いいね~おいしいね~

食べたり買って良かったもの等を実体験に基づき厳選紹介!ぜひご利用頂きより良い人生や日本経済等活性化につながれば幸いです♪

「サハラ砂漠の王子さま(たかのてるこ)」という本はオススメ!

2011年02月11日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

「ハラ砂漠の王子さま(たかのてるこ)」の購入はコチラ


「サハラ砂漠の王子さま(たかのてるこ)」という本は、1971年生まれの著者が大学の卒業旅行の経験を書いたものです。

以前このブログで、「ガンジス河でバラフライ」を紹介しましたが、同じ著者です。

 この本では、旅立つまでの就職等の経緯や、パリでのラッキーなホテル宿泊・ルーブル美術館、スペインでの同級生との出会いと観光・命がけのスキー・ハッピーバースデー、モロッコでのリビドー攻撃・美味しいクスクス・大道芸人とのカンフー対決・命がけの砂漠旅行と恋愛等について書かれています。

 とても波乱万丈な旅行で、笑いあり、悲しみあり、感動ありの内容となっています。

まぁほとんど笑ってしまいます^_^;)

とても前向きになれるオススメな本です。とてもオススメです!!


以下はこの本のポイントなどです。

・私はもう精も根も尽き果て、大の字に寝転がったまま、身動きすることもできなかった。自分が生きているのか死んでいるのかも分からない。ここはどこ?私は誰?という感じで、まさに放心状態。少しずつ身体の感覚が戻り始めると同時に、節々がズキズキと痛みだす。痛みを感じて初めて(あぁ、私、生きてるんだ・・・・・)と実感することができた。そこへ、私のスキー板を2本、両手に抱えたアユガスが、シャーッという音と共に現れた。アユガスはガバッと私を抱き起こし、まるで芝居のクライマックスのように、天を仰いで大声で言う。「オ~マイガーッ!! ジーザス・クライストッ!! 僕の心臓が止まりかけたじゃないかっ!」死にそうになったのはこっちだっつうの! それに、いったいそのセリフ、誰に向かって言ってんだよっ!観客なんかひとりもおらんがなっ!アユガスにツッコミたいセリフが山ほど浮かぶが、私にはそんな元気もなかった。立ち上がってみると体のあちこちが痛かったが、幸い大きなケガはないようだ。先で待っていたスギやんと合流し、どうにか気を取り直して、今度は無理をしないように滑り始めた。

・どのテーブルのお客さんからも酒をガンガン注がれ、勧められるままジャブジャブ飲みまくった。全身に喜びが満ち満ちていて、私は自分が下戸だということを忘れてしまうくらい興奮していたのだ。「ハッピー・バースデー」の歌をこんなに大勢の人に合唱してもらったのは、生まれて初めてのこと。しかも、旅先で現地の人たちから祝ってもらうことになるとは夢にも思っていなかった。ひとりでひっそりすごす覚悟だった誕生日は、生涯忘れられない最高の誕生日になっていた。

・「ひどい店だよ!あのオレンジ色の服着てたボーイ、トイレでいきなり私に抱きついてきて、キスしようとしてきたんだよ!」「まぁ彼は若いしさ。出来心だったんだと思うよ。今度あの店に行くことがあったら、オレからも注意しとくしさ、そんなに怒んないでくれよ」おっさんの態度からして、どうやら彼はこの件と関係ないようだった。おっさんがグルでなかったのがせめてもの救いだったが、私の感情は怒りを通り越して、悲しみになっていた。どう考えても、一日の間に2回も襲われるなんて尋常じゃない。確かにフェリーでのことは、私も調子に乗っていて、こちらにも原因はあったと思う。でも、さっきの店で起きたことはなんだ!?私はただ、普通にトイレに行っただけだ。しかも、あんなにきっちりした感じのレストランだったっていうのに!この国じゃ、外国人の女はトイレにも行けないのか!?トイレに行くときぐらい、リラックスさせてくれよ!

・「この国じゃ、男女の付き合いがあんたの国みたいに自由じゃないから、若い男は外国人の女の子を見ると嬉しくて、チャンスだ!って、つい思っちゃうんだよ」おっさんは自分がやったことでもないのに、男の気持ちを代弁するかのように言い訳してくる。「そんなの勝手すぎるよ!私の気持ちはどうなるの?こっちの気持ちを無視して襲ってくるなんて、頭イカレてるよ!」私が反論すると、おっさんはポツリ、ポツリと言う。「そりゃそうなんだけどさ・・・・。わかってくれよ。それが男ってもんなんだよ。こう言ったらあんたはまた怒るだろうけど、オレだって女房がいなけりゃ、今、あんたにチューしたいぐらいの気分なんだ」なんだソレ!?励ましてんのか口説いてんのか、いったいどっちなんだよ!なんなんだ、この国!!やれやれ。私はおっさんの身もフタもない発言に、もう力なく笑うしかなかった。

