コタツ評論

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Smoke Friends House

2012-08-13 01:23:00 | 一服所


この炎暑に渋谷の人混みを歩いていると、ひんやりした空気の流れる静かな場所で、氷を浮かせたジンジャエールを喉に流し込んだら、と思うわけです。しかし、「文化果つる」渋谷にそんなところはありません。その反対の場所ならたくさんあるのですが。

そこで、ひさしぶりに一服所のご紹介です。砂漠のオアシスには、行ったことも見たこともないけれど、喫煙者にとってはまさにそこです。一服どころか、何服しようが、気がねいらずの全席喫煙可。そのうえ、珍しい銘柄の手巻き煙草を無料で振る舞ってくれます。

渋谷駅から5分。246を渡って明治通りを恵比寿方向へ歩いて右の並び、コンビニのサンクス隣のビルの2階ですベラスケスという名のすばらしい、画家とボクサーと音楽家を輩出した豊かな色彩文化のメヒコながら、躍動するイエローのユニフォームに比べ、黒髪に濃いグリーンのユニフォームはピッチではどうしても地味に映ります。

ブラジルの得点は時間の問題に思えましたが、結果は周知のとおり。2得点以外にも絶好の好機は3度もあったほどでした。もちろん私は、メキシコの金メダルをすでに知っていたのですが、店主は知らないらしく、シュートのたびに歓声と落胆の声を上げています。客は私一人なので、「メキシコの勝ちですよ」ともいえず、店主の応援に合わせていました。とはいえ、スポーツニュースで結果を知っていただけで、試合を観るのははじめてでしたから、実際、メキシコが勝つとはとても思えないくらい、ブラジルの黄色い豹のような突破には目を丸くしていました。

さて、シンプルなインテリアの店内に腰を落ち着けると、やはりジンジャエール(500円)を注文しました。「開店したばかりのBARのきれいな空気が好きだ」といったのは放蕩児テリー・レノックスですが、自転車に乗って路上禁煙区域だらけの渋谷にやってきたフィリップ・マーロウとしては、とりあえずタバコをくわえたいばかりです。「フレーバーか、ノンフレーバーか、どちらにしますか?」と店主が尋ねてきます。この店は、お勧めの手巻き煙草を巻いてくれるのです。煙草の銘柄などわかりませんが、匂い付きのことなら、焼酎から女性まで、私は匂い付きを好みます。もちろん、ほどほどにですが。

「フレーバーでお願いします」。最初はマンゴー、つづいてエスプレッソ、それからパイナップル、それぞれの香りがする手巻き煙草を楽しみました。いつも吸っているマルボロに比べれば、1/2ほど細くて1/3ほど短めなのに、ずっと長く保たすことができます。本来の煙草は、こんな風にゆったりくゆらせ、のんびり吸うものなんだなとわかりました。ストレス解消のためや口唇愛期の幼児のように、せわしなくフィルターに吸いつくのでは味や香りをだいなしにするようです。

店主が巻いてくれるところを見せてもらいました。袋から摘まみ出した煙草を解しながら、ローラーの溝に均等にならし詰め、ローラーをクルクル廻して形を整えてから、仕上げに紙を入れて廻せばできあがり。さすがに、あざやかな手際。フィルター近くは草の高さを合わせるが、先に行くにしたがってわずかに末広がりになるくらい、草の量を多くするのがコツらしい。つくり置きせず、吸うたびに巻くほうがずっと美味しいそうです。

できあがった手巻き煙草は、小さな箱型のトレイに立てかけて、席まで運んでくれます。紙巻をくわえると、すかさずジッポのライターで火をつけてもくれます。茶室で茶を供されたようなといえばオーバーでしょうが、ちょっとした紳士貴顕の気分にさせてくれます。基本的にはBARのようですから、お酒を飲まないなら、午後か夕方に訪ねるのがお客も少なくてよいでしょう。渋谷に出かけることがあったら、覚えておいて損はない店です。

でも、あの超人的なブラジル選手の猛攻をしのいで金メダルに輝いたメキシコに、オリンピック直前に一度勝ち、準決勝でも善戦したのですから、日本代表もたいしたものです。韓国に負けて銅メダルを獲れなかったからといって、あの快進撃を帳消しにして、なでしこジャパンに比べれば無視扱いというのでは、いかにも酷というものです。韓国や北朝鮮の選手のような強さは日本の選手には似合いません。日本らしい強さの見本をみせてくれた、なでしこジャパンの真価を見失ってはならないでしょう。
コメント (2)
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