A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

一生ノイズ人生の極意は「なんとかなる、どうにかなる」~JOJO広重『非常階段ファイル』

2013年08月23日 00時43分20秒 | 書物について


■書名:非常階段ファイル
■著者:JOJO広重
■出版社:K&Bパブリッシャーズ
■価格:3,000円+税

"キング・オブ・ノイズ"と称され、関西音楽シーン・日本ノイズシーンでその名を知らないものはいない伝説のバンド「非常階段」。
その音楽性と同時に多彩なコラボでも知られる「非常階段」のコラボレーションの歴史を一冊にまとめた書籍が8月12日に発売する運びとなりました。2010年に発売された「非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE」を非常階段の正史のドキュメンタリーとすると、こちらは非常階段のサイドストーリーともいえる内容です。古くは80年代の「スター階段」「原爆階段」から近年話題になっている「もんじゅ君階段」「初音階段」「BiS階段」まで。14に及ぶ非常階段のコラボの背景がJOJO広重氏本人により、克明に描かれております。
12のコラボレーション企画のライブ映像を収めたDVDも付属。約60分、貴重映像多数で非常階段コラボの歴史を一挙に振り返ることができます。
30年に渡る非常階段コラボの歴史をまとめてどうぞ。
K&Bパブリッシャーズホームページより)

収録コラボ企画一覧(括弧内は共演者名)
スター階段(スターリン)・原爆階段(原爆オナニーズ)・S.O.B.階段(S.O.B)・サバート階段(SUBVERT BLAZE)・とうめい階段(とうめいロボ)・ACID MOTHER階段(ACID MOTHERS TEMPLE)・原爆スター階段(原爆オナニーズ&スターリン)・Jazz非常階段(坂田明&豊住芳三郎)・もんじゅ君階段(もんじゅ君)・BiS階段(BiS)・POWER階段(POWER EMPIRE)・3階33段(3月33日)・初音階段(初音ミク)・頭脳階段(頭脳警察)



思いがけない非常階段本第2弾。表紙にBiS階段ミッチェルの写真を使って研究員に売り込むあざとさは流石商売人のJOJO広重だが、この本を読んで実感するのは、広重が昭和末期の地下カオスカルチャー出身者にしては、誠に理路整然とした思考回路の持ち主である、ということ。わけの分からないこと、人に嫌われること、自分自身であること、を実践した30年以上の活動の原動力のひとつが、「成り行き任せ」だったという真相暴露本。それがトラップでもスクープでもないことは、広重の真っすぐな語り口に明らかだ。騙されるな、との声もあるだろうが、上告されたとはいえ、第2審で無罪を勝ち取った男を信じてみてもいいじゃないか。

それぞれのユニットがどのように企画され実現に至り、その結果何を得たのか、広重が事細かに語り尽くす。嬉しいのは、登場するコラボ企画の半数を自分自身で体験し、ブログでレポートしていること。ひとりの観客の感想を、企画者・演奏者である広重の述懐と対比出来て面白い。広重の意図がかなりの部分聴き手に伝わっていることが分かるだろう。

●ACID MOTHERS階段⇒コチラ


●原爆スター階段⇒コチラ


●JAZZ非常階段:2012.4.9⇒コチラ / 2012.9.23⇒コチラ / 2013.4.6⇒コチラ


●BiS階段:2012.11.18⇒コチラ / 2013.8.7⇒コチラ / 解析⇒コチラ


●初音階段:2013.2.2⇒コチラ / 2013.6.8⇒コチラ


情報伝達のスピードが速くなる一方の現代社会において、過去の記憶をアーカイヴすることは非常に重要である。SNSの情報は長くても24時間で消滅してしまう。目まぐるしく移り変わるトレンドを追うだけではなく、残すべきものはTLから救い出してアーカイヴしなければならない。そういう意味で非常階段の2冊の書籍は意義深い。当ブログの存在意義の一端もその点にあると言えないだろうか?

UK音楽誌「WIRE」記事
"BiS階段のノイズとJ-POPアイドルの激突は、天国のショットガン・ウェディングである"


ロック愛
溢れる本を
頷いて読む

JOJO広重が白波多カミンに伝授したノイズ処世術は「なんとかなる」と「どうにかなる」、しかし最後のひとつを忘れた。やはりアーカイヴしとかないとアカンね。
コメント (1)
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