極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

鯔のボッタルガに命がけ

2010年02月23日 | びわこ環境


人生は 才能出せず 定年と きみが揶揄する ほどにいかぬもの





【冷水病の因果律って?】

陽気な天気だというのに、正直言って疲れた。一日
デスクワークで、眼精疲労。しかしこの眼精疲労は
怖ろしく、クリティカル・ポイントを超えると神経
がイカレルから要注意だ。これは『羊をめぐる冒険』
に書かれていたし、過去にもブログした記憶がある。
まぁっ良いか。ただ、ネット関係の仕事が相当ハケ
整理整頓できた。嘗て、かかわった「琵琶湖総合開
発事業」の評価の作業が出来た。ある種の懐かしさ
が込みあげてきた。




確かに、湖岸道路や治水、利水、防災という面では
効果が、つまりは「B/C」指標は一定及第点はもら
えそうだが、水質汚染防止という観点からは落第の
線上にあるかのようだ。



アユの体やひれをただれさせる冷水病の病原菌が、
各地の河川に広まっているという。国内発生源と見
られるアユ種苗産地の琵琶湖では、アユ以外の魚に
も症状が出始めているという。琵琶湖の水質悪化が
病原菌や有毒プランクトンの温床になっているとい
う。


かつて琵琶湖環境権訴訟で原告たちが訴えた「琵琶
湖の危機」が、現実のものになってしまった。大阪
府高槻市の辻田啓志(現琵琶湖復興全国懇話会代表)
らとともに、琵琶湖総合開発の差し止めを求めて提
訴したのが1976年だ。13年後、大津地裁は「水質悪
化は進んでおらず、開発工事による水質汚濁や汚染
も認められない」と、原告側の主張を退ける。72年
にスタートした琵琶湖総合開発は、二兆円近い事業
費をつぎ込んで96年度に完了。



湖岸はコンクリートで固められ、浄化力の高い湿地
帯やヨシ原は消滅。琵琶湖からの取水量が増やされ
た結果、水位が大幅に低下することになった。代わ
りに、渇水時にアユが流入河川をのぼれなくても産
卵できるよう、人工河川が造られ、流入河川の上流
には、もっと水をためようとダムが造られ増設が計
画されたが、この間、77年に赤潮、83年にアオコが
初めて発生し、以後、常態化したとの厳しい評価が
ネット上でなされている(「
琵琶湖の危機(2000.0
9.22「窓」)
」)。



ところで、“cold water disease ”冷水病は、サケ、
マス、アユなどに発症する致死性の感染症。英語病
cold water disease を直訳し、冷水病と呼ばれるよ
うになった。低水温期に発生する北米のサケ・マス
の病気として知られていた。1984年にフランスのニ
ジマスで発生が確認され、日本ではギンザケ、ニジ
マスで1985年頃からみられる。鮎では1987年に徳島
県の養殖場で琵琶湖産稚魚から病原菌が確認拡大。
遊漁用に放流された鮎と同水域に生息するウグイ、
オイカワ、ヤマメなどの発症例も報告されている。



魚種により病原体への感受性は異なり、鮎の系統(
湖産、海産)によっても病原体に対する感受性は異
なる。養殖用にギンザケ卵が輸入されていたことか
ら、国内の冷水病はこの輸入卵に由来すると考えら
れていたが、病原菌の遺伝子分析などから、ギンザ
ケの菌と鮎の菌は、由来が異なると考えられている。
国内への進入経路は不明。国内での感染経路は、琵
琶湖産保菌種苗稚魚と考えられ、琵琶湖への侵入経
路も不明。全国のアユ養殖場で湖産種苗、人工種苗、
海産種苗の何れにも発生している。人間への感染は
確認されていないとされる。琵琶湖の汚染などの環
境影響による抵抗力低下による大量死と断定できる
のだろうか?ふわっとした感じでいえばそうかなと
も思う。「
アユ冷水病菌 Flavobacterium psychrophilum
の遺伝子型の判別法
」も確立されているから因果関
係やワクチンの調査研究が進めば新たな展開(新琵
琶湖汚染防止事業?)に繋がるだろう ^^;。



さて、『ダム・森林問題「水害招く山の荒廃」:琵
琶湖訴訟元原告団長、宮川などルポ
』で槌田啓志が
紹介されていた。そこでは、水が土砂とともに押し
寄せたら集落はひとたまりもない。「土石流という
より山津波だ
」と思った。本来は同じ意味だが、
石流と表現することで、災害を国土交通省の河川管
理の問題に矮小化していないか。農水省の林業政策

自治体も一緒に山の保水力再生を考えなおさないと
だめだと思ったとルポされている
。三重県は、北川
正恭知事時代の01年度から、民有林も環境林ととら
え、間伐や植樹を支援する先駆的な制度を始めた。
しかし、辻田さんが宮川上流で会ったのは「もうイ
ヤヤ、恐ろしい」と脱出を考えている住民たち。担
い手を欠いては森の再生は難しい。しかも若い役人
は過去の政策の誤りを認めるどころか、「天災」を
強調するだけだった。辻田さんは、琵琶湖の環境を
守ろうと13年も国を相手に裁判を戦った。しかし、
川や湖を守るには上流に目を向けるべきだと唱える。
今回、ダム反対の河川工学者に対しても、「堤防改
修を言うだけでちゃんと現場をみようとしない」と
チクリと書いたと綴られていた。

