教師と生徒をつなぐあらゆるものを教材というなら、この本は教材としての劇・演劇的手法(ドラマ)について述べています。
本の成立までの経緯(どういう過程を経て最終稿ができあがったか)も面白いけれど、目次にあるように、それぞれの問題意識にまず興味を惹かれる。それぞれのドラマへの思い入れが、それぞれの角度から語られている。
これは、演劇サイドではなくまぎれもなく学校というサイドからドラマを見ている人たちの書いたもので、だから私には共感することも、あるいは逆に「う~ん、私ならこう思う」ということも含めて、とても身近に感じます。
著者の高山先生や小林先生は顔見知りなので、意外な一面を知ることが出来てそれだけでも面白かったし、一番私に受けたのは、平田先生。
「だいたい演技を習いに行くと、自分を開放しろだの、意識を分散しろだの、力を抜けだの、丹田を探せだの、無理難題をふっかけられて、私にはどうしてもついていけないのである。」そうだそうだ。
なのに、ドラマに魅せられて・・・。地域の演劇人とのコラボを追求するのです。
学校をオープンにして、地域の専門家を招きいれることはとても大切。そういう面でも、ドラマは教育や学校を見直す大切なアイテムだと思うのです。
個人的レベルでの絶賛! なのですが、それにとどまらない。学校教育とドラマの関わりの多様性と可能性を感じさせる良書です。
「学校という劇場から」佐藤信 論創社 2011年
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