A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

あまちゃんが導く関西NO WAVE 即興音楽シーン~磯端伸一と.es(ドットエス)

2013年06月18日 00時23分46秒 | 素晴らしき変態音楽


NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の大ヒットにより大友良英が大注目を浴びている。間もなく発売のサントラ盤は予約だけで2万枚を超える注文があり、東京で一回だけ開催されるあまちゃんコンサートには定員の10数倍の応募が殺到、テーマ曲が選挙運動に無断使用される問題も発生。大友率いるあまちゃんスペシャルビッグバンドはFREEDOMMUNE 0<ZERO>ONE THOUSAND 2013フェスティバルFUKUSHIMA!に出演する。ほぼ同じメンバーによるフェスティバルFUKUSHIMA!「ええじゃないか音頭」がダウンロード販売中。





●EXISTENCE イグジスタンス/磯端伸一 ソロ&デュオ with 大友良英


あまちゃん効果で大友の本業たる即興音楽活動にも陽が当たることを期待したい。あまちゃん以前にも数々の映画音楽やポップス作品を発表している大友だが、学生時代に高柳昌行の音楽スクールで学んだ前衛音楽家であることは当ブログ読者には周知の事実。高柳との関係には複雑な経緯があり、今でこそ「怖い教室」と冗談めかして語る大友だが、心のわだかまりが長年続いたという。

高柳スクールの同門の即興音楽家が磯端伸一。17年間音信が途絶えていたふたりは2005年に再会し和解。それからさらに8年経って再び共演を果たした。それが「EXISTENCE / SHIN'ICHI ISOHATA guitar solo & duo with OTOMO YOSHIHIDE」。大阪のアート・カフェ、シェ・ドゥーブルを拠点に磯端が1996年から続けるライフワーク「series EXSISTENCE」の記録として制作されたアルバムで磯端のソロと大友とのデュオを収録。アコースティック・ギターを中心にした静謐な演奏は、現代音楽/ドローン/アンビエント/クールコンセプトと多彩な表情を見せる。デュオ演奏での大友のノイズギターとの対比が面白い。求道的なシリアスさに貫かれた一枚。ジャケットはシェ・ドゥーブルを経営する版画家・小谷廣代による美術作品。





●darkness/.es

同じく大阪で活動する即興デュオ.es(ドットエス)の新作「darkness」もリリースされた。昨年11月に彼らの活動拠点である現代アートギャラリー「ギャラリーノマル」で開催された「稲垣元則展darkness」でのセッション音源。毎回度肝を抜かれる激情演奏がますます衝撃の度合いを増していることにまたもや煽られる。ギャラリーの深いナチュラル・リバーヴの中に響くカホンの連打とアルトの魂の咆哮が頭骸骨の中で永遠に反響し続け、熱で膨れ上がりいつ爆発するかも知れぬ存在の危機を味わえる。ギャラリーノマルのレーベルからのリリースで、質感に拘った稲垣元則の写真ジャケットを一枚ずつ手作業でセットしたアート作品である。





ストイックな磯端、アグレッシヴな.esと対照的な両者だが、高柳理論の「漸次投射」と「集団投射」といった二極性を思わせるとともに、どちらもアートギャラリーで活動しアートワークをはじめ美術家・芸術家と様々なコラボをする、という点で驚く程共通性がある。両者は共演したことはないが、公私ともに交流があるらしい。関西という個性的な土地が育んだユニークな音楽群には今後とも大いに注目していきたい。

関西NO WAVE
今に繋がる
マル非ワールド

一生非常階段の大友には是非とも「あまちゃん階段」を結成し、潮騒のメモリーズ=能年玲奈+橋本愛を非情の掟に巻き込んでいただきたい。

コメント (2)
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