コタツ評論

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安倍政権の功績

2018-08-02 23:10:00 | ノンジャンル
女子の就職差別は知っていた。有名大学卒+就職試験が難しいことで知られる、新聞社や出版社、TV局などは面接で女子を落とす。

理由は、東京医科大と同じく、優秀であっても結婚や出産で戦力にならないから。じっさい、さすがに不正は考えにくいエリート官僚資格となる国家公務員の総合職試験では、女子の合格率が24%、採用率は34%に達している。

しかし、東京医科大の女子は一律入学試験を減点する不正とは前代未聞だろう。いや、私が知らないだけで他大学でも行われてきたのかもしれない。たいてい、不正は横並びに行われるからだ。

一連の不祥事・スキャンダルに文科省がらみが多いのは官邸の仕掛けを疑わせるが、日本売国という巨悪・大悪を追及する矛先を逸らすためのマスコミ操作だとしても、こうした暴露は安倍政権の功績ともいえる。

民主党が政権を奪ったとき、これで自民党の旧悪が次々に暴露されるだろうと期待した。じっさいに暴露されたのは小沢一郎や鳩山由紀夫のスキャンダルだった(民主党の面々は悪乗りした形だったが)。皮肉にも、「一強独裁」といわれる安倍政権の足下から、日本旧来の膿が次々に噴出している。

かつて、「疑惑の総合デパートですよ、あなたは!」と辻本清美は鈴木宗男を罵ったが、いまや流通産業の王様はAmazonになった。ならば、不正不義のAmazonといっても過言ではない官邸なのだが、一人東京新聞の望月衣塑子記者を除き、その恫喝と懐柔を駆使した「マスコミ対策」が功を奏しているかに見える。

抑え込めば反発を招き、忖度が過ぎれば反動は溜るのが道理。財務省や経産省などに比べれて、官僚の質量ともに脆弱な文科省は「官邸主導」に屈しやすかった反面、それだけ脇の甘い取り組みに流され、官僚機構と官邸権力のもっとも薄い被膜となった。そう考えれば、必然的に醜聞の噴出口になったといえる。

いずれにしろ、パンドラの箱を開けたのはゼウスが遣わしたパンドラではなく、安倍晋三だとすれば、箱の底に残された「希望」が告げるのは、「絶望の虚妄なること まさに希望に相同じい(魯迅)」に違いない。

近日、「ヴェノム」というご贔屓のトム・ハーディ主演の映画が公開される。その惹句は、「世界を変えるのは最悪だけだ!」。いま世界の最悪といえば、トランプ・安倍コンビにほかならない。

そして、最悪とは、小悪や旧悪が育てるもの。これも、ご贔屓だったヒース・レジャーがバットマン映画『ダークナイト』で最凶の敵役ジョーカーを演じたときに、「俺もはじめはほんのコソ泥に過ぎなかった。俺を育てたのはお前らだ!」と叫んだものだ。

私たちの小悪や旧悪がいま暴かれて底なしという有様だ。繰り返すが、それは安倍晋三の功績かもしれない。

(敬称略)

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