朝の彼女のお気に入りテレビ番組に「MOCO'Sキッチン」がある。
早速、夕食にだされるが彼女はそのことを伏せているからわからないが
結果の感想は「へぇ~これは美味いね。なるほど粒マスタードがポイン
トか。醤油+みりんの肉じゃが料理に匹敵すんじゃないか」「オリーブ
オイルが具材全体のバインダーとなっているからかなぁ」と言うと「ア
ンチョビが入っていないのよ」との返事だ。つまり、「もこみち流じゃ
がいもとにんじんの粒マスタード炒め」-「アンチョビ」=「我が家流
じゃがいもとにんじんの粒マスタード炒め」ということになるが、和風
ダシの素を加え、塩味をきかせれば代用できるんじゃないかと返事する。
なにが彼女をそれ程までに夢中にさせるのだろうかと怪訝に思い、番組
を録画し再生してみると感心したことが1つあった。長身の彼の調理動
作がいままで見たことのない絵なのだ。下の写真は「もこみち流さんま
のピリ辛蒲焼き」のひとコマなのだが、縦長の彼が三枚におろした秋刀
魚を三切れに切り、その一片をつまみフライパンに入れようとするカメ
ラ目線のアップなのだが、長身ゆえひとこまひとこま毎、大袈裟にみえ
ることが新鮮さが魅力なんだろうと腑に落とす。大男が繊細な料理を創
るこれは面白い。速水もこみち当年27。名前は芸名ではなく本名。本人
曰く、「まっすぐ」を意味する「もこ(moco)」と日本語の「道」を合
わせて、「まっすぐな道を歩んでほしい」という願いをこめて父親が命
名したというが、スペイン語、ポルトガル語に「まっすぐ」という意味
はなく「moco」の意味を勘違いした父親が命名したのではというがこれ
も面白い。
『DOCTORS 最強の名医』というドラマで食い入るように、とき
おりすっとんきょな声をあげながら、あっというまに一時間が過ぎた。
初回であって、ネットで番組内容をみるまでストーリー展開が読めなか
った。それというのも完璧で完全主義な“正義”かその対局の“悪漢”
なのかわからなかったのだが、どうもそう簡単ではないというところ
までわかった。主演の沢村一樹はその意味では適役なのだということを
後で納得なっとできるぐらいのエピソードがある。
俳優活動にとどまらず、下ネタ発言を売りのひとつとしたバラエティー
番組への出演も多いというのだ。『行列の出来る法律相談所』で島田紳
助が名付けたニックネーム「エロ男爵」や『サラリーマンNEO』で沢村
が演じるキャラクター名「セクスィー部長」と呼ばれることもある。
「エロ男爵」「セクスィー部長」に関して数々のエピソードもあるとい
うのだ。沢村のドラマ出演やCMの製作会見やイベント等では下ネタやセ
クハラ発言がお約束になって翌日メディアで「エロ男爵・沢村一樹大暴
走」等と書かれえるのが通例になっているという。 「エロ男爵」「セ
クスィー部長」に関して数々のエピソードがある。沢村のドラマ出演や
CMの製作会見やイベント等では下ネタやセクハラ発言がお約束になって
翌日メディアで「エロ男爵・沢村一樹大暴走」等と書かれえるのが通例
になっている程、草食系が流行る昨今のコントラとしての価値の希求の
顕れと了解する。その意味では、“日本人の現在の価値とはなにか”を
うまく炙り出ししてもらえればと期待している。そんなことを考えてい
ると甲斐ひろしのレコードアルバム『英雄と悪漢』が聴きたくなった。
東京の冷たい壁にもたれて
かりそめのスウィング
・・・・・・
でもこの「愛」という言葉―
この言葉はだんだん暗みを増し、重みを増し
やがて身を大きく揺るがせて
ものを食べ始め、ぴくぴくと震えつつ
この紙越しにこちらにやってきて、
そして最後には僕らもまたその透明な
喉の中で仄かに見えるだけになるのだが、
僕らはそれでもまだ容赦なく引き裂かれ、腰も腿もてかてかと光る、
ためらいというものを知らぬ
その君のほどけた髪も。
レイモンド・カーヴァー『この愛という言葉』
村上春樹 訳 “ This word love ”