少し前のことになりますが、10月5日にジオガイドの会主催の講演会に行ってきました。
講師は、今年新しく入ったジオパーク専門員の伊藤舜さん。
まず「特技が快晴のなかで、ナメクジを見つけること」という文章に、心惹かれました(笑)
伊藤さんが、今まで何を研究してきたのかというと…
では「進化」とは?
なるほど〜。興味深いです!
講演内容は、伊豆大島という島の特徴(本土との距離や気象条件など)から、生物間の関わりによって生きものたちが、どう変化していったか?
そして、その変化の理由は、どのように考えられているのか?などを
トカゲ、カタツムリ、虫、植物など、身近な島の生きものたちを例に、わかりやすく教えてくれました。
島の生き物についてもブログで書いてきた私にとって、「え〜!、そうだったの!?」と興味を引かれる話の数々…。
今日は、そのうちのいくつかを、書きとめておこうと思います。
(1)伊豆大島のトカゲは足が長い!
今までは「捕食者のイタチがいるから、(いない島に比べて)トカゲの体温が少し高くなり、素早く逃げられるようになった」ということしか、知りませんでした。
確かに、イタチ以外にヘビも捕食者だし、足の長さも違うのですね!
いつの日か、ヘビやイタチのいない島のトカゲと、足の長さを比べてみたいです💖
(2)大島のカタツムリの仲間(ナメクジ、キセルガイを含む)は、およそ30種!
「そんなにいるの?」と驚きました。
(3)大島には右巻きのカタツムリ(シモダマイマイ)と、左巻きのカタツムリ(ヒダリマキマイマイ)がいるのですが、左巻きのカタツムリは青森県〜石川件〜伊豆諸島に広く分布していて、遠い昔、それぞれ別々に島に入ってきて、たまたま今、一緒にいるだけ、なのだそうです。
なので、時々こういう、目が回っているような(?)写真が撮れるわけですね。
🤣
(4)本土のアカネズミはカタツムリを食べるが、伊豆諸島のネズミは食べない。
よって、本土のカタツムリは樹上生活を送るようになり、伊豆大島のカタツムリは樹上でも地上でも生活する。(シモダマイマイは樹上、ヒダリマキは草地に暮らすものが多い)
(5)種ごとに寿命が違う!
シモダマイマイ(本土のミスジマイマイの亜種で、大島はこれが多い) 寿命5年
キセルガイ(細長い殻を持った陸生の巻貝) 寿命10〜20年
ウスカワマイマイ(畑の野菜を食べにくるカタツムリはこれ!)寿命1年
同じような形の小さな生きものが、こんなに寿命が違うとは、驚きでした!
ちなみにキセルガイ(なにキセルかは、わかりません〜)の殻の写真、下に載せておきます。
(後日、伊藤さんから「ヒクギセルという名前の、房総南部と神奈川の海沿い、伊豆半島、伊豆諸島にだけ分布する貝です」と教えてもらいました!)
(6)カタツムリは平安時代の島人の、食べカスを食べにきていたかも!?
元町にある平安時代の遺跡の貝塚にヒダリマキマイマイの殻が出ているが、これは人間がカタツムリを食べていたのではなく、人間が食べた後の貝殻を食べにきていたのではないか?とのこと。左巻きのカタツムリは、随分昔からこの島で暮らしていたようです。
この他、いろいろ質問もさせていただき、今までの疑問が一気に解決しました!
たとえば、2014年8月、オオミスジコウガイビル(細長くて黄色い紐みたいな生きもの)とカタツムリが出会ったとき、
互いに無視して、素通りして行くのを見た時は、「あれ?カタツムリは食べられないの?」と疑問だったのですが、
オオミスジコウガイビルは、ミミズ食なのでカタツムリは食べないのだそうです。
2017年8月に、森の中で、ミミズを捉えているオオミスジコウガイビルを見たのを思い出し
「ミミズ食」ということにも、納得しました!
カタツムリを食べるのはクロイロコウガイビルのようです。
普段はあまり見かけませんが、2018年9月、樹海でクロイロコウガイビルの写真を撮っています。
黒いし小さいから目立たないだけで、森の中にも、結構いるのかもしれませんね(探してみよう!)
今年の5月には、マイマイカブリがナメクジを抱えながら歩いているシーンに出会いました。ナメクジは貝殻はないけどカタツムリの仲間らしく
「だから捉えていたのか!」と納得しました。
マイマイカブリを見かける機会は以前より減っている気がするので、「飛べない甲虫が島で生き抜くのは大変だろうなぁ」と思っているのですが、カタツムリを食べるチャンスがあれば、襲いかかるようで…
2012年9月10日には、マイマイカブリの幼虫がカタツムリに襲いかかり、反撃される現場も目撃しています。(その時のブログは
こちら)
大地と生きもののつながりも、生きもの同士のつながりも、知れば知るほど面白いです☺️
最後に伊藤さんの特技、「晴れた日にナメクジを見つける」のコツを聞いたところ
「ナメクジの気持ちになることです」とのことでした🤣
ナメクジは暗くて湿気のある狭いところが好きなので、日光の入らない小さい穴などを探すと中に入っているそうです。
これからフィールドで不思議な生きものたちの行動を見かけたら、気軽に聞きに行けると思うと、楽しみです!
(かな)