コタツ評論

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誰も住まない

2014-05-01 23:55:00 | ノンジャンル
誰かいっしょに住まないか?で週刊新潮の巻末グラビア「水村山郭不動産」を紹介したが、今週号の物件もすごい。

敷地3761㎡、部屋数11、ほかに納屋が2棟、べつに牛20頭を飼っていた牛舎付き、庭には鯉30匹を泳がした大きな池もある。所在地は山口県下関市豊北町である。



さて、お値段は、いくらだと思いますか? って、写真に書いてあるか。レクサスかベンツ1台分。たったの680万円! 俺にも買えるかもと、いつもの浮き浮き気分は、続かなかった。住んでみたらの想像の翼は広がらなかった。今夜のクローズアップ現代「極点社会」の衝撃を視たからだ。

地方の限界集落についてはもちろん知っていた。ときどきドライブで訪れる秩父や山梨の町村に、子どもの姿をめったに見ることはなく、道路に面した広い庭を持つ家々の洗濯物から老人世帯ばかりと見てとれ、土日であれ、公園やグラウンドに人影はなく静まりかえっていることは知っていた。

都市部であっても、たとえば杉並区あたりの古い分譲住宅の町では、数十年前からほとんどが老人世帯ばかり、独居老人が増えて、いわば限界町会になっていることは知っていた。住宅ローンを終えたか、終えようとしている東京の郊外のベッドタウンの建て売りの町もほぼ同様だろう。

しかし、もはや地方では、限界集落どころか老人すらいなくなる消滅集落であり、このまま若い女性の大都市流入が続けば、数十年で500以上の町村が消えてなくなると聴けば、あらためて暗然とする。廃墟の観光施設や無人となった町や村の跡をドライブするのは、さぞや不気味なことだろう。

働き口を求めて都市部に集中する移民は、集落消滅の対抗策にはならない。ニートやフリーター、ブラック企業で酷使されている若者をかつて中共が行った「下放政策」のように、地方に移住させて農林漁業に従事させるくらいしか打開策はない。もちろん、中共のように強制はできず、そう仕向けるわけだから、定着するまでには時間がかかる。

というわけで、「水村山郭不動産」もなかなか楽しめなくなってきた。

でも、若者がいない、若者を呼び戻す、ばかりもどこかおかしいわけで、老人といえども死にかけばかりじゃない。知力体力まだまだという人も少なくないだろう。老人ホームに押し込めておくばかりが能じゃないはず。

とある老人ホームの川柳大会。


おまけ。きれいでしたね、オリビア・ニュートンジョン。おばさんになったろうな。
Olivia Newton-John - Take me home Country Roads 1972


(了)
コメント
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