大阪市は、民間の画像投稿サイト「FixMyStreet Japan」(フィックス・マイ・ストリート ジ
ャパン)を活用して、地図情報上に地域課題やその解決に向けた取り組み状況等を投稿する「マ
イコミおおさか」の実証実験(トライアル運用)を市内8区で実施すると公表した。この「マ
イコミおおさか」とは、さまざまな世代が居住する大都市においては、従来からの人と人の対面に
よるコミュニケーションに加え、ICT(情報技術)を活用し、あらゆる世代が参加しやすいコミュニケ
ーションも必要だと考え、画像投稿サイトをコミュニケーションツールとして積極的に活用する
ことを期待し、「マイコミュニティ」「マイコミュニケーション」の2つの意味を込めて「マイ
コミおおさか」とネイミングしたという。この実証実験は、市民同士、市民と行政がつながり、
日々発生しているさまざまな地域課題等を市民協働で解決する仕組みづくり構築に向け課題等を
整理じ、大都市にふさわしいコミュニケーションシステムの構築をめざすという。
(1)実施期間:<予定>平成26年4月14日(月曜日)から平成26年7月31日(木曜日)まで
(2)実施対象区:都島区、西区、天王寺区、浪速区、西淀川区、東淀川区、阿倍野区、住吉区
(3)使用アプリケーション:民間の画像投稿サイト「FixMyStreet Japan」を使用し、市は利用
者の立場で利用。この使用アプリケーションに登録された方であればどなたでも投稿が可能。
(4)運用:(ア) 投稿時間:インターネットにより、24時間365日課題等を投稿することが可能。
(イ) 市の対応時間。原則として、平日9時00分から17時30分まで。(ウ) 投稿の対象となる
情報地域にお ける道路、ごみ、その他の課題等投稿された課題に対する対応状況 地域の中
の「これはいいね!」という情報(おすすめの花見スポットなど) 。
正直、これは面白いね~~ぇ。行政サービスの品質向上に繋がった後の成果に期待。これに注目だ!
【アベノミクス第三の矢 僕ならこうするぞ!】
●里山資本主義異論
大阪市の実証実験「マイコミおおさか」の例は、つまり、「ITによるコミュニティー強化」は
「都会のスマートシティ」と「地方の里山資本主義」の「車の両輪」社会を実現きるだろうか?
その期待を負って、ここでは、スマートシティが目指す「コミュニティー復活」が語られている
が、こんな小さな島国が、世界2位の経済大国に成長できたのは誰のおかげであったか、思いを
致すべきだ。「金の卵」たちのおかげなのだ。との件はさすが木っ端恥ずかしいくもあるが、こ
こでは、わたし(たち)がよく用いる、"高度消費資本主義社会(=前社会主義社会)" 的側面
をリアルに、具体的に紹介される。
スマートシティが目指す「コミュニティー復活」
驚くなかれ、「スマートシティの精神」の里山資本主義との符合は、まだ終わらない。
スマートシティのシステムを導入するマンションは、エネルギーの効率的なシステムと共
に、住民のつながり、みまもりを復活させるシステムを併せ持つことを目指しているのだ。
どういうことか。
コンピューターのシステムが各家庭の消費電力を把握し、コントロールするということは、
住民がどう暮らしているかという情報を管理している、ということでもある。こうした個人
情報が漏れ出さないようにすることにも大きな努力と技術革新がつぎこまれている。そうし
た情報に加工を施した上で、使えるものは使っていこうというわけである。
全部の部屋の電気が消えたら家族は寝たのだなとわかる。テレビもエアコンも切られ、セ
キュリティーを外から確認できるスイッチが入れられたら、外出するのだなとわかる。ひと
り暮らしのお年寄りが倒れていないかは、トイレの使用や、お茶を飲むために使うポットの
使用をチェックしておけば把握できる(すでにそうしたことは、離れて暮らす家族のための
サービスとして始まっている)。ばらばらで、同じ建物に住んでいてもつながりが薄いマン
ション。
そのつながりを取り戻すためにこのシステムを活用できないか、都会の孤独を解消できな
いかというのだ。
毎週の会議で、メンバーたちが一番目を輝かせて議論し、アイデアを出し合っていたもの
