コタツ評論

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がんばるな 日本!  ツケはやつらに払わせろ

2011-08-05 23:58:00 | 3・11大震災
ようやく、世界が瞠目した「フクシマ50」の実際の賃金の一端が明らかになってきました。共同通信の配信ですが、8月4日に開かれた日弁連のシンポジウムで、原発作業員の聞き取り調査の結果を発表したそうです。調査内容はほとんど不明ですが、「中間搾取」している会社の素性や釈明を訊きたいものです。

まず東電系列、あるいは、日立や東芝などの電機メーカーの人材派遣会社が入っていないか。そして、なぜ、「何層もの下請け」構造が必要なのか。いわゆる、大田区蒲田や東大阪などの部品下請け孫請けの構造とは、似て非なる「中間搾取」であるはず。一人の労働者に対して、いったい何社から何枚の納品書や請求書が切られているのか。同様な「中間搾取」を瓦礫撤去作業でも聴くが、日本のあらゆる業種業態にこうした派遣労働の実態は共通するはずです。

派遣労働の是非ではなく、なぜ派遣労働者がこれほど貧しいのか。官民に蔓延する「天下り」を頂点とし、派遣労働という底点の間に、「何層もの下請け」構造があるのが、その理由ではないのか。とはいえ、追及の声が上がるのは期待できない。大労組は派遣労働について資本と合意しているし、TV・新聞・雑誌などのマスコミも「下請け」や「派遣」を「活用」しているからであり、そこで「天下り」が行われているからだ。派遣労働者が不当に扱われているなら、その上に乗っかっている「天下り」も不当であるはずなのだが。

ニュースとしての扱いはきわめて小さく、案の定、続報も出そうにない。「天下り」批判は正当だが、高級官僚に対する「天下り」批判は、国民の憤懣のガス抜きとして用意されているに過ぎない。派遣労働者の賃金を不正に「中間搾取」している上部構造こそ、日本経済の生産性を蝕む欺瞞の病根であり、中国ばかりを蔑むことができない、日本における一種の「汚職」といえないか。不当な売り上げや利益による不労所得を得ることは、職を汚すことにほかならず、それは派遣労働者のみならず、自らをも傷つけ汚す「仕事」だろう。

下請け原発作業員に“中間搾取” 日当、10万円が8千円に
http://news.livedoor.com/article/detail/5761553/

東京電力福島第1原発などで働く作業員の労働条件などについて話し合う日弁連のシンポジウムが4日、東京都内であり、聞き取り調査をした弁護士が「東電が作業員に払った日当約10万円が何層もの下請け会社の介在で手数料が引かれ、作業員が受け取るときには8千円になった例があった」と報告した。作業員の相談に当たってきた同市の市議は「多くの労働者が中間搾取されている」と話し、待遇改善を訴えた。