・私は自分の気持ちを説明するのに必死だった。だが、アイシャは「どうしてわかってくれないの?」という感じで私を諭す。「私はあなたが好き。あなたも私が好き。私は彼が好き。だから、私は大好きなあなたに、私の大好きな彼をプレゼントしたいのよ」ハァ~ッ?そんな理屈あるか?ていうか、それって理屈か!?だいたい、なんでアイシャが私にモハメッドを受け入れるよう説得してんだ!?私は混乱して、頭がどうにかなってしまいそうだった。

・めいめいが大皿に手を突っ込んだ。私もクスクスを手に取り、丸めて口元へと運んでみる。うまっ!!なんてスパイシーで、なんてマイルドな料理なんだろう!大胆な見栄えなのに、味はどこまでも繊細。野菜がクタクタになるまで煮込んであるせいで、素材のもっている素朴な甘さがシチューににじみ出ている。口の中に放り込むとほわほわの幸せが口いっぱいに広がる。アイシャの作ってくれたクスクスも美味かったけど、このクスクスは具が多いせいかさらに美味く、私はもうお母さんが作ったクスクスのとりこだった。「お母さん、私がもし死ぬ前に「もう一度食べたいモノはなんですか?」って聞かれたら、「モロッコの家庭で頂いたクスクスです!」って答えるよ!!」私の言葉に、彼女はホクホク顔になった。「そう言ってもらえると、作ったかいがあったわ。たくさん食べてね!」お母さんが、ひとりひとりに羊肉のかたまりを取り分けてくれる。みんなが肉に手をつけなにので肉を食べるのを遠慮していたのだが、一番おいしい部分である肉は、やはり最後に分け合って食べるのが流儀であるらしかった。

・おっちゃんのひと声で、観客たちの視線が一気に私に集中する。そのうえ芸人のおっちゃんがカンフーポーズを構え、「かかってこい!」と挑発すると、観客たちまでヒューヒュー盛り上がりだした。私もつい乗せられて腕をまくり、ジョーダンでえせカンフーポーズを構えてみた。すsると、まるで「十戒」の海が真っ二つに割れるシーンみたいに人垣がサーッとなくなり、輪の中心へと続く道ができてしまったではないか。いったいどうすりゃいいんだ!?オチは!?おちはどこっ!?
 観客たちが「ウォー!」と歓声をあげ、拍手と太鼓の音が鳴り響く中、ウソ臭いカンフーポーズを構えた私はコチコチに固まってしまった。私のとまどいをよそに、まわりの盛り上がりようといったらない。観客からはすでに「ジャ~ッキー!!ジャ~ッキー!!」とジャッキー・コールまで始まっていて、輪の中は異様な熱気に包まれている。マジで戦うの!?こんな大勢の前で!?カンフーなんてやったことないっつうの!!だが、こんなに盛り上がっている観客を前に、いったい誰が逃げ出せるというだろう。ここまできてしまった以上、もう後には引けない。自分の中にある芸人根性のようなモノに火がつき、体がやけに熱くなってきた。ええい、ままよ!覚悟を決めた私は上着を脱ぎ、ボクシングの試合でボクサーがガウンをリングマネージャーに渡すが如く、塚田くんに向かって上着を放り投げ、ゆっくり輪の中央へ進み出た。決闘の前に、まずは気合を入れているところを見せ、相手を威嚇せねば!手のひらを顔に近づけ「ペッ、ペッ」とヤル気ツバを吐いてみる。あぁ、こーゆーの、一度でいいからやってみたかったんだよなぁ!

・おのれ~、派手にマネしよったな!私は観客からの視線を取り戻すべく、「燃えよドラゴン」の中に出てくるリーの必殺技をマネしてみることにした。私がブルース・リーよろしくクルリとまわってみせると、観客たちはヒーヒー笑い転げての大受け。カンフー対決ならぬお笑い対決は、大興奮の末、結局引き分けに終った。おっちゃんとお互いのファイトをたたえ合い、熱い抱擁を交わす。調子に乗った私は手を振って歓声に応え、握手まで求められてしまう有り様。いい汗をかいて爽快な気分になっている私に、おっちゃんが帽子を差し出し、身振り手振りで言ってくる。「ハイ、チップ入れて!」私が「え~!」とちょっと怒ったフリをすると、おっちゃんは「しょうがないな」という感じで、今度は周囲を取り囲んでいる客を指さして「マニー、マニー」と言ってくる。どうやら「今のファイト料、客から集めてきて!」と言っているようなのだ。人を見世物にしておいて「金払え」というのもどうかと思うけど、「金集めてこい」と言ってくる根性も凄い。まったく芸人の商売根性ときたら!と思いつつ、テンションが上がりまくっていた私はおっちゃんの帽子を受け取り、輪のまわりをまわって金を集めてあげることにした。「ハーイ!カモ~ン!どんどん入れちゃってよ~!」さっきまで格闘芸をやっていた外国人が金集めしているとあって、みんな気前よく小銭を入れてくれる。かなり集まった小銭の山をおっちゃんに渡すと、彼はお礼にミントティーを振る舞ってくれた。冷え込んできた空気の中で飲むアツアツのミントティーは、格別の美味しさだった。

