JOJO広重の『ぼくはもう歌わないだろう』(2004年)以来11年ぶりのソロ・アルバムがリリースされた。タイトルは『JOJO』(UTECH RECORDS)。自らの名前をタイトルに冠したのはビートルズ『THE BEATLES(通称ホワイト・アルバム)』、シド・バレット『BARRETT(その名はバレット)』に倣った自信の現れであり人生の三里塚とも呼べるかもしれない。
それを証明するようにノーオーバーダブ、ノーエディットの堂々たるノイズ・ギターを聴かせる。過去のソロ・アルバムがノイズ歌謡・ノイズフォーク・ノイズ演歌であり、いわゆる「歌ものブーム」へのアンチテーゼとして機能したのに対して、『JOJO』は完全インスト作品。英文ライナーでJOJOは、ウィトゲンシュタインの『哲学探究』を例にして諸刃の刃としての言葉とサウンドを論じている。
収録された6つのトラックには謎めいたエキゾチックなタイトルが付されている。ジャケットの水墨画から想像するに、おそらくチベット密教をルーツとする仏法哲学用語と思われる。
1 Kechon 結音
2 Shifon 士符音
3 Monepi 喪音非
4 Younapi 妖名非
5 Ano 亜乃
6 Chibou 地位某
この衒学的なテロリズムは、昨年春に非常階段の同胞で広重の竹馬の友とも言えるT.美川が初めて国内盤としてリリースしたソロ・アルバム『Bloody, Innocent And Strategic』に於いて、やはり6つの楽曲に付けられた意味深なタイトルを想起させはしまいか。
1 Bloody, Innocent And Strategic (血塗られ無垢で戦略的)
2 Beyond Internal Split (内的分割を超えて)
3 Bring Impossible Satisfaction(不可能な満足を持参せよ)
4 Breathless Incubus Sophisticated (洗練された息も絶え絶えの夢魔)
5 Burning, Isolated And Spectacular (燃えて孤立して壮大な)
6 Barbarian Introduces Sabotage (野蛮人が破壊行為を導入する)
世界各国の変態音楽愛好家やノイズヲタの頭を悩ませた大いなる謎は未だ解けぬ侭である。
本来何も意味しない「ナッシング」である筈のノイズを武器に、斯様な人智を超えた偏向嗜好性と人名蹂躙の認知キボンヌ主義を標榜する非常階段一派の名前通りの非常識な浪漫痴チストぶりには、吐き気がするほどロマンチックな憧れと妬みを抱かざるを得ない。即ち、観ざる聴かざると云う訳には行かないのが世の常であり、今すぐアルケミーレコードに注文メールを送付するしか道はないのである。
⇒アルケミーレコード公式サイト(クラウドファウンディングのお知らせあり)
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ゆるめるモ!
3/25release
ゆるめるモ!「Hamidasumo!」
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