山雨に 桃の花咲き むせび泣く 見上げる空に 一筋の烟り
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春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子
大伴家持/巻19・4139
従兄弟の婦人の告別式で生駒を往復。第二京阪、第
阪奈の道路整備で、枚方から彦根まで1時間程度で
走れる。便利なものだ。婿養子の従兄弟夫婦の年齢
と同じで彼女もわたしもひとごとでない心境。また
近くなった死。小高い山の上の斎場で火葬を終え空
を見上げる。いまは電気で燃やすみたいだと、本家
の従兄弟がいう。早過ぎた別れ、参列者に等しく哀
しみが降り注いでいると詠う。
合掌
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【政権交代の意義:寄附と再配分の促進】 Gift economy
寄附とはと金銭や財産などを公共事業、公益・福祉・
宗教施設などへ無償で提供すること。災害の際に被
災地・被災民へ送られる義捐金も寄付の一つ。寄付
は福祉に係る費用の一部を担う重要な経済活動でも
ある。宗教施設に寄付することを寄進と称する。財
団法人日本相撲協会では勝負規定を寄附行為細則の
一部として定めているものある。
無償でなされるもので、被寄付側から見ると寄付は
純粋な所得となる。通常、所得は課税の対象となる
が、多くの国・地域では寄付活動を推奨するため、
特定の団体・機関に対する寄付を非課税としたり課
税控除の対象としえいる。特定の団体・機関を選定
する基準は国・地域により差異がある。寄附対象が
公共・公益目的を持った団体・機関が使われ脱税の
隠れ蓑に使われる。また、政治汚職を防止のため、
多くの国・地域で政治家・政党への寄付(政治献金
)に厳正に規制される。
日本は、個人が確定申告を行うことで「特定寄付金」
として、寄付金控除(所得控除・特定寄付額が対象
となる。(1)国や地方公共団体、日本赤十字社、
その他の政治団体で一定のもの、一定の公職の候補
者など特定の団体に対する寄付金(2)指定寄付金・
特定公益信託の信託財産とする為に支出した金銭。
(3)“特定公益増進法人”認定NPO法人への寄付金 廻り廻って
世界的に見ると寄付の社会への浸透度も国・地域で
異なる。2000年頃の状況を見ると、米国は年間二千
億ドル(約20数兆円)を超えるが、日本では約千億
円の二百分の1程度にとどまる。両国とも世帯ベー
スでは約70%の世帯が寄付を行っているが、世帯当た
り米国は約17万円、日本は約三千円と寄付金額に格
差が見られる。
この格差は、宗教観・社会意識・税制の違いに起因
すると考えられる。日本や諸外国に比べてジニ係数
が非常に高く、ほとんど再分配がなされていない。
イスラム諸国、タイ王国など、敬虔な信徒の多い国・
地域では社会活動に占める寄付の役割が非常に大き
い。
【寄付と宗教・文化活動】
中国は、収穫物は天より人が預かっているものであ
り、その預かり物を個人の意思で濫りに使うのは王
でさえも許されないとの天道思想があった。宗教と
非常に強いつながりを持ち、宗教や文化活動それ自
体は生産性がない。宗教や文化活動の費用を何らか
の方法で調達する必要がある。寄付に頼らざるを得
ない。宗教活動の多くの場合、寄付は、一義的には
神や仏に対して捧げられるものと認識されていた。
ほとんどの宗教では、貧困者救済などの寄付が奨励
されている。イスラームではサダカ(自由喜捨)と
いい、仏教では喜捨といい寄付は、宗教的背景を持
つてきた。近代に入り、欧米諸国で貧富差の拡大が
顕著となり、キリスト教精神に基づき各種の慈善(
チャリティー)が行われ、社会福祉の一翼を担うよ
うになる。
欧米諸国の中でも、米英などでは自助の精神が強く、
政府に頼らず民間での寄付が盛行したが、北欧諸国
は政府が福祉を担うという社会意識が比較的強く、
民間の寄付は英米ほどでなかった。日本では奈良時
代の頃から、利水・治水や橋・道路建設などの公共
事業のため、仏教僧が民間から奉加(ほうが)と呼
ばれる寄付を集める勧進が行われていた。中世は自
力救済の時代であったが、民衆の間に頼母子講など
の相互扶助が始まった。
明治になり社会構造が大きく変わると、相互扶助に
代わって寄付が盛んになり、第二次世界大戦以前は、
皇室や財閥などによる寄付が寄付総額の30%にのぼる
など、福祉の部分を寄付が担ったが、敗戦後は福祉
国家が理想とされ福祉は政府が責任を持つという意
識が広がり、寄付の相対的地位は低下。1995年の阪
神・淡路大震災の際は、未曾有の災害状況に多数の
義捐金が寄せられ(被災者個人に渡らず)、寄付総
額が前年の2倍に増加した。2000年頃からは、ゆるや
かな連帯の社会の再構築が日本各地で模索され始め
る。
民法に規定する贈与は、自己の財産を無償で相手方
に与える意思を示し、相手方がそれに受諾すること
