【勝手に翻訳】
『フリージャズは次に何処へ向かったか:70年代のアンダーグラウンド・ジャズ・レコード 20選』
文:ジョン・デイル(FACT Magazine Wednesday, March 11)
フリージャズは1960年代末から1970年代初頭に「黄金期」を迎えた、というのが一般的な評論家の認識である。.
確かにフリージャズがそれほど社会変動と密接に結び付いた時代はなかった。公民権運動、ブラックナショナリズム、ブラック芸術運動、ヴェトナム戦争への抗議運動、そして啓示と邪悪の両面をもつ「ヒッピー幻想」の中で、フリージャズが提示する壮大な音風景は、リスナーが住む不確定な動乱の時代を反映していた。
ジョン・コルトレーン(1967年7月肝臓癌)とアルバート・アイラー(1970年11月自殺の可能性あり)という二人の先駆者の死により、フリージャズの創造性の炎が消えたという人もいる。実際にアメリカではフリージャズへの支援は途絶えたので、多くのミュージシャンがヨーロッパへ渡った。特にフランスは、フリージャスへの理解があり大きな援助があり、理想的な移住先だった。BYG/Actualレーベルでは、短期間とはいえ、ミュージシャンが自分のヴィジョンを現実化することができた。
しかしフリージャズは終わった、70年代の大部分はフリージャズの休眠期だ、と言う認識は今では重大な間違いだといえよう。70年代にプライベート・プレスとアーティストの自主レーベルにより、ニューヨークのロフトジャズ・ムーヴメントと連動して、以前と変わらず探究心と冒険心に溢れたフリージャズのアルバムが多数投下された。メジャーは勿論、既存のインディーレーベルもフリージャズに対して後ろ向きになったので、アーティスト自身が自己実現の為にDIY精神で、自らの音楽を記録し発表するようになった。もちろんこの手法には先駆者がいた。有名なのはサン・ラのサターン・レーベル。このレーベルから、アーケストラの魅力的で崇高で幻想的なアフロフューチャリストの記録が大量にリリースされた。
プライベート・プレスのレコードはミズーリ、オハイオ、ミシガンなどアメリカ全土から登場した。しかしニューヨークで主にアーティスト自身が所有するロフトで育まれたロフトジャズが受け皿となった。ここにリストアップしたアルバムの多くがロフトジャズの古典でもあることにお気づきだろう。ロフトジャズを俯瞰するには、サム・リヴァースのスタジオ・リヴェラでの演奏シリーズを収録した『Wildflowers: Loft Jazz New York 1976』が最適である。
このリストは現時点手に入る情報をもとにセレクトした未完成のリストである。また20タイトルに限定したため、省かざるを得なかった作品もあることに留意いただきたい。
Rashied Ali
●Black Unity Trio
Al-Fatihah (Salaam, 1971)
●Joe McPhee
Nation Time (CjRecord Productions, 1971)
●Julius Hemphill
Dogon A.D. (Mbari, 1972)
●Clifford Thornton
Communications Network (Third World, 1972)
●Rashied Ali & Frank Lowe
Duo Exchange (Survival, 1973)
●Black Artists Group
In Paris, Aries 1973 (BAG, 1973)
●The Khan Jamal Creative Arts Ensemble
Drum Dance To The Motherland (Dogtown, 1973)
●Michael Cosmic
Peace In The World (Cosmic, 1974)
●Hüseyin Ertunç Trio
Mûsikî (Intex Sound, 1974)
●Jeanne Lee
Conspiracy (Earthforms, 1975)
●Charles Tyler Ensemble
Voyage From Jericho (AK-BA, 1975)
●Milford Graves
Bäbi (IPS, 1977)
●Luther Thomas Human Arts Ensemble
Funky Donkey Vol. 1 (Creative Consciousness, 1977)
●William Hooker
…Is Eternal Life (Reality Unit Concepts, 1977)
●Ensemble Muntu
First Feeding (Muntu, 1977)
Abdul Wadud
By Myself (Bisharra, 1977)
●Synthesis
Sentiments (Ra, 1979)
●Sirone
Artistry (Of The Cosmos, 1979)
●William Parker
Through Acceptance Of The Mystery Peace (Centering, 1981)
●Griot Galaxy
Kins (Black & White, 1982)
ロフトジャズ
ブラックパワーが
炸裂だ
Black Artist's Group Live video - 1973
French concert from Oliver Lake's St Louis group 'Black Artist's Group': Oliver Lake - sax; Baikida Carroll - tpt; Jimmy Jones - gtr; Joe Bowie - conga and tmbone; Donald Robinson - drums.