A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ユミ・ハラ・コークウェル with フレンズ/及川禅/いとうまく&I T O@高円寺ShowBoat 2013.6.14 (fri)

2013年06月17日 00時13分41秒 | 素晴らしき変態音楽
     

Stoned Soul Picnic Vol.57
プログレ・トランス・サイケの夜!!
【ユミ・ハラ・コークウェル with フレンズ/及川禅/いとうまく&ITO】



今年1月、地下音楽水脈を探る旅の中で辿り着いたBe-2との出会いに関するFB投稿がきっかけで、元Be-2で現在伊勢在住のサイケデリックサウンド最後の伝導師・及川禅が上京し演奏することになった。誠に人の縁というものは不思議なものだ。この投稿をjapanoise.netを主宰するいとうまくが読まなければ実現しなかった。いとうまくと知り合ったのは7年前の灰野敬二との共演であるが、さらに遡ること25年前にノイズ・バンドNORDのメンバーだったいとうを観ていた。灰野のことを知ったのも同時期なので、及川との邂逅は30年の時を隔てた縁の賜物だった訳である。三つ子の魂百までとことわざにあるが、灰野、いとう、及川、そして自分も30年前からの志向・姿勢が変わっていないことに感嘆を覚えずにはいられない。

日本各地の野外レイヴに出演する及川は、出番が真夜中のピーク時ならばトランス、朝方のチルアウト・タイムならアンビエントで演奏すると言う。機材を積んだ車を自ら運転して移動する姿は文字通りのトラベリング・マン。伝道師という呼称はシャレではない。

2003年にスタートしたStoned Soul Picnicはjapanoise.net企画イベントで、いとう自身の様々なプロジェクトに、多彩なゲストを迎えて開催される。今回はいとうのサイケデリック・バンドITO(Inner Trance Organ)、及川のトランス・ギター、アルトー・ビーツで来日したユミ・ハラ・コークウェルのプログレッシヴ・ロック・ユニットの3者による特別編。ジャパノイズのアイドルいとうまくのファン(圧倒的に女性が多く「まく様」と呼ぶ)と及川とユミの古くからの知り合いが混在し、終始アットホームな暖かい雰囲気に包まれた一夜だった。


●いとうまく(G,Vo)&Inner Trance Organ(ITO):烏賀陽弘道(B)、安住希美(Ds)

(写真・動画の撮影・掲載ついては出演者の許可を得ています。以下同)
ITOはいとうのソロ・ユニット。ノイズ演奏ではエレクトロニクスを操るいとうは80年代にChildrenというポップ・ユニットでムーンライダース鈴木慶一のプロデュースでデビュー。ポップ感覚を身につけていることが、他のノイズ・アヴァンギャルド一辺倒のアーティストとの大きな違いである。タイトなビートに乗せて展開する歪んだギターと狂気の歌は決して上手くはないが、聴き手を異世界にワープさせる浮遊感を放つ。よくある情念的なサイケギターではなく、ドライでクールなフレージングはNEU!やCANなどクラウトロックに通じる。




●及川禅(G)

YouTubeで観た野外レイヴの動画通りに、タイダイの布をあしらったテーブルにエフェクターを乗せ、ギターを構えた及川は60年代にヘイト・アシュベリーや新宿に出没していたストリート・パフォーマーの雰囲気。予想外に話好きで、縁の不思議さや自らの生い立ちを語る。気さくな語り口は大友良英に似ている。話の方が演奏より長いと言われるので、とギターを弾き始めると空気が一変。スピーカーから溢れ出す音の波動が空間を虹色に彩る。卓越したギター・コントロールは40年以上ギター即興を追求してきた求道者にしかなし得ない強い意志の力が漲る。圧倒するノイズの壁から繊細な爪弾きまで、自由自在に繰り広げられる音世界が感情の未体験ゾーンへ誘う。陶酔とも浮遊とも異なる不思議な感覚。この異世界への旅が永遠に続くことを望むが、野外で体験したら二度とこっち側へ戻って来れなくなるかも知れない。




●ユミ・ハラ・コークウェル with フレンズ:ユミ・ハラ(Kb,Vo)、いとうまく(G)、宮崎りえ(B)、MEW(Ds)

アルトー・ビーツの日本ツアーが終わったあと、ユミ・ハラ・コークウェルはひとり日本に滞在し様々なミュージシャンと共演ライヴを続けた。この日は、田畑満とのヘヴィ・サイケ・ユニットMAMMAL MACHINEのメンバーの宮崎、アルトー・ビーツ・ワークショップ主催のMEWにいとうまくを加えたスペシャル・ユニットでの演奏。ストーリー性のある緩急豊かな演奏を60分に亘って展開。プログレ的ではあるが、ファンタジックではなくスポンテニアスな即興性とトリップ感のあるジャズロックを展開。ユミのキーボードがオルガンの音色になると途端にカンタベリー風味が広がるのが面白い。ここでもジャーマントランスの香り濃いいとうのギター・プレイが際立っていた。




終演後女性ファンに囲まれていとう・及川・ユミが記念撮影をしていたのが、東京・伊勢・ロンドンの異才が集結した奇蹟の夜を象徴していた。



高円寺
コスモポリタン
夜が更ける

ユミ・ハラ・コークウェル+クリス・カトラー+デヴィッド・アレン=「you me & us」の来日ツアーが10月末~11月に決定したとのこと。

コメント
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