A Challenge To Fate

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【えいたそ改革論】Chapter6『ひまわり♂洋』ウェラー/デッド/ビーチ・ボーイズ/ファッグスetc

2015年08月05日 02時10分12秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


8月1,2日にTIF=TOKYO IDOL FESTIVAL 2015が開催されたお台場ではフジテレビ主催のイベント『お台場夢大陸~ドリームメガナツマツリ』が8月末まで開催されている。ただでさえ灼熱とヲタ熱でジリジリ焼ける台場シティに家族連れやリア充カップルや外国人観光客が大挙して押し寄せ、人工熱発電の研究には絶好の環境が出現した(残念ながら人工熱研究は我が国では行われていない)。そんな熱大陸の入口近くの程浮気じゃねえや歩道脇に沢山のひまわりが植えられていた。余りの暑さにシューゲイザー宛らに俯き加減だったが、日光に映える黄色の花弁は道ゆく人の目を楽しませていた。



ひまわりアイコンを目の当たりにして、筆者の発熱状態の脳裏に点滅したのは『アキバのひまわり娘。』ことえいたそ☆成瀬瑛美さんの笑顔であった。瑛美さんはTIFの二日後8月4日に再びお台場夢大陸に単身舞い戻り、「成瀬瑛美がアゲアゲでマンガを紹介する番組」公開収録を炎天下で敢行した。平日昼間に仕事をサボってお台場まで行くことなど適わぬしがないサラリーマンである筆者は、駅ビルのパン屋で買ったひまわりパンを齧りながら、海外ひまわり男子に関する報告書を清書する作業に追われた。



第3回『アイコンはひまわり♂洋(外国雄蘂)』

●Paul Weller『Sunflower』


ワイルド・ウッド(Wild Wood)は、元ザ・ジャム、スタイル・カウンシルのポール・ウェラーが1993年に発表した、ソロ名義では2作目のアルバム。オーシャン・カラー・シーンのサイモン・ファウラーとスティーヴ・クラドックがゲスト参加。「サンフラワー」はシングルカットされ全英16位のヒット。

38年前の怒れるパンク少年は、今やスタイリッシュなオトナのモッズ。年齢的には親父だがやはり兄貴と呼びたい。怒れる好青年ぶりも未だ変わらず、昔リッケンバッカー、今エピフォンカジノのギターを掻き鳴らし青筋立てて歌い続ける。熱血漢のトキメキには年齢は関係ないことの生き証人である。




●The Beach Boys『Forever』(from album 『Sunflower』)


ザ・ビーチ・ボーイズが1970年にリリースした『サンフラワー』はブラザー移籍第1弾アルバム。当時は「ビルボード」誌チャート最高151位とセールス的には不振だったが、主要ソングライターのブライアン・ウィルソンやマイク・ラヴ以外のメンバーも、積極的に曲作りに参加して多彩な音楽性を示し、現在では彼らの1970年代の作品で最良の作品と見なされている。

夏だ!海だ!女の子だ!と青春を謳歌したかに見えた浜少年(Beach Boy)のリーダー、ブライアン・ウィルソンが、実は非リアのコミ障だったことは、映画『ラブ&マーシー』(絶賛ロードショー)で描かれた。そんなブライアンが他のメンバーと和解して再出発の為、自らのレコードレーベル「ブラザーレコード」を設立。その第一弾が"ひまわり(Sunflower)"とタイトルされたのは、太陽の花の再生パワーを頼ったのだろう。




●Grateful Dead 『China Cat Sunflower』


1965年にカリフォルニア州サンフランシスコで結成されたサイケデリック・ロックの代表バンド、グレイトフル・デッドの1969年発表の3rdアルバム『アオクサモクソア』に収録。初のセルフ・プロデュースと、当時劇的に革新を遂げつつあった録音技術(16チャンネル使用)が彼らに芸術性、実験性の追求を可能にさせ、独自の音楽性を開花させた。

