極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

ビワマスと食欲の秋

2011年10月04日 | びわこ環境


 

 桜鱒 新米に載せ 口元へ 握り膨るる 食欲の秋 

 I 've made ​​the fresh rice placed on masu salmon sushi,
 and enjoy an autumn appetite.


 我做了新鮮的大米放在櫻花鉤吻鮭魚壽司
 喜歡秋天的食慾

 

 
  夜になると鮭は
 川を出て街にやってくる
 フォスター冷凍とかA&Wとかスマイリー・レストランといった場所には
 近寄らないように注意はするが
 でもライト・アヴェニューの集合住宅のあたりまではやってくるので
 ときどき夜明け前なんかには
 彼らがドアノブを回したり
 ケーブルTVの線にどすんとぶつかったりするのが聞こえる
 僕らは眠らずに連中を待ち受け
 裏の窓をあけっぱなしにして
 水のはね音(スプラッシュ)が聞こえると呼んでみたりするのだが
 やがてつまらない朝がやってくるのだ


  
   At night the salmon move
     out from the river and into town.
   They avoid places with names
   like Foster's Freeze, A&W, Smiley's,
   but swim close to the tract
   homes on Wright Avenue where sometimes
   in the early morning hours
   you can hear them trying doorknobs  
   or bumping against Cable TV lines.
   We wait up for them.
  We leave our back windows open
   and call out when we hear a splash.
   Morning are a disappointment.

 
                       『夜になると鮭が』(At nighi the salmon move
                          レイモンド・カヴァー/村上春樹 訳

  

【淡水魚の大トロ】




ビワマスの養殖に成功し県下でも出回るようにはなったが、料亭どまりと
いったところで滅多に口にしない。ところが、大藪のパリヤに母の見舞い
になにか口に出来るものはないかと立ち寄ったところ、ビワマス寿司が、
店内の「山月寿司」でビワマスが目にとまった。早速、にぎりと押し寿司
の二つを購入したものの、食あたりでもあってはいけないと、家に持ち帰
り、詳細情報をとり試食した結果で判断しようと、早い話が一足先に自分
がたべたということに。彼女が押し寿司を食べたというので感想を聞くと
少し生臭いかなぁと言うので、それは放置時間の関係ではないかと思った。

にぎり鮨一貫を口に頬張ると、キングサーモンよりあっさりとした脂身で、
マグロの大トロに近いが、桧や杉の匂いがするような爽やかな後味が口に
広ろがる。これはいける! やっと滋賀県にも新鮮な魚肉を口に出来ると
確信。鮎もあるのだが大型魚としてはサクラマスに属し、ヤマメやアマゴ
の親種で、ニジマスから分殖したものでサケ属。そのうち桜鱒の燻製やめ
んふ(塩辛)もでまわるようになるだろう。ところで、ビワマスの桜色は
餌食のアナンデールヨコエビのアスタキサンチンと呼ばれる色素からなる
とされ、鮎が豊漁のときは色は薄く、不漁のときは濃くなるという生態模
様を投影するとも言われている。ともあれ、講釈より実食!兎にも角にも
美味いのだからお勧めの次第。滋賀の社食には桜鱒料理は欠かせないとい
う時代も近い。



【ビワマスという名の桜鱒】

ビワマスは滋賀県・琵琶湖に唯一存在するサケ科の固有種。サクラマスに
一見似ているが、大きな目と丸まった顎で表情は異なる。また、サクラマ
スには銀毛した体の側面に見られる朱点がビワマスには見られない。この
3点がサクラマスとビワマスの大きな特徴。ビワマスは秋に琵琶湖から母
川回帰して遡上し、上流で産卵。春に孵化をした稚魚は初夏には7cm程に
成長し、川を下り琵琶湖のディープで成長します。琵琶湖ではアユ・スジ
エビなどをメインベントとして捕食し、大きい物はは70~80cmを超える個
体も報告されている。地元では秋に雨の降った後、大挙して遡上するため、
「アメウオ」とも呼ばれるというがビワマスはサクラマスに属す。




なお、サクラマス(桜鱒、O. masou)は、サケ目サケ科に属する魚。ヤマ
メ、アマゴは、それぞれサクラマス、サツキマスの河川残留型(陸封型)
に対する呼称。太平洋北西部を中心に分布するが、北から順に、オホーツ
ク海沿岸から朝鮮半島・北日本まで分布する。琵琶湖のビワマス、南日本・
西日本のサツキマス、台湾のタイワンマスがいる。名前の由来については、
桜の花の咲く頃に漁獲されるからや産卵期の婚姻色と諸説有ある。サクラ
マス(ヤマメ)は北太平洋のアジア側にのみ生息し、分布の南限は鹿児島
県。北海道、東北、北陸では多くの個体が降海してサクラマスとなる。

 

ややこしいのはここから。本来、ヤマメとアマゴは分布域が異なる。放流
で自然分布域が乱れる。アマゴとは異なり、体側に朱紅点がない。サクラ
マスは降海型
、ヤマメは河川残留型を指し、生活史が異なり、滋賀県の1
町1地点で確認されているだけ。本来、ヤマメは琵琶湖水系には分布しな
いが、人為放流により分布した可能性が高い
。ヤマメが採集された場所は、
アマゴが生息し、交雑による遺伝的撹乱が懸念されている(『桜鱒とペイ
バックタイム
』)。

 

水産庁の研究機関である養殖研究所の大原一郎らは、サクラマス、アマゴ
およびビワマスのミトコンドリアという細胞内の小器官にある遺伝子の一
部を解析し、1996年にその結果を発表している。それによると、サクラマ
スとアマゴはかなりよく似た関係で同種に近く、ビワマスはこの2種に比
較すると別種に分類されるほどに異なっているというのである。また、ビ
ワスとアマゴは琵琶湖で一緒に生息しているにもかかわらず、交雑してい
る形跡がないという。つまりビワマス、サクラマスおよびアマゴは3種に
共通する祖先から最初にビワマスが分かれ、その後かなり時間がたってか
らサクラマスとアマゴが分岐したとしている。また、ビワマスが祖先から
分かれたのは、一つの計算では約50万年前で、現在の深い琵琶湖が形成さ
れ始めた45万年前とだいたい一致するという論文発表から10年以上も経て
いる現在も平静に受け止められているという。



※「ビワマス-湖に生きるサケ-」藤岡康弘
※「養殖に適した高成長系ビワマスの作出


 

コメント
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