マヘル・シャラル・ハシュ・バズのリーダー工藤冬里さんとヘア・スタイリスティックスこと中原昌也氏の共演は2009年12月28日新宿裏窓以来2回目になる。前回は冬里さんはピアノを弾いたが、今回はノイズをやるというからどうなるのか楽しみだった。
台風で風の強い夜、動員は50人くらい。この組み合わせにしては少なかったが熱心なファンばかり。冷房が効き過ぎのスーデラに期待の熱気が広がっていく。
ステージ下手に中原氏の電子機材でいっぱいのテーブル、上手に冬里さんの使うアンプが4台並んでいる。ギターアンプ2台がお互いに向き合ってセットしてあり、なんか不思議な光景。短パンTシャツのやけに軽装な冬里さんがアンプのスイッチを入れると自然にフィードバックして低音のドローン音が流れ出す。そこに中原氏のホワイトノイズが加わり荘厳なノイズ音響が繰り広げられる。冬里さんはベースアンプに発振器を、もう一台のアンプにミキサーを繋いで多重的なフィードバック音を奏でる。中原氏も次第に音を出す機材の種類を増やしマウリッツォ・ビアンキを思わせる脈動するビートを作り出す。壮大な演奏は1時間に及んだ。いつもの二人のユーモラスな面では無くシリアスなプレイは新鮮だった。
ここで休憩だったが、機材チェックでトラブル発生。この日修理から戻って来たばかりの中原氏のEMSシンセサイザーを繋ぐと、スーデラの電気が飛んでしまう。このトラブルでしばらく第2部が始まらなかった。
結局中原氏はEMSシンセを諦め、ヴィンテージのモーグ演奏に変更。冬里さんは金属製の縦笛を吹き、静かなセッションを15分くらいで終了。ちょっと尻切れとんぼ気味だったが久々のノイズに心酔した。
この日は珍しくヘアスタの新作CDRは無し。部屋の片付けで忙しく制作している時間がなかったと言う。遂に中原氏は問題の自室マンションを引き払う決心をしたようだ。代わりに冬里さんとLAFMSのリック・ポッツの共演CDRを注文。限定100枚で後日郵送してくるとのこと。
冬里さん
ノイズ演奏
久しぶり
中原氏はフジ・ロック・フェスにTADZIOのゲストとして出演するとのこと。