尚、彼の近著『水害大国』は、谷崎潤一郎の「細雪
から、戦前の山津波の恐怖を描いた部分を引用する
など読みやすさを心がけているという。



【Intermission】

 「今はまだ人生を語らず」

 「ペニーレインでバーボン」





【鯔の鮓とからすみ】




数おおふ 江鮒のうろこ 福島の 人は仕馴れて よいすずめ鮨


大阪福島の名物として「雀ずし」は、寛文6年(1666)
の『古今夷曲集』のなる歌で、ほぼ証明される。こ
のすしが、江ブナ(ボラの若魚)のすしであったと
される。「雀ずし」の名は、腹にご飯を一杯抱いて
丸くふくらんだ胴体と、ピンと張ったヒレが雀に似
ていたからだという。異説では、泳ぎだすような元
気な姿が「吉原雀(遊郭の素見客)」の踊る姿に似
ていたからだともいう。江ブナを小ダイに換えた天
明元年(1781)、雀ずしが仙洞御所の御用になった。
その折、調整役を受けた魚屋が、江ブナでは生臭く
皮も固かろうという理由で、大阪近海の淡路島や加
太の海でよく獲れた「チヤリコ」と呼ばれる小ダイ
に換え、
以来「雀ずし」は小ダイを握ったすしにな
ったといわれる。



ボラ(鰡・鯔・学名Mugil cephalus)は、ボラ目・ボ
ラ科に分類される魚の一種。ほぼ全世界の熱帯・温
帯に広く分布する大型魚で、海辺では身近な魚の一
つで食用に漁獲されている。全長80cm以上に達する
が、沿岸でよく見られるのは数cmから50cmくらいま
でである。


図 世界の漁獲高

10月~1月の産卵期には外洋へ出て南方へ回遊する
が、外洋での回遊の詳細や産卵域、産卵の詳細など
は不明な点が多い。卵は直径1mmほどの分離浮性卵
で、他の魚に比べて脂肪分が多く、海中に浮遊しな
がら発生する。卵は数日のうちに孵化し稚魚は沿岸
域にやってくる。イセゴイ(関西弁)、ナタネボラ
(愛媛県)、マボラ(広島県)、ツクラ(沖縄県)、
クチメ、メジロ、エブナ、ハク、マクチ、クロメ、
シロメなど日本では高度経済成長以降、沿岸水域の
汚染が進み、それに伴って「ボラの身は臭い」と嫌
われるようにもなったが、それ以前は沿岸でまとま
って漁獲される味のよい食用魚として広く親しまれ、
高級魚として扱った地域も少なくなかった。そのた
め各地に様々な方言呼称がある。

図 世界の養殖高

また、ブリやクロダイ、スズキなどと同様に大きく
なるにつれて呼び名が変わる出世魚にもなっている。

関東-オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→
   トド
関西-ハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド
高知-イキナゴ→コボラ→イナ→ボラ→オオボラ
東北-コツブラ→ツボ→ミョウゲチ→ボラ

ボッタルガ(カラスミ)

「トド」は、「これ以上大きくならない」ことから
「結局」「行きつくところ」などを意味する「とど
のつまり」の語源となった。「イナ」は若い衆の髷
の青々とした剃り跡をイナの青灰色でざらついた背
中に見たてたことから、「いなせ」の語源とも言わ
れる。また、「若い衆が粋さを見せるために跳ね上
げた髷の形をイナの背びれの形にたとえた」との説
もある。「オボコ」は子供などの幼い様子や、可愛
いことを表す「おぼこい」の語源となっており、ま
た「未通女」と書いてオボコと読んで処女を意味し
ていた。



日本でも「カラスミ」として知られるボッタルガ。
イタリアでは、サルデーニャ島が世界でも有数の高
級ボッタルガの産地。日本のカラスミより、生臭さ
がまったく無く、薄くスライスしてそのまま食べる。
イタリアでは、ボラ(ムッジーネ)以外にもさまざ
まな魚卵でボッタルガを作るが、ボラのカラスミは
日本人には一番馴染みがある素材。


 ItalySardinia.png

サルデーニャでも、一番人気のある食べ方はパスタ。
すりおろしたボッタルガとニンニク、バジルかイタ
リアンパセリとオリーブオイルをフライパンでスタ
ンバイ。パスタが茹であがる直前に火にかけ、茹で
あがったパスタをフライパンに入れて素早く絡める。
仕上げにもボッタルガをふりかけると、芳醇な香り
をより楽しめるが、炒めすぎると風味が飛んでしま
うので要注意。ここまで来てはたと思ったのは、日
本でボッタルガを量産すれば良いのだと。これは今
夜の大収穫と枕を高くして眠れるワイワイと。

                              
コメント
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