人生は 才能出せず 定年と きみが揶揄する ほどにいかぬもの
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【冷水病の因果律って?】
陽気な天気だというのに、正直言って疲れた。一日
デスクワークで、眼精疲労。しかしこの眼精疲労は
怖ろしく、クリティカル・ポイントを超えると神経
がイカレルから要注意だ。これは『羊をめぐる冒険』
に書かれていたし、過去にもブログした記憶がある。
まぁっ良いか。ただ、ネット関係の仕事が相当ハケ
整理整頓できた。嘗て、かかわった「琵琶湖総合開
発事業」の評価の作業が出来た。ある種の懐かしさ
が込みあげてきた。
確かに、湖岸道路や治水、利水、防災という面では
効果が、つまりは「B/C」指標は一定及第点はもら
えそうだが、水質汚染防止という観点からは落第の
線上にあるかのようだ。
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アユの体やひれをただれさせる冷水病の病原菌が、
各地の河川に広まっているという。国内発生源と見
られるアユ種苗産地の琵琶湖では、アユ以外の魚に
も症状が出始めているという。琵琶湖の水質悪化が
病原菌や有毒プランクトンの温床になっているとい
う。
かつて琵琶湖環境権訴訟で原告たちが訴えた「琵琶
湖の危機」が、現実のものになってしまった。大阪
府高槻市の辻田啓志(現琵琶湖復興全国懇話会代表)
らとともに、琵琶湖総合開発の差し止めを求めて提
訴したのが1976年だ。13年後、大津地裁は「水質悪
化は進んでおらず、開発工事による水質汚濁や汚染
も認められない」と、原告側の主張を退ける。72年
にスタートした琵琶湖総合開発は、二兆円近い事業
費をつぎ込んで96年度に完了。
湖岸はコンクリートで固められ、浄化力の高い湿地
帯やヨシ原は消滅。琵琶湖からの取水量が増やされ
た結果、水位が大幅に低下することになった。代わ
りに、渇水時にアユが流入河川をのぼれなくても産
卵できるよう、人工河川が造られ、流入河川の上流
には、もっと水をためようとダムが造られ増設が計
画されたが、この間、77年に赤潮、83年にアオコが
初めて発生し、以後、常態化したとの厳しい評価が
ネット上でなされている(「琵琶湖の危機(2000.0
9.22「窓」)」)。
ところで、“cold water disease ”冷水病は、サケ、
マス、アユなどに発症する致死性の感染症。英語病
名 cold water disease を直訳し、冷水病と呼ばれるよ
うになった。低水温期に発生する北米のサケ・マス
の病気として知られていた。1984年にフランスのニ
ジマスで発生が確認され、日本ではギンザケ、ニジ
マスで1985年頃からみられる。鮎では1987年に徳島
県の養殖場で琵琶湖産稚魚から病原菌が確認拡大。
遊漁用に放流された鮎と同水域に生息するウグイ、
オイカワ、ヤマメなどの発症例も報告されている。
魚種により病原体への感受性は異なり、鮎の系統(
湖産、海産)によっても病原体に対する感受性は異
なる。養殖用にギンザケ卵が輸入されていたことか
ら、国内の冷水病はこの輸入卵に由来すると考えら
れていたが、病原菌の遺伝子分析などから、ギンザ
ケの菌と鮎の菌は、由来が異なると考えられている。
国内への進入経路は不明。国内での感染経路は、琵
琶湖産保菌種苗稚魚と考えられ、琵琶湖への侵入経
路も不明。全国のアユ養殖場で湖産種苗、人工種苗、
海産種苗の何れにも発生している。人間への感染は
確認されていないとされる。琵琶湖の汚染などの環
境影響による抵抗力低下による大量死と断定できる
のだろうか?ふわっとした感じでいえばそうかなと
も思う。「アユ冷水病菌 Flavobacterium psychrophilum
の遺伝子型の判別法」も確立されているから因果関
係やワクチンの調査研究が進めば新たな展開(新琵
琶湖汚染防止事業?)に繋がるだろう ^^;。
さて、『ダム・森林問題「水害招く山の荒廃」:琵
琶湖訴訟元原告団長、宮川などルポ』で槌田啓志が
紹介されていた。そこでは、水が土砂とともに押し
寄せたら集落はひとたまりもない。「土石流という
より山津波だ」と思った。本来は同じ意味だが、土
石流と表現することで、災害を国土交通省の河川管
理の問題に矮小化していないか。農水省の林業政策、
自治体も一緒に山の保水力再生を考えなおさないと
だめだと思ったとルポされている。三重県は、北川
正恭知事時代の01年度から、民有林も環境林ととら
