ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

アクティブ・ラーニング

2015-09-27 09:19:21 | ワークショップの報告


いよいよ後期の授業が始まりました。
まずはとりちらかった家の中を、片づけねば。

『アクティブ・ラーニング だいけんきゅう!』は、とても刺激的で面白い取り組みでした。

私は、同志社小学校の仲里先生のA分科会「探求学習 アクティブ・ラーニングをアクティブ・ラーニングする」の司会として参加させてもらいました。

仲里先生のワークショップ、みごとでした。
まず、「探求学習」について、子どもたちの取り組みを映像で見せながら説明してくださいました。
次に、参加者の体験。課題は「アクティブ・ラーニングとは何か」
アクティブ・ラーニングについて、井戸端会議風に気楽に問題や欠点をあげる。
そして、今度はそれを長所に言い換えいる。
最後に「教育が民営化されました。あなたはアクティブ・ラーニングを売り込むセールスマンです。さあ、キャッチコピーを考えてください」
これで、取り散らかった議論が一気に収束。
「セールスマンになる」という遊び心も私の好みにピッタリ。
ぜひ、学生相手に私も実践してみたいと思いました。

主催者から記録やアンケートを送ってくださった返礼に、次のようなメールを送りました。



「(前略)思ったのは、アクティブ・ラーニングを単なる手法として考えている人が多いのかなと。おそらく文部科学省そのものが、そういうと捉え方なのかもしれません。

アクティブ・ラーニングの場合、評価をどうするのかということを、「もやもや」として出した人が多かったです。つまり、以前の教育観、評価の仕方から脱却することが難しい。アクティブ・ラーニングを真剣につきつめると、従来の評価の仕方を問い直さねばならないし、教育観の根本的な変革を迫られる。

仲里先生のゴールイメージは「個人個人の教育観を揺さぶる」ということでした。それを目の前にしたという実感がありました。

他の方の分科会も経験したかったです。
私自身は、ぼんやりしていてお役に立ったのか、足を引っ張ったのか良くわかりませんが、本当に良い経験になりました。

もうひとつ付け加えていうと、私はこれまで何度かワールドカフェというものを経験させてもらって、それほど良いと思ったことがありませんでした。「いろいろ情報は入るけれど深まらない」という印象。今回は、参加者が良かったのか、そもそも4つの分科会がどれも良かったからなのか、「揺さぶられた教育観をもう一度揺さぶり直す」という経験をしました。

仲里先生のワークショップがそうでしたが、分科会それぞれに参加者が「問いをもつ」力があったのではないでしょうか。なので、単なる情報交換ではなく、ディスカッションが生じたのだと思います。

仲里先生はじめ、企画してくださったみなさま、また一緒に場をつくってくださったみなさまに感謝します。」




これに対して、「アクティブ・ラーニングは単なる手法で良い」という意見がありました。
アクティブ・ラーニングめぐって、個々の経験から、それぞれの思いがあるということを改めて感じました。
これが議論に発展したら面白いなと思っています。
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「沖縄を返せ」か「沖縄に返せ」か―教育プレゼンテーションで学ぶ沖縄現代史

2015-08-22 20:48:46 | ワークショップの報告
8月20日、獲得型教育研究会は、沖縄で資料館「不屈館」を舞台にワークショップしました。
教育プレゼンテーションで学ぶ沖縄現代史

私たちBグループは、まずそれぞれが資料をみて印象に残ったことを話し合いました。
米軍トラックにひき殺された6才の少女の写真。
今からは想像もできない伊佐浜の美田の写真。
瀬長亀次郎の不屈の精神はどこから生まれたのか。
娘の手紙すら検閲して届けないアメリカ当局はいったい何をそんなに恐れたのか。
年配者だけでなく若者も瀬長亀次郎の演説を聞いている。
大学生のSさんは「若い人たちは(自分も含めて)社会について考えていないと思った」と。

なぜそうなのか。
アラフォーのMさんは「自分も高校生のときはそうだった」と。
学生と政治と言うとヘルメットとゲバ棒みたいな特殊なイメージ。
大学進学を目指す日常の中で、政治は話題にならない。

その話を聴いて、私は自分の高校時代を語ってしまいました。
学生運動が盛んなのは2年上までぐらいで、その真っ只中に居たわけではないけれど、
関心がないわけではい年代だった。
政経の授業で「安保是か非か」という討論をした。
けれど、そういう討論ができた最後の学年と言われた。

