コタツ評論

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某国の亡国について

2011-11-08 01:03:00 | TPP
アメリカの陰毛の、再占領される野田の、食ミンチだの、たしかに、反TPP派は少し大仰な気がする。もう少し、冷静に考えてみようということで、会社に捨ててあった「日経ビジネス」(2011/11/07号)の「特集・TPP亡国論のウソ」を読んでみた。雑誌記事は、リード文という紹介や要約が付けられる。

日本の重大な岐路が目前に迫る。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議。
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加するのか。
押し寄せるTPP亡国論に屈して参加を見送れば、
通商日本の未来はなくなる。
交渉入りの壁となる農業問題と向き合い、
TPP交渉参加を決断しない限り、
中国や欧州連合(EU)との交渉も進まない。
開国と農業再生を両輪で進める。
日本に残された選択肢はこれしかない。


なんだい、推進派も、一種の「TPP亡国論」だった。TPPに参加しないと日本がなくなると煽っているところは、反対派と同様だった。また、推進といっても前のめりではなく、追いつめられている感が漂っているところも、反対派と同様だった。その内容も、中野剛志ら反対派への論駁としては、いかにも弱い。弱いどころか、かえって裏づけてしまっている箇所も見受けられる。

たとえば、医療制度について、「国民皆保険制度が崩壊する?」というQのAとして、以下。

(中略)だが、日本には新薬認可に時間がかかりすぎる「ドラッグラグ」問題や、厚生労働省が混合治療を認めず、先進的な医療サービスを受けられない問題があることも事実だ。TPP交渉を通じて、国内で解決できなかった構造改革が実現するのだとすれば、それも効用と言える。

新薬認可方式の変更や混合治療の認可がすでに決められているように読め、語るに落ちている。つまり、交渉のテーブルに付くどころか、ほぼ内容の受諾項目さえ決まっているかのようだ。百歩譲って、新薬認可や混合治療が問題だとしても、国内の議論と手続きを経ずして、TPPで変えてしまおうというのは、まさしく亡国ではないか。

あるいは、食の安全について、「食の安全が脅かされる?」というQのAとして、以下。

TPP交渉では検疫措置の迅速化や透明性の向上などが議論の対象となっており、牛肉の輸入規制、食品添加物や残留農薬の基準、遺伝子組み換え食品の表示ルールなどは議論されていない。政府は、今後こうした問題が提起される可能性まで否定できないが、他国から一方的に食品安全に関する措置の変更を求められることは考えにくく、そうした要求を受け入れることはないとしている。

一読すれば、ルールと対象を混同させた詭弁ではないかと誰でも疑問を抱くだろう。「検疫措置の迅速化や透明性の向上」を目的としたルールづくりをして、その対象下に食品添加物や農作物の残留農薬、遺伝子組み換え食品があるわけだから、当然、議論の対象になってくる。他国からの一方的な要求などありえないのは当たり前で、自らが参加したルールづくりの結果なのだから。

TPP反対派が治外法権と危惧するISD条項については、以下。

例えば、投資交渉では米国が「国家と投資家の間の紛争解決手続き」を導入すべきだと提案している。民間企業が投資先の外国政府から不利な扱いを受けた場合、その政府を相手取って「提訴」できる制度だ。中国で工場を収用されるなど、理不尽な扱いを受けないように、中国を意識した制度であり、日本企業にも利点がある。それでも、アジア太平洋の地域の経済連携を米国が主導するのを、中国が指をくわえて見ているわけがない。「中国は君子豹変の国。絶対、入らないとは言えない」という石川教授は、1972年、ニクソン大統領が北京を電撃訪問し、毛沢東主席との間で国交を樹立したことを例に挙げる。

中国はTPPに参加しないといっているのに、中国を意識したISD条項という苦しい展開だ。それなら、中国が参加したときに議論すればよいだろうに。あるいは、ISD条項によってそれこそ中国は参加しにくくなるだろう。こんな風な、「たら、れば」の仮定に立った書き方が多いのは、やはり中味がよくわからないからか。ほかにも、GDPに占める輸出の割合が、中国は30%、韓国は52%に対し、日本はわずか15%、と「指弾」している。そんなに輸出に偏ってよいものか、この円高下にどう輸出が伸びるのか、中韓に追随するのが、通商国家日本の生きる道なのか。突っ込みどころ、バンザイである。そして、例によって、決めゼリフ。