によって成り立つ片務・諾成・無償の契約である(
民法549条)。 目的物を譲り渡す者を「贈与者」、
譲り受ける者を「受贈者」という。個人から個人へ
の贈与については、贈与を受けた人に贈与税がかか
る(死因贈与の場合は相続税)。
個人から法人への贈与の場合、贈与を受けた法人は
時価で財産を受け取ったものとして受贈益を計上す
ることとなり、法人税がかかる(法人税法22条2項)。
それに加えて贈与者である個人は時価で財産を譲渡
したものとみなされ、当該財産の取得価額と時価と
の差額について所得税が課税される(みなし譲渡益
課税、所得税法59条)。
Thanissaro Bhikkhu
法人から個人への贈与の場合、受贈者が当該法人の
役員・従業員であれば給与所得、それ以外の場合は
一時所得として所得税が課税される。それに加えて
贈与者である法人は時価で財産を譲渡したものとみ
なされ、当該財産の取得価額と時価との差額を売却
益として計上する必要があるほか、借方は役員賞与・
賞与・寄付金となるため、会計上の費用となるが税
法上損金とならないことがあり、法人税に影響する。
法人から法人への贈与の場合、贈与者は売却益を計
上、受贈者は受贈益を計上し、それぞれ法人税の対
象となる。一定の公益法人等への贈与および同族会
社への贈与などには上記の原則に対する例外が定め
られている。
結論を急ごう。贈与経済へのソフトランデイング整
備を考える条件として国内だけでなく国際的なリン
ケージをも頭に(1)贈与主体に対する税制上の控
除対象の枠の拡大(2)贈与先に対する決済報告の
義務化(3)これに伴う、非営利、政治、宗教の組
織団体の財務報告事項や控除証明書の発行に関する
法整備(4)海外団体組織に対する国際的法整備。
(5)脱税行為に対する実刑法整備などある。例え
ば、海外の宗教団体への寄附(お布施)もカウント
することになれば、これにより、寄附(寄進)先の
財務状態も明らかになっていく(宗教法人の課税枠
拡大論議も必要だろう)。
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【鰹は日本の真ん中】
日本では古くから食用にされ、大和朝廷は鰹の干物
(堅魚)など加工品の献納を課していた記録がある。
カツオの語源はこの堅魚(かたうお)から来ている
のが一般的である。鰹節(干鰹)は神饌の一つで、
社殿の屋根にある鰹木の名称は、鰹節に似ているこ
とによると云われている。戦国時代には武士の縁起
かつぎとして、鰹節を「勝男武士」と称し、織田信
長は産地より清洲城や岐阜城に鰹を取り寄せて家臣
に振る舞った記録がある。
江戸時代には人々は初鰹を特に珍重し「目には青葉
山時鳥 初松魚(かつお)」という山口素堂の俳句
は有名。殊に江戸においては「粋」の観念によって
初鰹志向が過熱し、非常に高値となった。「庶民に
は初鰹は高嶺の花で、「目には青葉…」の返歌とな
る川柳に「目と耳はただだが口は銭がいり」がある。
初鰹と戻り鰹をもって旬とするが、現在最も好まれ
るのは、秋の戻り鰹である。鹿児島県枕崎市や沖縄
県本部町などでは、端午の節句になるとこいのぼり
ならぬ「カツオのぼり」が上る。
カツオ、英名 Skipjack tuna、学名 Katsuwonus pelamis
は、スズキ目・サバ科に属する魚の一種。暖海・外
洋性の大型肉食魚で1種のみでカツオ属 Katsuwonus
を構成する。鰹の漁が盛んな地域では郷土料理とし
て鰹料理が多い。地方名としてホンガツオ、マガツ
オ(各地)コヤツ、ビンゴ(仙台 : 若魚)ヤタ(仙
台 : 成魚)サツウ(小名浜)マンダラ(北陸)スジ
ガツオ(和歌山・高知)などがある。大型のものは
全長1m・体重18kgに達するが、漁獲が多いのは全長
50cm程である。
全世界の熱帯・温帯海域に広く分布する。日本では
太平洋側に多く、日本海側では稀である。摂氏19~
23℃程度の暖かい海を好み、南洋では一年中見られ
るが、日本近海では黒潮に沿って春に北上・秋に南
下という季節的な回遊を行う。南洋での遠洋漁業は
1年中行われ、日本では静岡県および鹿児島県が漁
獲高の大半を占める。この多くは巻き網と呼ばれる
漁法で漁獲されたもので、冷凍されて水揚げされ、
鰹節や生利節の原料になる。
近海物は、カツオの北上に伴って各地で行われる。
一本釣りやケンケン引きと呼ばれる漁法で釣られ、
冷凍されずに締められ、太平洋岸の漁港に水揚げさ
れる。これら近海ものは新鮮なまま港に入荷される
ので刺身やたたきなどで食べられる。鹿児島県から
遠州灘にかけては春、伊豆以北では初夏に漁期が来
る。今回も熟鮓情報は探せなかった。完全食料品の
鰹節の文化の分厚さはいうまでもないが、世界的な
需要予測に対しては他の魚類と同様だろう。地球海
洋全体を生け簀とみたてて国際管理する時代に違い
ない。
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