A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ロック解体作業~レッド・クレイオラ「ソルジャー・トーク」

2011年04月23日 00時42分41秒 | 素晴らしき変態音楽
1960年代末にテキサスでメイヨ・トンプソンにより結成されたRed Crayolaの1979年のアルバム「ソルジャー・トーク」収録の「マーチ No.14」という曲は私の記憶中にずっと棲みついている。ふとした弾みに突然頭の中で流れ出すフレーズはオーネット・コールマンの「ロンリー・ウーマン」と融合しどちらか分からなくなってしまうことがしばしばある。どちらのアルバムもアナログしか持っていなかったのでYouTubeで「ロンリー・ウーマン」を聴き直すまで確かめようもなかった。

最近になって無性に「マーチ No.14」が聴きたくなって4年前に奇跡のCD化がされた「ソルジャー・トーク」を中古で手に入れた。このアルバムはアナログ盤リリース当時吉祥寺の輸入レコード屋「ジョージア」で盤が反った不良盤を安く手に入れた。金属的でヒリヒリしたギターと調子っぱずれなヴォーカル、非予定調和の曲構成に"ロック解体"の快感が色濃く敷き詰められているのが気に入って何度も聴き返したものだ。アメリカのアヴァン・パンク・バンド、ペレ・ウブがゲスト参加しているので、てっきりヴォーカルはペレ・ウブのデヴィッド・トーマス(彼もぶっ飛んだ歌唱で知られる)だと思っていたが、CDのライナーでメイヨ・トンプソンであることを知り軽いショックを覚えた。

1979年に私はヨーロッパ旅行をした。ユネスコ主催の高校生対象のパック・ツアーで夜遊びは出来なかったがローマ~パリ~ロンドン~ボンベイと巡る初の海外旅行で見るもの全てが新鮮だった。パンク・ブームは過ぎ去りニューウェイヴ時代に入っていたが、ロンドンでは最新のレコードをたくさん買い込んだ。その中にペレ・ウブの「ダブ・ハウジング」があり、その弾けた(呆けた?)ヴォーカルには衝撃を受けた。そのバンドが参加したアルバム、ということで「ソルジャー・トーク」を手にしたのだと思う。当時は貸しレコード全盛時代でレコードを買うよりも借りてカセットに録音することのほうが圧倒的に多かった。高円寺パラレル・ハウス、御茶ノ水ジャニスといった貸しレコード屋にはマイナーなニューウェイヴやプログレが揃っており重宝したものだ。しかし今思うと現在聴けないカセット・コピーよりも高くてもいいからオリジナル・レコード盤(これも聴けなくなりつつあるが)を買っておけば良かったと思う。

その頃に「ソルジャー・トーク」のレコードを手に入れたのは不良盤とはいえ幸運だったと思う(その後良盤アナログを買い直した)。30年ぶりに聴いても鮮度120%の刺激的なサウンドはどうだろう。時代を超越した魔術の粉が振りかけられているとしか思えない。1990年代になって"K"のRed Krayolaとして活動再開、来日もしているが余り熱心に聴いてはいない。私にとってのレッド・クレイオラの魅力ははこのアルバムに凝縮されているのである。

ロックを
如何に壊すか
試金石

最近1980年前後の音楽ばかり聴いている。クレイオラやレインコーツ、ザ・ポップ・グループ、ジェームス・チャンス&ザ・コントーションズ、グンジョーガクレヨンなど。

コメント
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