ドラッグの酩酊状態の長時間演奏が特徴のデッドのレパートリーの中でもとりわけ人気があるのが「チャイナ・キャット・サンフラワー(中国猫のひまわり)」。カントリータッチのメロディーは、ドラッグ抜きでもずっと聴いていたくなる中毒性を持つ。キャプテン・トリップこと故ジェリー・ガルシアのクリアトーン・ギターが冴え渡る。




●The Fugs 『Ah, Sunflower Weary Of Time』


ファッグスは1960年代のアメリカ合衆国、ニューヨークの現代詩人三人によるフォーク、ロックバンドである。ニューヨーク、ビート・ジェネレーションの、トゥリ・カッファーバーグとギリシャ哲学を修め書店「ピース・アイ」を経営するエド・サンダースの詩人二人にテキサス州在住でアメリカ空軍勤務のケン・ウイーヴァーが加わり1964年に結成した。楽器に暴力を振るい目的外の音色で伴奏する「楽器の侮辱」パフォーマンスを展開した。

FUGSの語源はFUCKだと言う。現在はTシャツにプリントされるほど気軽に使われるこの四文字言葉は、60年代には人前で口に出したら即逮捕の禁止用語だった。ニューヨークの反体制詩人が黙っている訳がない。バンド名は勿論、陳腐かつ破天荒な演奏で歌われる詩はオツパイやマリフアナやオXXコなど下衆の極み。ユーモア溢れる反骨心はどんなパンクよりモアパンク、どんなアヴァンギャルドよりもモアアヴァンギャルド。「ひまわりは時間の疲労だ」と逆説的な真実を暴いた。




●MICHAEL YONKERS 『Sunflower』


1947年ミネソタ生まれのSSWマイケル・ヨンカーズは70年代前半に数枚のレコードをリリースしただけの幻の存在だったが、2003年にSUB POPから衝撃の未発音源がリリースされ、ダウナー系PSYCHEDELIC FUZZ KINGの称号を欲しいままにした。現役バリバリでいまだにFUZZをバリバリさせてる。

69年に録音され74年にリリースされていた幻のACID FOLK作品。ホームレコーディングによる弾き語りで歌われるひまわりソングは、ファッグスとは方向は違うが、太陽の花の儚い心を明らかにする極上のアシッドフォークソング。瑛美さんの光と影の後者を担う先達である。




●John Fahey 『Sunflower River Blues』


アメリカの作曲家/ギタリスト/作家/挑発者、ジョン・フェイヒー(1939~2001)。アコースティック・ギターの名手として知る人ぞ知る存在でありながら死ぬまで大きな脚光を浴びることがなかった不遇のミュージシャンである。

「向日葵川ブルース」と和訳すると前川清が歌っても不思議ではない(前川は福山雅治作詞作曲「ひまわり」を歌った)。単純な3コード進行のアルペジオナンバーは、ギター初心者の練習曲としても最適。昔ギターをやっていた瑛美さんも再チャレンジしてはいかがかに?




●The Springfields 『Sunflower』


90年代アメリアン・パワーポップを代表する4人組ヴェルヴェット・クラッシュの前身バンドのひとつがスプリングフィールズ。優良インディーレーベル、サラレコーズに数枚のEPを残した。ネオアコファンには堪えられないキラキラしたギターポップは、USインディーズの隠れた秘宝。

プライマル・スクリームで一番好きなアルバムは1st『ソニック・フラワー・グルーヴ』(1987)。12弦ギターメインのフォークロック~ネオアコサウンドは、その後スタイルを次々変えることになる彼らが無くしてしまったサマー・オブ・ラヴへの初な憧れが120%凝縮されている。同時期1986年にアメリカでスプリングフィールズがリリースした「サンフラワー」も同様に、夏への憧れに満ちた名作である。ひまわりとは「憧れ」を意味するアイコンでもあるのだ。




ひまわりは
洋邦問わず
男女の憧れ

『パイナップル』『バカソング』『ひまわり』と進行してきた【えいたそ改革】は、ゴゴゴゴゴと南国・熱帯地方へと向かっているのかもしれない。


[ひまわり8号] 熱帯海洋域 (4K解像度)/ CEReS, Chiba University
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