結局、問題から遠いと関心が持てないのは当然。時代や距離の遠さを埋めるのは何だろう。
知るということと想像力。

そんな話の中で、伝言ゲームで話が薄まっていくと言うことを表現しようとKさんが提案してくれました。

「理不尽からの距離」と題した内容は次のようなものでした。
1955年、伊佐浜の自分の家の田んぼを基地のために取り上げられ壊される高校生。
1970年、京都、円山公園の集会で「安保反対」「沖縄を返せ」と叫ぶ高校生(これが私の役)
1990年、東京で、良い大学、良い企業を目指していて、政治には無関心な高校生。
そして2015年の今日、辺野古を、まして1955年の伊佐浜を遠いことのように思える那覇の高校生。
ニュースショーという表現形式に制約のある中で、この4名をキャスターの指示でレポーターがインタビューすることに。

私は実際に高校生のときに円山公園の集会に参加して、
「安保反対」と言い、
「沖縄を返せ」を歌ったのです。

その後、沖縄に住むようになってあの時「沖縄を返せ」と歌ったのは傲慢だったのではないかと思うようになりました。
沖縄は沖縄の人たちのものであって、沖縄に住む私が「沖縄を返せ」というのは分かるけれど、京都に住みながら自分のもののように「沖縄を返せ」と思っていたのではないのかと。

今回演じていて分かりました。
あの歌は沖縄に「沖縄を返せ」という歌だったのだと。
「沖縄の日本への復帰」と「沖縄を沖縄に返す」ということは別のこと。
なのに私は混同して歌を解釈していたのだと。

長年の宿題を解いたようなすっきりした気分になりました。
しかし沖縄の基地問題自体は、すっきりどころではありません。
今回も辺野古へ行くことはできませんでしたが、辺野古への基地建設に私は反対です。
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ドラマの手法を使った新しい授業アイデア

2015-08-12 09:41:12 | ワークショップの報告
立命館大学での免許状更新講習。

参加された先生方に、ドラマの手法を取り入れた協同学習について、自分ならどうするかを書いていただきました。

いくつかのアイデアを紹介します。
・証券会社の社員と顧客になって、やりとりをする。(商業)
この分野、私の一番苦手とする分野で、あまりイメージが湧かないのですが、証券の仕組みをいくつかの資料を使って理解したうえで、やりとりをするようです。教師としては、学習者の理解度を測るためにも使えそうですね。

・ブレヒト作「ガリレオの生涯」の宗教裁判のシーンを教材として台本化する。(理科)
「なぜガリレオは裁判で負けたのか」「この裁判の意図は何か」「教師がこの活動を意図した理由」を考えさせる。そのために様々な資料をジグソー法で共有。
私たちの思考が時代や場所によって限定されていることを実感することや、自然科学を学ぶ意味も考えられる面白くかつ深い内容だと思いました。ぜひ実践していただきたいです。

・竹取物語。(国語)
まず絵本で「かぐや姫」を読む。かぐや姫が月へ帰っていく場面を演じる。
次に古典「竹取物語」を作品の背景もまじえながら読む。同じ場面を演じる。
絵本と古典について、その違いについて話し合う。
絵本は絵本のよさがあるでしょうが、古典のよさを発見するのではないでしょうか。

・白雪姫(道徳)
白雪姫が毒りんごを食べてしまうシーンを演じる。
なぜ知らない人から勧められたものを食べてしまったのかを話し合う。
どうしたら断れるか、ロールプレイで断るシーンを演じてみる。
白雪姫という物語を味わうためでなく、「うまい話に乗せられず、うまく断る」という安全教育のために白雪姫を用いるという発想が面白いと思いました。

貴重なアイデアを、ご本人に断りなくこういうところで紹介するのは、知的財産権からいうとどうなのでしょうか(詳細は省略しましたが)。
でも、こういった原石をご本人と私だけが所有しているのは、なんともったいないことです。ぜひ磨かれて世に出て欲しいものです。

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免許状更新講習―共同学習とドラマの手法

2015-08-06 22:05:22 | ワークショップの報告
今日は立命館大学での免許状更新講習。

ここ数年は、免許状更新講習で「ハックルベリー・フィンの冒険」を取り上げています。
年々、進化するのを感じます。

学生と授業で実施したとき(2015.5.31参照)は15名でしたが、今日は23名。
少し多いですが、もともとは30名の予定でしたから、贅沢は言えません。

いつもと違ったのは、
①名前を呼び合うアクティビティをしませんでした。
「せっかく名札をつくったのに」と手伝ってくれた学生の声。自分で名前を名乗るだけでなく、名前を呼ばれたかったとのこと。そうなんだ。名前コールぐらいはしたほうが良かったかもしません。

