利島在住のKさん夫妻が、ツアーをリクエストしてくれました。お2人の職業はイルカのガイドと、林業(椿)。
伊豆諸島の中で、大島から一番近い“利島”で、陸のガイドも視野においての来島のようです。 前日の夜、電話をいただいてから、情報交換ができるのを楽しみにしていました。
三原山を歩きはじめて最初に立ち止まったのは、ハチジョウイヌツゲの木のところでした。
大島では海岸から火口の側まで分布し、どこにでもたくさん生えているハチジョウイヌツゲですが、利島ではほとんど見かけないのだそうです。すぐ隣の島にイヌツゲがいないなんて、とっても不思議…。
「?」で頭の中がいっぱいの私にKさんは「利島は全ての土地が私有地で、自然のままの森が残っていないから、切られてしまったのかもしれません。」と教えてくれました。 「利島は約300年前から椿の植林を始め、約150年前から一生懸命に椿を作りはじめ、今では椿の森がほとんどを占めている」のだそうです。利島にはタネを食べる台湾リスがいないのだそうです。なるほど~。
イヌツゲ談義に花を咲かせる我々の頭上で、イヌツゲの小さな花が元気に咲いていました。
(かわいいです!)
ところで、利島は大島と同じように、粘りけがなく冷えると黒くなることが多い溶岩(玄武岩)を噴き出す火山ですが、島がいつ頃誕生したのかは良くわかっていないそうです。
最後に噴火をしたのは4000年前~8000年前(気象庁HPより) 地表は腐葉土に覆われ、溶岩が見えるところは少ないとのこと…。
「穴だらけの溶岩が積って山を作っている」という証拠を、見てもらいました。
きっと利島の地面の下も、こうなっていると思うのですが…。
しかし不思議なことに、何1000年も噴火をしていない利島にも川がなく、近年まで水の苦労があったそうです。大島は若い火山の島で、地表面が火山灰や溶岩で覆われ水はけが良いから川ができず、昔から水の苦労があったと聞いていましたが、利島はどうなのでしょう??(また謎が増えました)
近い将来、形が変わるであろう火口で記念撮影。
1つ残念だったのは、遠くが霞んでいて「海に浮かぶ利島」の姿を、三原山から見下ろしてもらえなかったこと。
普段は、お2人が眺めている方向に利島が浮かんでいるんですよ~。
さて、この後は昨日も、西側斜面をおりました。
数日晴れが続き、火口の噴気もほとんど目立たず、先日見つけた緑色の“抹茶ロールケーキ”と“抹茶まんじゅう”もこのとおり…
砂糖をまぶしたように白っぽく変化していました。(要するに乾燥してた)
でも、不思議なことに“幻の湖”には、まだ水がタップリ残っていました。
この水の残り具合はなんとも変な感じです。地表は乾いても、地下には水がタップリあって染みにくくなっている…ということでしょうか?(あ、でも噴気は地表面だけの蒸発ではないですよねぇ…?)
風が作り出す水面の小さな波は…
水が引いても、そのまま地面に刻まれます。
「押すとそのまま地面が凹みますよ。面白い!」とKさん。
ホントだ!
下に空気の層があるみたいで、全体が沈みます。 地面の下は、いったいどうなっているのでしょう?
しばらく“模様のついた凹む地面”で遊んだ後、湖畔(?)の散歩。
立派な湖に見えますよね? もう「水溜り」なんて呼ばせません(笑)。
この後、妙に派手な緑色のカメムシや…
葉の上に散った白い花びらのような,エダシャクの仲間。
(
すっかり花びらになりきっているので、近づいても逃げません。)
極小サイズのカタツムリも発見!
…と、いうように、小さな生き物を観察して歩きました。
そういえば、イルカ繋がりの御蔵島には、体が黒いカタツムリが多いとか…ううむ…近いのになぜ違う?伊豆諸島の違いと共通点を調べたら、もしかしたらガラパゴス諸島に負けず劣らず、面白いのではないでしょうか!?
ツアーの終わりにお2人は、コース始まりにあるお土産屋さんで、椿のタネの根付けを購入してくれました。
利島で椿の森の管理をしているKさんが、大島の椿のタネのお土産を買ってくれる…。ナニカがつながったような気がして嬉しかったです。
Kさん、大島を訪ねてくれて、ありがとうございました。 私もいつかきっと、利島に行きますね~。
(カナ)