のひとつが、この「ITによるコミュニティー強化」だった。会合後の飲み会は、さらにこ
の話で盛り上がる。
実際にスマートシティのシステムを導入しようとするマンションの住民との会合でも、関
心が集まるのは、ここだ。ただ便利なだけではない技術、人をきめ細かにいたわる技術であ
ることが、住民たちの共感を集めていく。
ビジネスや技術の最先端を切り拓こうとする日本人の多くは、ただ儲けたいのではない。
むしろ、儲け以上に「理想」が大事なのだ。自分の目指す「人として、地域として、国と
しての生き方」を実現するためのビジネスや技術でありたいのだ。
その思いは東日本大震災後、さらに高まっている。会議で熱い議論をしていたその最中に
大震災の異様な揺れを経験したメンバーたち。震災後のニッポンに自分たちが開発してきた
ことを役立てなければならない、といち早く声を上げ、被災地復興にスマートシティのノウ
ハウをつぎこんでいくアイデアを出し、動き出している。
海外でも、企業軍団を仕切る佐々木氏は、ロシア・サンクトペテルブルクでの巨額受注に
向け、動きを加速させている。
私が広島に転勤し、里山資本主義の「運動」を始めたあと、久しぶりに出張した東京で主
要メンバーのひとりと夕食を共にした。彼は、席につくなり興奮気味に自分の構想を話し始
めた。「昔、ご近所でしょうゆを貸し借りしたり、荷物を預かったり、安否を気遣ったりし
たのと同じことが、マンションライフでも提案できないか、考えているんです」と。没交渉
になりがちなマンションの人間関係をつなぎ直し、温かみを感じるコミュニティーにしたい。
その理想を、彼は真正面からつきつめようとしていた。
私も、中国山地の元気なおじさんたちと取り組んでいる挑戦について話した。互いの話は
刺激し合い、クロスして膨らんでいった。
「なんだ、完全にI緒じやないか!」と爆笑した。我々は固く握手を交わし、これからも情
報を交換し、刺激しあおうと約束した。
「都会のスマートシティ」と「地方の里山資本主義」が「車の両輪」になる
これからの日本に必要なのは、この両方ではないだろうか。都会の活気と喧噪の中で、部
会らしい21世紀型のしなやかな文明を開拓し、ビジネスにもつなげて、世界と戦おうとい
う道。鳥がさえずる地方の穏やかな環境で、お年寄りや子どもにやさしいもうひとつの文明
の形をつくりあげて、都会を下支えする後背地を保っていく道。
思えば戦後の日本、あるいは産業革命以降の先進国は、地方を切り刻んで都会につぎ込み
すぎた。こんな小さな島国が、世界2位の経済大国に成長できたのは誰のおかげであったか、
思いを致すべきだ。「金の卵」たちのおかげなのだ。多くの人材が、豊かで穏やかな農村か
ら輩出されたことを忘れてはならない。良い意味での揺り返しを促し、本来のバランスを取
り戻すべきだ。ただ昔に戻るのではなく、21世紀の最先端を体現した車の両輪で。
人口減少の問題も、無縁社会の問題も。エネルギーや食が自給できない問題も、さらには
次の国際競争を担う産業が生み出せない問題も。現代日本がかかえる様々な問題を、この車
の両輪が解決していくのではないだろうか。
21世紀の人類が掲げるもうひとつのキーワードは「多様性」だ。多様であることこそ豊
かさなのだ。それは「もの」にもいえるし、「ひと」にもいえる。
大量に安く良いものが手に入るのが当たり前の時代。その時代を経た先に、個性が価値に
なる時代がやってくる。いうなれば、世界中の人が安くて温かいユニクロのシャツを首られ
る時代に、田舎のおばあちゃんの手編みのセーーターがもてはやされる時代だ。
人に当てはめれば、こういうことになる。みんながみんな世界と戦う戦士を目指さなくて
もよい。そういう人も必要だし、日本を背負う精鋭は「優秀な勇者」でなければならない。
しかし、その一方で地域のつながりに汗を流す人、人間と自然が力を合わせて作り上げた里
山を守る人もいていいし、いなければならない。そうした環境の中でこそ、人は増えていく
のであり、次の巨代の両者がまたそこから育っていくのである。
そうして日本というシステム全体が、持続可能なものとなっていくのだ。