え、間伐や植樹を支援する先駆的な制度を始めた。
しかし、辻田さんが宮川上流で会ったのは「もうイ
ヤヤ、恐ろしい」と脱出を考えている住民たち。担
い手を欠いては森の再生は難しい。しかも若い役人
は過去の政策の誤りを認めるどころか、「天災」を
強調するだけだった。辻田さんは、琵琶湖の環境を
守ろうと13年も国を相手に裁判を戦った。しかし、
川や湖を守るには上流に目を向けるべきだと唱える。
今回、ダム反対の河川工学者に対しても、「堤防改
修を言うだけでちゃんと現場をみようとしない」と
チクリと書いたと綴られていた。
尚、彼の近著『水害大国』は、谷崎潤一郎の「細雪」
から、戦前の山津波の恐怖を描いた部分を引用する
など読みやすさを心がけているという。
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【Intermission】 「今はまだ人生を語らず」
「ペニーレインでバーボン」
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【鯔の鮓とからすみ】
数おおふ 江鮒のうろこ 福島の 人は仕馴れて よいすずめ鮨
大阪福島の名物として「雀ずし」は、寛文6年(1666)
の『古今夷曲集』のなる歌で、ほぼ証明される。こ
のすしが、江ブナ(ボラの若魚)のすしであったと
される。「雀ずし」の名は、腹にご飯を一杯抱いて
丸くふくらんだ胴体と、ピンと張ったヒレが雀に似
ていたからだという。異説では、泳ぎだすような元
気な姿が「吉原雀(遊郭の素見客)」の踊る姿に似
ていたからだともいう。江ブナを小ダイに換えた天
明元年(1781)、雀ずしが仙洞御所の御用になった。
その折、調整役を受けた魚屋が、江ブナでは生臭く
皮も固かろうという理由で、大阪近海の淡路島や加
太の海でよく獲れた「チヤリコ」と呼ばれる小ダイ
に換え、以来「雀ずし」は小ダイを握ったすしにな
ったといわれる。
ボラ(鰡・鯔・学名Mugil cephalus)は、ボラ目・ボ
ラ科に分類される魚の一種。ほぼ全世界の熱帯・温
帯に広く分布する大型魚で、海辺では身近な魚の一
つで食用に漁獲されている。全長80cm以上に達する
が、沿岸でよく見られるのは数cmから50cmくらいま
でである。
図 世界の漁獲高
10月~1月の産卵期には外洋へ出て南方へ回遊する
が、外洋での回遊の詳細や産卵域、産卵の詳細など
は不明な点が多い。卵は直径1mmほどの分離浮性卵
で、他の魚に比べて脂肪分が多く、海中に浮遊しな
がら発生する。卵は数日のうちに孵化し稚魚は沿岸
域にやってくる。イセゴイ(関西弁)、ナタネボラ
(愛媛県)、マボラ(広島県)、ツクラ(沖縄県)、
クチメ、メジロ、エブナ、ハク、マクチ、クロメ、
シロメなど日本では高度経済成長以降、沿岸水域の
汚染が進み、それに伴って「ボラの身は臭い」と嫌
われるようにもなったが、それ以前は沿岸でまとま
って漁獲される味のよい食用魚として広く親しまれ、
高級魚として扱った地域も少なくなかった。そのた
め各地に様々な方言呼称がある。
図 世界の養殖高
また、ブリやクロダイ、スズキなどと同様に大きく
なるにつれて呼び名が変わる出世魚にもなっている。
関東-オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→
トド
関西-ハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド
高知-イキナゴ→コボラ→イナ→ボラ→オオボラ
東北-コツブラ→ツボ→ミョウゲチ→ボラ
「トド」は、「これ以上大きくならない」ことから
「結局」「行きつくところ」などを意味する「とど
のつまり」の語源となった。「イナ」は若い衆の髷
の青々とした剃り跡をイナの青灰色でざらついた背
中に見たてたことから、「いなせ」の語源とも言わ
れる。また、「若い衆が粋さを見せるために跳ね上
げた髷の形をイナの背びれの形にたとえた」との説
もある。「オボコ」は子供などの幼い様子や、可愛
いことを表す「おぼこい」の語源となっており、ま
た「未通女」と書いてオボコと読んで処女を意味し
ていた。
日本でも「カラスミ」として知られるボッタルガ。
イタリアでは、サルデーニャ島が世界でも有数の高
級ボッタルガの産地。日本のカラスミより、生臭さ
がまったく無く、薄くスライスしてそのまま食べる。
イタリアでは、ボラ(ムッジーネ)以外にもさまざ
まな魚卵でボッタルガを作るが、ボラのカラスミは
日本人には一番馴染みがある素材。