「黒い安息日」=ブラック・サバスというバンド名は「私の血塗れバレンタイン」=マイ・ブラッディ・ヴァレンタインと双璧を成すオカルト/ホラーなネーミングである。それぞれ『ブラック・サバス/恐怖!三つの顔』(1964年イタリア)、『血のバレンタイン』(1981年カナダ)という映画から命名された。サバスは「人を怖がらせる音楽を作る」というコンセプトで結成され、デビュー作『黒い安息日』以来一貫して悪魔や黒魔術のイメージを追求して43年。マイブラは当初影響されたクランプスやバースデイ・パーティなどガレージ/ゴス系ロックのイメージで名付けられた名前だが、衝撃作『ラヴレス(愛なき世界)』の後22年間沈黙するという神秘のベールに包まれた。どちらも耳障りなファズギターが鳴り響く豪音シャワーにより聴き手を異次元空間に導く。ヴォーカルのインパクトの違いは、70年代と90年代を隔てる価値観の変化によるものであり、同時代に与える酩酊効果は同質であった。
ブラック・サバスがデビューから43年目にして初めて全英アルバムチャート1位とBillboard 200チャート1位を獲得した最新作「13」は、「これは始まりの終わりなのか」という歌い出しの「エンド・オブ・ザ・ビギニング」で幕を開ける。43年前の13日の金曜日に発表されたサバスのデビュー作「黒い安息日」そのままの重く沈み込むギターとヘヴィなビート、オジー・オズボーンの悪魔に魅入られたヴォーカルが流れ出す。極めて70's的であると同時にテン世代の感性を兼ね備えた革命宣言。テン世代ロックが失ったリアルさを体現する。「神は死んだのか?」~「永遠に生きる」~「壊れた精神」。カオス渦巻くテン年代の核心を暴く言葉が並ぶ。飽食の時代の決定打として波紋を呼びそうな暗黒の世界を展開している。
時代を超越した暗黒の帝王オジーの福音は、日本で初めて開催されたメタルの祭典オズフェスに「ももいろクローバーZ」という異物を注入するというテロ行為によって、新世紀へ向けての飽くなき挑戦を声高に宣言すると共に、ももクロの「黒」はブラック・サバスの「BLACK」であるという意図された類似性を提示した。多くのメタラーが信奉する格闘技に於ける異種混合戦が、音楽の進化のためにも最も有用な戦略であることを帝王自ら宣言していることを肝に銘ずるべきであろう。
▼もう少し近づいて2ヶ所を見れば。。。
黒と黒と黒
三つ子の魂
エンドレス
SABBATH BLOODY VALENTINE SABBATH.