グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

今日の雨と、桜島の絵本

2014年06月06日 | 今日の大島
1日中、雨が降り続いている伊豆大島です。
こちらは今日の午後1時頃、用事でホテル椿園さんを訪ねた時の風景。

地面にできた溝の中を、茶色の雨水が勢いよく流れていました。

植物の生えていない地面は、こんなに削られやすいのですね。

ほとんど平らだったところに、もう人の背丈よりも深い溝ができています。

そして溝の向こうでは、工事車両が動いていました。
雨でも休まず、土砂災害を防止するための作業が続けられているようです。

夕方からは雨が激しくなり、午後6時過ぎに北部の泉津地区と岡田地区の計26世帯に避難準備情報が出ました。新たな被害がでないことを祈るのみです。

さて今日は、本の紹介です。

昨年、伊豆大島にジオパークのセミナー講師で来てくれた、桜島ミュージアムの福島さんが書かれた本です。最近アマゾンでも取り扱われるようになったので、購入して読みました。

「ぼくたちは、なんで桜島に住んでるの?」少年とじいちゃんの会話から,活火山の島の暮らしが感じられる第1章。福島さんと子ども達の対話形式で“桜島”という火山がわかる第2章。

第1章はホノボノし、第2章は「へ~!」「なるほど!」と思うことがいっぱいでした。

2010年~2013年、毎年1000回以上の噴火をして火山灰を降らせた桜島には、現在5000人近くの人々が暮らしているそうです。

その暮らしぶりは…
◎桜島には降灰のひどい時に、道路を掃除する「ロードスイーパー」という車が活躍。
◎火山灰を集める専用の袋が住民に配られ、灰は専用の場所に集められる。
◎小中学生はヘルメットをかぶって登校。
◎農家の人たちは土壌を改良し、ビニールハウスで降灰を防ぎ、火山灰に強い椿を植えたりして工夫を重ねてきた。
◎砂防施設が作られ、土石流の被害が減った。
◎毎年大規模な避難訓練が行われる。
◎火山の観測体制が充実。
◎噴火情報をメールで教えてくれたり、天気予報が桜島上空の風向きを教えてくれる。

桜島の人たちの、火山とともにある暮らし…たくましいです!

ところで桜島の人たちは、災害と隣り合わせの島で、なぜ暮らしているのでしょう?
…これは大島で暮らす私たちにも共通する「問い」だと思います。

福島さんは絵本の中で、子ども達からの同様の問いかけに対して、こう答えています。
「それはきっと、災害にさらされている時間よりも、火山の恵みを受けている時間のほうが、ずっとずっと長いからかもしれないね。」

「かもしれないね」と断定しないところが良い感じです。
なぜならこの答えは、それぞれの人が探し続けていくものだと思うので…。

さらに…
「大噴火は、いつか必ず起こるんだ。(でも)大噴火が起きても、桜島の人たちも桜島の自然も必ず復活してきたんだよ。人も自然も本当にたくましい。もしもまた大噴火が起きたとしても、ぼくも必ず桜島に帰ってくるつもりだよ。」とも語っています。

この「ぼくも必ず帰ってくるつもり。」という一言にも、シビレました!
他人の言葉ではなく、自分の気持ちを語ることが一番、聞き手の心に届くと思うからです。

これからも大雨や強風、地震や津波、そして噴火と向き合って暮らす日本の人たちに、ぜひ読んでもらいたい本だと思いました。

(カナ)




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする