A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ノルウェーの変態ジャズコンボ、ラッブルラッブル9月初来日決定!

2013年08月14日 00時47分37秒 | 素晴らしき変態音楽


『Robblerobble/Robblerobble 1』


Drollehala DH9604
 
1. Part I
2. Part II
3. Part III
4. Part IV
5. Part V
6. Part VI

John Lilja: double bass
Petter Frost Fadnes: alto and baritone saxophone
Dominique Brackeva: trombone
Vidar K. Schanche: electric guitar
Stale Birkeland: drums

Produced by John Lilja
Recorded live at Tou Loft, Stavanger Norway 24 April 2010 by Steven Grant Bishop and John Lilja
Live sound: Steven Grant Bishop
Mixed by Margaret Luthar
Mastered by Thor Legvold, Sonovo



ノルウェー第4の都市スタヴァンゲルは、"ノルウェー最大の《スモール・タウン》"と呼ばれ、海岸沿いの美しい街並みと、住民の温かい人柄と、港町ならではのコスモポリタンな雰囲気が特徴。長年に渡りノルウェーで最も即興音楽家を輩出している都市でもある。この街にキッチン・オーケストラという一風変わった楽団が存在する。ジャズ・アーティストから交響楽団のメンバーまで幅広いフィールドで活躍する20数人のプロ演奏家の集合体で、リーダー不在の回転体という形態のユニークなオーケストラである。アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ、エヴァン・パーカー、キース・ティペットなどヨーロッパ即興界の重鎮と共演を重ねてきた。

そのメンバー10人が昨年5月に初来日し、六本木スーパーデラックスで5日間日替わりで日本のミュージシャンと共演を繰り広げた。筆者が観たのは公演初日5月15日スーパーデラックスのレギュラーイベント「Test Tone」での、鈴木學 (electronics)、広瀬淳二 (sax)、高岡大祐 (tuba)、Kelly Churko (guitar)、鈴木郁 (drums)との初顔合わせのセッション。日本側もノルウェー側もお互いの手の内が全く分からない状態での共演だった。それぞれ個性的な日本人演奏家に対して、まったく臆することなく、ヨーロッパらしいユーモアを交えての演奏に、30年前のミシャ・メンゲルベルク&ICPオーケストラの初来日公演を思い出した。

中心メンバーであるJohn Liljaは1970年ニューヨーク生まれのベーシスト/作曲家。バークリー音楽院で作曲を学んだ後、1997年にノルウェーに移り、Frode GjerstadやArve Henriksenなど地元のミュージシャンやエヴェン・パーカー、マリリン・クリスペル、ポール・ニルセン・ラヴなどヨーロッパを代表する即興演奏家と共演するとともに、作曲家としてノルウェー国営放送やオランダ・メトロポリタン・オーケストラ等に作品を提供している。
Johnがキッチン・オーケストラにも参加する演奏家たちと2010年に結成したクインテットがラッブルラッブル(Robblerobble)。ユニークなバンド名はマクドナルドのキャラクターのキャッチコフレーズに由来する。その音楽性は公式バイオに「チャールズ・ミンガスがジョン・ゾーンのネイキッド・シティのソリストとブラック・サバスのリズム隊からなるユニットの為に作曲したようなサード・ストリーム・ストーナー・ロック」と表現され、ノルウェーのプレスではアート・アンサンブル・オブ・シカゴやデューク・エリントンを引き合いに評価されたという。



デビュー・アルバム『Robblerobble 1』はバイオに記された通りの雑多な音楽性が同居している。冒頭の不穏なフォルテが無音に近い静寂に転じ、ごそごそいう物音ノイズから、ハード・ロック風8ビートに乗せたドローンに突入。テリエ・リピダルやフレッド・フリスを思わせる非イディオマティックなフレーズを繰り出すギター・ソロは、プログレ/チェンバー・ロック・ファンにもアピールしそう。再び一転してアトモスフェリックなムードの中トロンボーンが情感豊かなソロを披露、同郷の作曲家グリークに通じる叙情的な世界を描き出す。そのままの雰囲気でウッドベース・ソロが始まる。確かなテクニックに裏付けられた調性のあるインプロはバール・フィリップス譲りか。後半のホーンとギターの絡みにはフランク・ザッパ的ユーモア感覚がある。入れ替わりでアルト・サックス・ソロに場面チェンジ。徐々に調性から逸脱していくフリーキーな演奏は、ドラムの細かいストロークと呼応してアルバム終盤のクライマックスへ上り詰める。エンディングは、再び初めの静寂演奏に帰結し、いつまでも続く余韻を愛おしむように消えていく。6つのトラックが異なる場面を描く音楽劇のような作品である。フィヨルドの静謐さからムーミンのメルヘンまで兼ね備えた豊饒な音楽性には、北欧のローカル都市で人知れずじっくりと育まれたユニークな才能の閃きが満ち溢れている。



Robblerobble "Robblerobble 1"streaming link→コチラ

既にセカンド・アルバムが完成し今秋リリース予定。9月の初来日ツアーでどのような演奏が繰り広げられるのか、楽しみでならない。

ムーミンの
国から変態
やってくる

Robbblerobble Japan Tour


9/18 TOKUZO, 名古屋
9/19 KOBE LIVE HOUSE BIG APPLE, 神戸 Robblerobble(ノルウェー)& GTSVL(ゲイツビル)
9/20 AT HALL, 大分
9/22 NAVARO, 熊本
9/23 YOJIGEN, 福岡
9/26 SUPERDELUXE, 六本木 八木美知依トリオ&Robblerobble

後援:The city of Stavanger, the Norwegian Jazz Forum, and the Norwegian Department of State/Music Norway
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする