福岡市のJRには、なぜ「福岡駅」がなく、「博多駅」なのでしょうか?
そもそも博多とは、古代につくられた大宰府の外港で、中世には堺とならぶ商業都市として栄えました。
近世になって、この地に、はいってきた黒田氏が、那珂川を隔てた博多の対岸に築いた城下町が福岡です。
以後、博多と福岡は川を挟んだ双子都市として発展し、明治維新を向かえました。
明治22年(1889年)に市制町村制が施行され、博多と福岡は合体して一つの市となりましたが、問題は市名をどうするかで意見が真っ二つに分かれました。
「博多」の地名が全国的に知名度が高かったことや、博多には有力な商人が多かったこともあって「福岡県博多市」に決まりかけましたが、最終的に福岡県が命令によって「福岡県福岡市」となってしまいました。
その同じ年に鉄道が開通し、駅は博多側に設置されましたので、せめて駅名だけでもということで、駅名は「福岡」ではなく「博多」となったというのが、「博多駅」誕生のいきさつであるようです。
JR 博多駅
その後、市名を「博多市」にとか、あるいは駅名を「福岡駅」に改名すべきであるとかいう論争が何度も起きたのですが、結局そのまま現代に至っています。
そして現在、一つの都市の中で「博多」と「福岡」という二つの地名がうまく使い分けられているのです。
ちなみに大正時代に開通した現在の西鉄は、そのターミナルを「福岡駅」と名付けられています。