・「寝袋持ってこなかった私がバカなんだってば。ミケル、お願いだから、寝袋に入って寝て。今日だって、どれだけ砂漠を歩くか分かんないんだよ!」その言葉でミケルはようやく頷き、寝袋の中に入った。私は彼の寝袋のチャックを閉めながら、やつれ果てたミケルの真っ青な顔を間近で見て、泣きそうになってしまった。私は今まで、ここまで体を張って誰かに守ってもらったことがあっただろうか。こんなボロボロになるまで耐えてくれていたなんて・・・・・。それでも彼は、私を朝まで自分の寝袋に寝かせてくれるつもりだったのだ。

・今日一日、ここにいたどり着くまで行動を共にしてきて、塚田くんもミケルも、思いやりのある人たちだとは思っていた。彼らのかけてくれる言葉で、歩きがきつかった私はどれだけ救われたことだろう。自分の荷物も相当重いのに、「大丈夫?荷物を持とうか?」と声をかけてくれたり、「歩いているうちに体が楽になってくるよ!」と励ましてくれたりもした。でも、この砂漠徒歩ツアーのメンバーは、本当の本当に優しい人たちだったのだ。見かけや口先で表面的に優しく振る舞うことは、誰にだってできる。私にだってできる。でも、本当の優しさは、こういう極限状態になってみないと、絶対分からないような気がした。正直言って、もし私が自分の寝袋を持っていて私以外の誰かが寝袋を持っていなかったとしても、この強風が吹きすさぶ寒さの中で、即座に自分の寝袋を譲ってあげられる自信はなかったからだ。自分を犠牲にしてでも、他人に対して献身的になれる彼らのことを、尊敬せずにはいられない。どれだけ強がっていても、人間はひとりでは生きていけないのだということを思い知らされてしまう。寒さの中でのぬくもりや、辛いときの優しさが、これほどまでに身に染みたことはなかった。

・「もちろんあんなに寒そうにしている人を見たら、誰だってほうっておけない気持ちにはなるよ。でもあれは、あそこまでしたのは、君に並々ならない気持ちを持っていたからに決まってるじゃないか。僕は寒さに耐えながら、本当に死ぬような思いだったんだよ。君はぐっすり寝ていたから知らないだろうけど、実はあの後また雨が降りだして大変だったんだ」彼は初めて昨夜の寒さに関して弱音を吐いた。「君はさ、僕が砂漠で何かしようとするたびに、子どもみたいにはしゃいだり、驚いたりしていただろう?僕はそんな君の姿がいちいち新鮮で、かわいくて仕方がなかったよ。てるこ、もっと自信を持ってくれ。君は僕の心をこんなにも揺さぶっているんだ。君は本当にチャーミングだし、セクシーだよ。その証拠に、僕は今、君に触れたくて、君を抱きしめたくて、もうどうしようもないよ!」ミケルはそう言って、私の手の上に自分の手のひらを重ねた。彼と触れているその手の甲の部分が、燃えるような熱さを帯びだしている。まるで、そのまま私の心臓まで溶かしてしまうような熱さだ。ミケルがかけてくれる言葉のひとつひとつで、自分のコンプレックスが溶けていくような気がした。心の奥底から怒涛のように激しい情熱が突き上げてきて、私は寒くもないのに小刻みに震えていた。3年間の友達期間を経たうえで付き合い始めた恋人と一緒にいても、私のコンプレックスがなくなることはなかった。それなのに、たった3日間しか一緒にすごしていないミケルが、私のコンプレックスをこんなにも癒してくれているのだ。理由や状況がなんであろうと、そんなことはもうどうでもいいことだった。ただもう、胸が痛くて痛くて痛くてたまらないのだ。彼のことが、いとおしくていとおしくていとおしくてたまらないのだ。息をすることすら苦しい。時間がすぎていくことさえ口惜しい。今、こんなに近くにいる彼が、手を伸ばせばお互い触れることのできる距離にいる彼が、明日になればもう見ることすらかなわなくなってしまうだなんて!


<目次>
はじめに
EUROPE
 またしても、旅立つまで
 ホールドアップ・ド・パリ
 ドゥ・ザ・ライト・観光(正しい観光をしろ)
 スローなスキーにしてくれ
 素晴らしき哉、誕生日!
MOROCCO
 女はつらいよ
 リビドー・ウォーズ
 偽装カップルツアー
 大道芸人とのカンフー対決
 7ヶ月目の浮気
 サハラ砂漠の王子さま
 砂漠からの帰還
 旅立ちの時
文庫本あとがき

面白かった本まとめ(2010年下半期)

<今日の独り言> 
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする