コタツ評論

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はじまりのおわり、おわりのはじまり

2019-03-11 07:48:00 | 3・11大震災
8年前のあの日に何をしていたか? そんな話になるときがある。とにかくびっくりした、延々と歩いた、すごい渋滞で帰宅が深夜になった、翌日になった。こんな危ない思いをした、誰それが翌朝から会社に来た、家族がどうだった・・・。

つい昨日の事のように語りはじめ、とりとめなく話は終わる。そこから、結論めいた考えやまとまった思いにつながるようなことは、まずない。地震の話だけでフクイチについては話されることはない。

あれから、8年、何かが変わった気もするし、変わっていないと思いもする。メディアは、「振り返る」とか「節目を迎えている」という過去形と「復興に、復興を」という未来形で喋っているが、私たちは災害と事故をまだ扱いかねている。

3月11日を語る言葉も文脈も見当たらない。そんな失語症の自覚はあるのだが、何をいまさら、何の意味があるのかとの思いが立ち塞がる。私たちのこの無力感はあの日からはじまり、あの日から積み重ねられてきている現在進行形のようだ。

(止め)

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