②「心の声」のウォームアップを短時間にしました。前回学生との授業では、3人ずつぐらいのグループをつくって、例を見せて、状況と配役を考えてもらって、グループ毎に演じてもらっていましたが、今回はジグソー活動のグループ(5人)で、「お母さんが『ご飯できましたよ』という時の家族」と限定しました。すごく時間短縮になりました。ジグソーのグループでやったのも、次とのつながりから、良かったと思いました。

③ハックの台本を上演したのちのワークシートへの記入を省略しました。書くより、話し合う時間を優先しました。

こういった時間短縮のおかげで、あとの話し合いに時間をかけることができました。
実施するたびに、何かが洗練されていく感じ。それでも若干最後は走り気味。
参加者も異なるので、このワークショップは何度繰り返しても飽きることがありません。

一緒にプログラムを開発した吉田真理子先生に、本当に感謝です。

そして、今日、本当に贅沢だったのは、きゅーぴーこと藤原由香里先生(『ドラマと学びの場』共著者)がゲストで来てくださったこと。がねてぃこと上林梓先生(『実践ドラマ教育』共著者)が なんと! 受講生だったこと。
めちゃくちゃ、助けられました。

1日ではもったいない。2日間の講座にしたら。3日でも良いのでは。という受講生の声はとても励まされます。
本当に、そんなワークショップが開ける日が来れば嬉しいです。

受講生の皆さん、ありがとうございました。
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ストレス下の子どもと向き合う大人のためのワークショップ

2015-07-31 15:37:34 | ワークショップの報告
http://2015.nuchigusui-fest.com/

りっかりっか☆フェスタでお芝居を5本観て、ワークショップひとつに参加してきました。

お芝居もどれも良かったのですが、今日はワークショップの報告。
ワークショップは、児演協の主宰で、パレスチナから来た3人のアクターが、日ごろ子どもたちに向けて実施しているワークショップを紹介してくれました。

アクティビティそのものは、日ごろ体験しているものやそれをアレンジしたもので、特に新しいと感じるものはありませんでした。

けれど、流れがしっかり意識され、それが3人の中で共有されているようでした。

1.アイスブレイク チェック・インのことのようです。一人ひとりの自己紹介をかねて。
2.ウォーミングアップ アイスブレイクと区別されていました。
3.コンセントレーション 集中を要するアクティビティ。紙で作った棒の見立ては、ここに分類されていました。次のアクティングへのステップということでしょう。
4.アクティング 即興で場面をつくりました。ふたつの方法を使いました。
5.インタラクション 一体感や信頼感が生まれるアクティビティ。
6.クロージング 静かに内省するものと、楽しく終われるものとふたつ経験しました。

プレイバック・シアターの「動く彫刻」に似たものが「機械のきもち」として紹介されました。
指定された気持ち(今回はひとつめが「愛」、ふたつめが「怒」でした)を単純な動作と声の繰り返しで表現するのですが、順番に人が増え、最後は全員でひとつの機械になります。
「機械の気持ち」というより「感情マシーン」といったほうが適している気がします。

「動く彫刻」は大好きなアクティビティ。これを全員(講師も含めて15人ぐらい)で動くと強大なエネルギーの塊ができます。
これはぜひ、後期の授業に取り入れるべきだと思った次第。

「怒」の私の動作が、屈伸運動に近かったため、今日は筋肉痛。
あんなに何度も屈伸をせよといわれたら、苦痛以外のなにものでもないけれど、こういう形でならやれてしまうのが不思議。

紛争地パレスチナの子どものストレスは、想像も及びません。
けれど、日本の子どももパレスチナの子どもも、必要なのは、こうして誰かと一緒に楽しく動いて、ストレスを発散して、新しいエネルギーをもらうことではないでしょうか。

パレスチナの3人のアクターはおしゃべりでした。通訳が間に合わないくらい。
彼らの言葉が分からないので、何を言っているか分かりませんが、誰かがファシリテーターをしていても、他の人がすぐに何かを言ってました。

そしてファシリテーターなのにゲームで1番になりたがり、1番になると大喜びしていました。手抜きせず、全力でかかわっている。
日本人なら「大人気ない」と思うかもしれないけれど、これは、子どもたちの信頼を勝ち取るために重要なのではないかと思いました。

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