11月のAPEC首脳会談は、「最後のバス」になるかもしれない。

どこ行きのバスか知りもせずに、「バスに乗り遅れるな!」とは無責任きわまりないが、どこ行きのバスだろうとかまわないのかもしれない。TPPをいちばん推進したいのは、実はマスコミだろう。ネタができるし、リークも当てにできる。もちろん、読者増は確実に期待できる。業界や会社がどうなるのか不安は募るわけだから。

(敬称略)



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あたしのあしたの目線

2011-11-07 01:08:00 | TPP
いまのところ、あたしはTPP全面反対。というか、具体的で説得力ある推進論が見当たらない。考えてみれば、推進派というのはアメリカに賛成しているわけだから、反対にしか、日本のアンデンティティの持ちようがない。とはいえ、日本の賛成反対とも、受け身、後手、どこまで譲歩するか。すなわち初手から、交渉は負けに決まっている。武道なら、「後の先」があるが、とても民主党政権では無理。自公政権なら、とっくに黙って締結してるだろう。

ただし、負けに決まっているのは、国民も同じ。中野剛志がいっているように、内閣だけでTPPは締結できる上に、必ず密約があるはず。沖縄返還と同じように。こちらの密約の方が怖ろしい。もう反対しても遅い。遅いけど、有益な知見もあった。日本国民は、けっこう自らを「消費者」と規定しているんだね。TVも、「消費者としては安い方がいいですよねっ」と効かせてくる。消費者以前に国民だろうといいたいのではないが、そんなのは世界中で日本人だけだろうなとやっぱり驚く。グローバリズムとは、人々を消費者として組織化するのを目的にしているから、日本はすでにとっくに、グローバリズムを達成しているのかもしれない。

なるほど、だから、アメリカにも中国にも、韓国にも、北朝鮮にも、経団連にも、中央官庁にも、日教組にも、直接には文句は言わず、言えず、窓口の役所や政治家に文句言うのだな。国民や市民という意識が薄いかわりに、消費者という意識は強いから、すべては「窓口の対応が悪い」となるわけか。それで、政治家のほうも、「みな様の目線で」とか「おうったえ申し上げます」とか、会社の苦情処理窓口みたいな口振りになるわけか。

国民国家ならぬ、世界で唯一の消費者国家なら、マスメディアが「政府は一日も早く復興を」とか、「不況と円高から脱するように早めに手を」とか、「財政再建も重要だが、成長戦略なくしては」とか、わけのわからぬ戯言(たわごと)を日がなこだましている理由もわかろうというもの。「明日の未来を拓く銭ゲバ物産」とか、「笑顔があふれる街の地上げ不動産」とか、「健康なからだと心に奉仕する薬害薬品」と同じ伝だな。

あたしの望む日本は、国民のほとんどに仕事があってね、安い給料でも将来設計ができるくらい安定した身分でね、望まなければ日本語だけで暮らせてね、スーパーに行けば、中国産やアメリカ産だけでなく、日本産の食品が買えればね、もうそれでじゅうぶん。ときどき輪番停電あってもがまんする。それじゃ、ダメかな。やっぱり、経済成長しなくちゃ、ダメなのかな。経済成長って、無限にするものかしら。

カテゴリTPP中野剛志が批判する「米韓FTA」とTPPの共通点がムゴすぎる! 日本はもう99%手遅れ!(文字起こしあり)
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65772646.html

TPPの危険性を説く、「ジェーン・ケルシー教授 仙台講演会 議事録」その1
http://change-wecan.iza.ne.jp/blog/entry/2492034/

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万国のイグアナよ 連帯せよ!

