・バクスターの主任編曲者で、トランペッターのようだが、僅かに聴けるソロは淡白で平板なものだ。何ゆえダニエルス名義で出されたのか不明だが、映画音楽も手がけていることからこのメンバーで、映画のために録音した流れだったのかもしれない。
オクテット編成による厚みのあるテーマはリズミカルに奏でられるが、バラードでなくても曲が持つ美しさを損なうこともなく、完成されたメロディ構成は五線譜の空間を優雅に舞う蝶をみるようだ。主役はズート・シムズで、アンサンブルに乗って悠々と現れ、シムズの最も得意とするミディアムテンポのソロは珠玉のフレーズを紡ぎだす。そして瞠目するのはこの録音が行われた55年にダウンビート誌批評家投票で新人ベストに選出されたボブ・ゴードンで、ウエスト・コーストの柔らかいバリトンの音色を残しながら本セッションの半年後には夭折した。ゴードンの栄光と悲劇の狭間で録音されたアルバムには、ジャズが持つドライブ感と、ジャズしか持ちえない一瞬のスピード感を記録している。
「今宵の君は」を作曲したのはガーシュインやリチャード・ロジャースにも影響を与えたジェローム・カーンで、ドロシー・フィールズに作詞を依頼するため書き上げたばかりの曲を披露した。フィールズはカーンの演奏を聴いたとたん、あまりのメロディの美しさに涙を流したという。
フレッド・アステアが歌った「今宵の君は」は、多くの名唱、名演があります。今宵聴きたいヴァージョンを管楽器でお寄せください。ヴォーカル、ピアノは機を改めて話題にします。
管理人 The Way You Look Tonight Best 3
Thelonious Monk And Sonny Rollins (Prestige)
Stan Getz Plays (Verve)
Eric Dolphy In Europe Vol.2 (Prestige)
紹介したアルバムは、80年に東芝から発売されたものです。オリジナルは Jump の10吋ですが、一度も見たことがありません。市場価格も知りませんので、お持ちの方は価値等をお寄せいただければ幸いです。決して譲ってほしいとは言いませんので、ご安心を。(笑)
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
1)「A Night At Bird Land Vo.1/ Art Blakey」
2)ネコ(フクロウ)のマクリーン(私のは、フクロウ)
この2枚は若きハードバッパー達の熱き情熱の迸りが
ダイレクトに伝わってきて、半世紀以上経った今も
少しも色褪せていませんね。
残る1枚が、意外と難しい。
バードランドがトップにきましたか。76年に発見された未発表曲ですね。先発のブラウニーのソロは申し分ないのですが、テーマ部が弱い感じがします。ボツになったのはこのせいでしょうか。
マクリーンはデビュー盤ながらハードバッパーの意気込みが熱いですね。私も Jubilee のフクロウです。ちなみにネコの Adlib オリジナルは見たことがありません。
今回のベストは絞れないだけに何が挙がるのか楽しみです。
今宵の君は・・名訳ですね。ザ・ウェイ・ユウ・・・なんて言うより、今宵の君はの方が良いですね。
最近はこう言うイカシタ訳を考える人があまりいなく残念に思います。
お気に入りですが
「バードランドの夜」ブレイキーと「ザ・ジャッキー・マクリーン・クインテット」は文句なしだと思います。25-25様に大賛成です!!!
ところで私の所有しているCDでは「バードランドの夜Vol2」に収録されているのですが???
最後の1枚は「サーフ・ライド」アート・ペッパーにしたいと思っております。
私が持っているのは、78年にキングから再発された
LPでして、これでは「今宵~」はVol.1 のB面2曲目です。
そして「今宵~」3枚目には・・・。
3)「Two of Mind / Paul Desmond & Jerry Mulligan」(RCA)
比較的抑制されたトーンでテーマが示されたあと、
後半では2人がかなりバリバリとブロウしながら
盛り上げていって、クールからホットへの展開が
興味深いです。
デスモンドの今宵は、
「Jazz At Oberlin/ Dave Brubeck」(Fantasy)でも
聴けますが、こちらはブルーベックのソロのパートが
やや冗長で粗雑なのが残念。
ところで、ズートの演奏があるはずと曲名検索かけても、
ヒットしなかったので、50枚以上ある手持ちを引っ張り出して
虱潰しに探しましたが、やはり出てきません。
ありましたら、教えてください!
おっしゃる様に「今宵の君は」は素晴らしい邦題ですね。このタイトルに続く台詞を考えるだけでもワクワクします。
「バードランドの夜」に「ザ・ジャッキー・マクリーン・クインテット」がきましたか。25-25 さんのワンツーですが、ブラウニーといいマクリーンといい、この若さで練り上げたフレーズには驚きます。
「バードランドの夜」のCDは知りませんが、東芝で最初に発売したレコードでは、未発表曲の「今宵の君は」はVol.1、「Blues」はVol.2に収録されておりました。
3枚目は「サーフ・ライド」ですか。雪の降った当地では季節外れで思い出せませんでした。夏でしたらベスト3です。(笑)
ズートは記事で紹介しましたように、「ホール・ダニエルス・オクテット」とその再発盤「Zoot Sims, Dick Nash Octet / Nashville」だけと思います。ワンホーンでありそうですが私の手持ちではありません。
The Way You Look Tonight は私が紹介した Hall Daniels のセッション以外では、同じ55年に Don Fagerquist Nontet (Capitol) があるだけです。
ディスコで一番録音数が多い曲はフォア・ブラザーズでした。当然ですかねぇ。
まずはオリジナルのFred Astaireのヴァージョンを聴いてみました。実は私Fredのファンなんです(^^)
それから52年に録音されているOscar Petersn, barney Kessel, Ray Brwonも参加しているフレッドのSteppin' out:Astaire Singsも聴きなおしました。
この伴奏のオスカーがなかなか楽しいです。
さてインストだけのはあまり持っていなくて。
まず一番にきたのが。
Chris Botti の2007年盤の”ITALIA”から、あくまでも軽く澄んだ空気のごとく流れていく彼のトランペットの音色は素敵です。こういうのもありです。
ジャケットの顔をみてるだけでよ~し!(笑)
お次は、Brad Melhdau のThe Art of Trio Vol.2
Live at the village Vanguard 1998年盤から。
このアレンジはきっと好き嫌いがはっきりすると思うけど、12:33秒をどう聴くかは貴方次第って感じですが。私はこういうのも好き。Melhdauのアレンジってちょっとひねくれているところがいい。
最後が、Jazz at Oberlinかな、指摘されているように後半のBrubeckのピアノがちょっと聴いていて疲れてきますが、Paul Desmondのサックスが好きなので,
これを選びました。
後は、Grappelliとかありましたけど、もう一つピンとこなかったというか。MonkもGetzも聴いていないので是非きいてみたいと思います。
息が長い曲のタイトルは名訳が多いですね。ピーターソンをバックにしたアステアを聴くとジャズ歌手としていかに彼が優れていたのかわかります。
クリス・ボッティがきましたか。ヨーロピアンタッチですが、最近ではいい内容です。あの手の顔が好みでしたか。何を考えているのかわからない目ですね。
The Art of は最初のほうがいいですね。長尺の演奏でも変化に富んでいて楽しめます。ひねくれていると思うのは聴き手でして、メルドー自身は極普通の感覚だったりして。(笑)
Paul Desmond がお好きでしたら、マリガンと共演している「Two Of A Mind」は如何でしょう。今宵の君と対話しております。
Monk と Getz は私のお気に入りですので強くお薦めしますよ。