懲役1年半、保護観察なしの執行猶予3年。
酒井被告に出された判決です。
もし保護観察が付いていたとしたら、担当者はどんなだろうと想像してました。
保護観察所でも、薬物依存離脱のためのプログラムがあるので他人事ではなかったようです。
しかし今回は、保護観察なしで、処遇プログラムも受けません。
自分の意思で更生に努める執行猶予です。
もし海外へ行くとしても自己申告です。
覚せい剤事犯も再犯となると、同じ執行猶予でも保護観察が付くことが多いです。
法務省が13日に公表した「平成21年版犯罪白書」によれば、
保護観察付執行猶予は8.3%と過去最低だったそうだ。
「一般刑法犯」の検挙者のうち、前科があった率は29.6%、
覚せい剤で検挙された10,776人中、再犯者は57%と他罪と比べて著しく高い。
特に再犯性の高い窃盗と覚せい剤事犯者への特別調査では、
居住・就労状況や監督者、保護観察など「人」が再犯の抑止になる効果を強調されています。
「家族と同居・安定就労」では8割以上が再犯に及ばず、
覚せい剤では居住状況を問わず「無職」が再犯に及ぶ割合が高い。
女子の場合「共犯」がいた場合の再犯は33%、いない場合は15%と、人の影響を受けやすい実態もわかっています。
保護司としてこの13年間に覚せい剤事犯で4人ほど担当しました。
一番最初は、大阪刑務所で服役中の40代の男性でした。
すでに何回も覚せい剤で再犯を重ね、このときで服役は5回目ぐらいだったと思う。
刑期満了までに出所した場合、どこで誰が引受人となるかという調整をしました。
四国で暮らす母親が年老いて引き受けることが出来ないので、大阪在住の従兄弟と折衝を重ねつつも難航していました。
最終的に刑期満了まで刑務所にいたので、保護観察はしなくてすんでホッとしました。
刑務所から届いた手紙の字や内容を見ると、まだまだ抜け切っていないのが怖かったからです。
彼は出所5日後、地方都市でまた逮捕されました。
2番目は30代男性、この時は執行猶予3年で保護観察付。
1年間はトラック運転手として働いていましたが、朝早く夜遅いハードな仕事だったのでそのうちに仕事をやめ行方不明に。
もともと組繋がりの人間関係があったので関係を切ることができなかったのでしょう。
2年ほどして、その人がまた捕まり今度は刑務所行きなので、保護観察所から調整する担当として指名が入りました。
刑務所へ面会に行き再会するのは悲しいことでした。
3番目は30代女性、同じく執行猶予3年で保護観察付。
この3年間無事に再犯を犯すことなく終了しました。
彼女はうつ病ということで仕事をせずに生活保護を受けていたので、病院費用は無料です。
しかし10万円を超える給付金も、家賃5万円と携帯利用料で八割が消えて、パチンコも大好きだったのでお金はいくらあっても足りません。
水道が止まるだのガスや電気が止まるだの言っては大騒ぎ。
対処に追われた3年間でしたが、覚せい剤に手を出さなかったことはよかった。
4番目は二十歳ぐらいの青年、奈良少年院に入ってました。
少年院にもレベルがあり、奈良は再犯のものが多い中等少年院です。
ご両親には何度か会いましたが、最終的に満期までいたので保護観察をすることはなかった。
塀の外に出て支える家族はいるけれど、ちゃんと働いているだろうか…