Negicco「Melody Palette」~お気に入りのパーティーへ~
第1部「10th Anniversary Party」
結成10周年にして初のオリジナルフルアルバム『Melody Palette』をリリースした新潟出身のアイドルグループ、Negiccoの10周年&レコ発記念ワンマンイベント。2部構成で昼の第1部がこれまでの10年を振り返る内容、そして夜の第2部がこれからを示唆する内容。その第1部に参戦した。その前に渋谷109 Men'sに寄り、BiS階段×RAGEBLUEコラボTシャツとでんぱ組.inc×YONE×DOWBLコラボPHOTO BOOKをGETというDDアイヲタ行動を決行。ヲタクで結構コケコッコー(死語)。
BLAZEは歌舞伎町にあるキャパ800人のホール。以前DCPRGを観て、見晴らしと音響がいいのに感動した。場所柄ヴィジュアル系・アイドル系・ダンス系のイベントが多い。炎天下に大勢のファンが待っている。アイドル戦国時代は終わり、多様性の時代が来たと言われるが、それに応じてファンも多種多様である。BiSがノイズと合体したことはBiSファン=研究員にパンクやハードコアのファンが多いので熱狂的に迎えられた。でんぱ組.incはガチアキバ系なので萌え系アイドル&アニヲタの多大な支持を誇る。バニラビーンズはモデル顔負けのオサレさんなので、ギョーカイ系にファンが多い。で、Nigiccoはご当地アイドル&10年の活動歴&レアグルーヴ&渋谷系のスタイリッシュな音楽性により、真面目な音楽好きのファンが多いように思える。年齢層は比較的高く、あとで考察するように単なる憧れの対象=偶像を超える愛情を抱いている。すなわち温かいアットホームなムードが会場に満ちている。初参戦者も多いようだが、肝いりファンに囲まれても気後れすることはない。
物販で先行発売のアナログ盤を購入。ももクロ、BiS階段に続くアイドルLPは、30センチ大のジャケットが愛おしい。Negiccoの長年のパートナーconnieのDJは8・90年代アイドルソングのノンストップミックスで、楽曲の良さと踊れるビートが現在のアイドルブームの礎であることがよく分かる。ビートに合わせて身体でリズムを取っていれば退屈しない。メンバー自身の噛み噛みの前説が微笑ましい。時間になり照明が落ちると、スクリーンに日記風のヒストリービデオが投射される。2003年新潟の名産品「やわ肌ねぎ」のPRキャンペーンで期間限定で結成されたユニットがレギュラー化し、紆余曲折を経て現在に至るまでの歴史が、その時々の楽曲のライヴパフォーマンスを交えて披露される。何度も全国進出の機会がありながら、その度に地元新潟に根付いた活動を続けたことで、大都会の影響に毒されずアイデンティティを確立できたことは特筆に値する。ガラパゴス的進化とも言えるが、フルアルバムまで10年待ったことは、極めて有意義だった。これから全国的にブレイクするかどうかは運次第だが、10年目のデビューアルバム『Melody Palette』はアイドルを超えて、日本のポップスの歴史に残るハイクオリティな作品に仕上がった。Negiccoのユニークさがよく理解できて、とても充実した気持ちで熱波の中会場を後にした。唯一の心残りは金欠でネギライトが買えなかったこと。アイドル現場を100%楽しむためには応援グッズは欠かせない。
ライヴレポートはコチラ
【考察】アイドルの存在意義とは?
Negiccoをはじめ、LinQ(福岡)、ひめキュンフルーツ缶(愛媛)などご当地アイドルの全国進出が著しい。終盤にさしかかってますます人気の『あまちゃん』で潮騒のメモリーズや地元系アイドルユニットGMT47が話題になり、ご当地アイドルへの注目が今までになく高まっている。NHKは「全国『あまちゃん』マップ! あなたの町おこしキャンペーン」で"リアルGMT"として48組(東京のみ2組)のローカルアイドルをサポーターに任命した(記事はコチラ)。LinQやひめキュンをはじめ、こんなに多くのアイドルが全国で活躍しているのか!と驚くのはまだ早い。本当に驚くべきは、この48組はあくまで代表であり、それぞれの地域でもっと多くのアイドルが活動しローカルアイドルシーンを形成しているという事実である。例えば7月14,15日二日間金沢で開催された「北陸アイドルフェスティバル」には40組のアイドルが出演、来場者はのべ5000人に上った。出演者一覧を見ると北陸・東海・関東中心にご当地アイドルが集合し、まるで高校野球を思わせる活況ぶりである。
●とちおとめ25(栃木)
●おやゆびプリンセス(石川)
●きみともキャンディ(香川)
今や「アイドル」は芸能のいちジャンルではなく、遊びやスポーツと同じ意味合いで子供たちの生活に根付いている。昨年度から中学校でヒップホップを含むダンスが必修科目になったことは大革命だった。学校で踊ることを教えられて育つ子供たちにとって、アイドルのように歌って踊ることは特別なことではなく、当たり前どころか、いい成績を取るために必要な活動というわけだ。アイドルブームはもうすぐ終わるとか、かつてのアイドルに比べて質が低下したとか、アイドル商法はけしからんとか、いろいろな批判が聞かれるが、ご当地アイドルを必要とするローカル志向と義務教育での必要性を考えれば、アイドル現象が現代日本社会にとって極めて重要であることは火を見るよりも明らかである。
【参考CD1】『JAPAN IDOL FILE』:ローカルアイドル70組以上を集めた5枚組コンピ。かつてのバンドブームとは比較にならないほどクオリティが高い。
Negiccoのライヴ現場に流れる和やかな雰囲気が、小学校の学芸会や運動会に似ていることに気づいた。我が子の成長を見つめる父兄と同じ気持ちを、歌い踊る三人に感じているのだ。ご当地アイドルをサポートするジモティの気持ちも同じだろう。「オラが街のアイドル」を地元一丸となって応援する親心。それこそ人と人の心のふれあいが希薄化する現代社会に於ける「アイドル」の存在意義に他ならない。
【参考CD2】『あまちゃん 歌のアルバム』:あまちゃんオールスターズによる歌の祭典。ご当地アイドル讃歌「地元へ帰ろう」収録。
ご当地アイドル情報が詳しいブログ「KEN爺の小言(KKGT)」はコチラ
アイドルを
応援するため
地元へ帰ろう
●おまけ:ご当地GMT紹介
イギリス→グリニッジ標準時(Greenwich Mean Time)
東京→おはよう東京(Good Morning Tokyo)
カタール→グランド・マート・トレーディング(株)(Grand Mart Trading co.):1970年創業の大手商社。小売店チェーンも経営する。