2011-11-06 00:47:00 | 音楽


だから、以前から、世界はグローバリゼーションではなくて、ジャパナイゼーションに向かってるんだって、何度もいってきてるでしょ!(って、はじめてだっけか?)。ジャパナイゼーションって、「日本型不況」ってネガティブな意味だけど、日本が培ってきたもっとポジティブなところと、それをすばらしいとする価値観のことね。先頃、トルコで大きな地震があったけれど、トルコの被災者は東北大震災の被災者の秩序正しさと忍耐強さを見習おうと、食料の配給にもきちんと並び、老人や子どもを優先しているそうだ。

由紀さおりが世界のヒットチャートを賑わしているらしい(iTunesってシーデーが売れたのとはちゃうわけ?)。アメリカはオレゴン州のジャズオーケストラ Pink Martini とコラボアルバム「1969」が話題になっているらしい。ジャズといえば、シカゴ、ニューオリンズ、ニューヨークのハーレム、それとLAイーストコーストといった土地勘なんだもんで、オレゴン州というから、どんな田舎ジャズバンドかと思いきや(この、きや、というのは、いったいなんだろうね。木屋の包丁は名品だが)、ヨーツベで検索すると、ピンク マルティニって、フランス語で歌っていたりするお洒落系らしい。そういやカクテルにピンク・マティーニというのがあるらしい。オレゴン州のカッペのくせに、ヨーロッパかぶれらしい(らしい、らしいと耳障りかもしれないが、よく知らんのだ)。

んで、意外なのは、由紀さおり、1969年のヒット歌謡曲を日本語で歌っているアルバムなのだ。Pink Martiniのアレンジも原曲の曲想を尊重しているのね。それが海外で売れてるらしい。ガラパゴスも売れるってことかな、大きな商売ではなくとも。世界には、そんなガラパゴスがたくさんあるだろうから、そこのイグアナたちが出会い交尾するマーケットを整備するのは、けっこうなことで、そういうのをグローバリゼーションと呼ぶなら、俺も賛成の賛成なんだけどね。

<span style="color:blue">快挙!由紀さおり&ピンク・マルティーニ『1969』、日本の歌謡曲でiTunes全米ジャズチャートで1位獲得!!





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小浜市の困惑やいかに

2011-11-05 07:20:00 | TPP
激越です。

ガラパゴス化の症状としてのグローバリズムについてhttp://blog.tatsuru.com/
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フン、童貞のくせして

2011-11-03 23:35:00 | ノンジャンル


ギリシャ国民投票、12月4日に…独仏は圧力http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20111103-OYT1T00578.htm?from=main1

厳しい緊縮財政をともなう緊急支援策の受け入れの是非をめぐり、ギリシャのパパンドレゥ首相が国民投票にかけると表明したことで、デフォルト(債務不履行)を怖れる独仏などに困惑と焦燥が強まっているという。日本でもギリシャに対して、「呑気な対応」と批判的な論調だが、連日にわたる首都の大規模な反対デモを尻目に、政権による強権的な支援策受け入れを期待するとは、無前提に投票民主主義を是としてきた日本のマスコミはいつから宗旨変えしたのだろうか。デモはつねに正しいとばかりに、アメリカのウォール街占領デモなどを羨ましそうに紹介してきたのに、ギリシャ国民の反対デモはなぜ評価しないのだろう。

また、ギリシャの「国民投票」を語る前に、「国民投票」について自らがまったく知らないことや未経験であることを棚上げしてはまずいだろう。戦後60有余年、2度の安保改定や憲法改正問題など、国民投票にかけるべき事案も少なからずあったのに、国民投票の「こ」の字も出なかったではないか。最近でも、消費税の値上げやTPP問題など、国民投票にかけてしかるべき問題は起きているが、マスコミから「国民投票を」という主張が出たとは聞いたことがない。一度も、国民投票をしたことも、考えたこともない者が、遠い他国の国民投票に困惑顔をすることなど、いったいあり得るものだろうか。

ましてや、解散総選挙を打って国民の信を問うこともできない民主党政権が、どの面下げてG20首脳会議で、ギリシャの「国民投票」に困惑顔ができるのか。いや、この読売記事も、財務大臣の困惑顔も、おそらくG20首脳会議に陪席した経済官僚のレクチャーによるものに過ぎないだろう。その経済官僚の情報源はどこなのか。アメリカのシンクタンクレポートあたりではないのか。あまり、知ったかぶりをするもんじゃない。自国のことは自国で決める。その手続きとして、国民投票という直接民主主義にゆだねる。これのどこがいけないのか? 何に困惑するのか? ぜひ納得させてもらいたいものだ。

訂正:11/10 日本にも憲法改正にともなう国民投票法案というのがありましたね。


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