藻谷浩介 著『里山資本主義』
この項つづく
米運輸安全委員会(NTSB)が22日、航空大手ボーイングの787型旅客機(ドリームライナ
ー)のリチウムイオン電池の安全性を確実にするため、一段の検査を実施するよう米連邦航空局
(FAA)に要請。NTSBはFAAに宛てた書簡の中で、より精密な検査法を開発し、ボーイ
ングに検査実施を義務付けるほか、787型機および他の機種の安全性確保のため、さらなる検
査が必要かどうかを確かめるよう求めたという。なお、NTSBは、リチウムイオン電池や機体
が安全でないとは断言していない。また、ボーイングは、改修したリチウムイオン電池の検査は
NTSBの提言に沿って行ったとし、安全性に自信を示した上で、認証基準の向上に向けた取り
組みを支援していくとした。今回の書簡は、787型機のリチウムイオン電池に焦点を当ててい
るものの、エアバスのA380型機やボーイングの777型機、737型機のリチウムイオン電
池についても言及したと伝えている。
【安全な固体型リチウムイオン電池は夢でない!?】
東北大学大学院工学研究科の高村仁教授と宮崎怜雄奈博士らのグループは、全固体電池のための
新しいリチウムイオン伝導体KI-LiBH4を開発。リチウムイオン蓄電池はモバイル機器や、電気自
動車、非常用電源などに広く利用されているが、その動作電圧が約3.8Vと高いことから、可燃性
の有機溶媒が使用されており、火災や発火事故が起こりうる問題を抱えている。そこで、有機溶
媒に代わり不揮発性・不燃性の固体電解質を用いて、安全な全固体電池の開発がすすめられてき
た経緯があった。
この研究では従来から知られている酸化物系や硫化物系の固体電解質に比べ飛躍的に成形性が高
く、電極材料と良好な接触性を示す水素化物系固体電解質LiBH4 (水素化ホウ素リチウム) に着目。
これまでにLiBH4は115℃以上で安定な高温相においてLi+イオンが高速で移動でき、LiBH4は高容
量負極材料であるLi金属と良好な界面を形成し全固体電池の高出力密度化を実現できる電解質と
して注目されてきたが、高いLi+イオン伝導を示すLiBH4高温相ではイオンの二次元的な伝導を示
唆、結晶のある方向ではイオン伝導性が低く電極反応に寄与できないため、Li+イオン伝導の異方
性を示さない等方的な岩塩型構造のLiBH4に着目し新規材料開発を行っている。
●研究のポイント
(1)岩塩型構造のLiBH4は200℃以上、4万気圧以上の極限状態で存在。固体電解質の応用には
高温高圧下の岩塩型構造の常温常圧安定化が前提→常温安定のKI(ヨウ化カリウム)中にLiBH4
をドープする逆転の発想により岩塩型構造のLiBH4の合成に成功。下図1に示す母格子であるKIの
格子定数がLiBH4の添加量の増加により収縮(=KIの構成イオンであるK+とI-がそれぞれイオン半
径の小さなLi+とBH4-で置換。LiBH4が岩塩型の結晶構造中に溶け込み、常温常圧下において岩塩
型LiBH4が合成されたことを示す)。
(2)合成された固溶体のイオン伝導度の温度依存性は、陽イオン空孔を導入することで伝導度
が飛躍的に向上する可能性があり(下図2)、第3の添加元素探索が必要かどうかが最適組成化
の課題となる。
(3)下図3のLi電極を用いて直流法と交流法で測定した抵抗値はほぼ等しい値となり、この結
果、KI- LiBH4の固溶体中では主にLi+イオンが電流を担っていることを表す。これはドープした
Li+イオン濃度が少ないにもかかわらず、電流はLi+イオンによって担われている。この結果から
Liを全く含まない材料中にLi含有化合物をドープし、Liを“寄生”させることで純Li+イオン伝導
体の合成が可能であることを示唆(この奇妙な伝導機構を“Parasitic Conduction Mechanism”(真
下図))と呼ぶという。つまりは、Parasitic Conduction Mechanism が発現すればLi量に無関係に純
Li+イオン伝導体を合成可能であり、固溶限による制限を受けないため材料選択の自由度が飛躍的
に向上できる技術を世界に先駆け手にすることがきるというわけだ。