『毎日新聞』が、ラジオ・フォーラムについて報じている。
ラジオ・フォーラムのaddressは下記。
http://www.rafjp.org/
時流・底流:ラジオフォーラム 報道の明かり、市民が支える
毎日新聞 2014年02月24日 東京朝刊
市民の寄付で運営される異色のラジオ報道番組「ラジオフォーラム」が、1周年を迎えた。
毎日放送(MBS、大阪市)の報道番組「ラジオニュース・たね蒔(ま)きジャーナル」の終了(2012年9月)を惜しんだジャーナリストら有志が、昨年1月に始めた。インターネットによる無料配信の一方、ラジオ局に次々と進出し、現在は全国のコミュニティーFM48局、カナダの日本語放送局のほか、KBS京都▽NBC長崎放送▽RKK熊本放送▽ROKラジオ沖縄−−のAM4局でも放送されている。
「ラジオ報道番組はたくさんあったが、経営悪化で削られてきた。でも、報道番組を求める人は多いということでしょう」と、有志の一人で番組パーソナリティーも務める放送作家の石井彰さん(58)は話す。
ラジオフォーラムは原発問題や特定秘密保護法から「婚活」のあり方まで、多様なテーマをゲストと掘り下げるトーク番組。1回50分の番組で、放送はこれまでに59回を数えた。
1月30日、大阪市内で58回目の収録があった。ゲストは立原啓裕さん(60)。かつて、朝日放送の人気バラエティー番組「探偵!ナイトスクープ」の探偵役を務め、関西のテレビやラジオを中心に活躍してきたタレントで、大阪芸術大客員教授でもある。
テーマは「『探偵!ナイトスクープ』は何が面白かったのか&ネット時代のテレビについて」。大阪の商店街で取材する面白さ、バラエティー番組の劣化、若者たちの「心の折れやすさ」など話題はさまざま。さらに、小出裕章・京都大原子炉実験所助教による原発問題の解説▽卒業式で君が代を起立斉唱しなかったために処分を受けた元府立高教諭の電話インタビュー▽視聴者からの便り−−なども盛り込まれた。
この日、パーソナリティーを務めたジャーナリスト、西谷文和さん(53)は「苦労のしがいがありますね」と笑う。西谷さんはアフガニスタンなどを長年取材し、民放テレビのニュースに時々出演するが、話せる時間は長くても2分ほど。「背景まで説明しようとすれば最低15分は必要。そういう場が日本の民放にはほとんどない。日本全体が事なかれ主義に染まっているような気がする。個人がもっと自由に発言できる社会を作るための場にしたい」
「たね蒔き」は東京電力福島第1原発事故の報道で11年度の坂田記念ジャーナリズム賞特別賞を受賞するなど評価が高かった。打ち切りのうわさを耳にした石井さん、西谷さんらが「すきすきたねまきの会」を結成、市民から寄付を募ってMBSに存続を働きかけたが、かなわなかった。
「マスメディアの報道機能が衰退し、伝えられるべき情報が埋もれたままになるのではないか」。そう危惧したこの会の中心メンバーが、ラジオフォーラム設立に動いた。石井さん、西谷さんのほか、アジアプレス共同代表の石丸次郎さん▽フリージャーナリストの今西憲之さん▽社会活動家の湯浅誠さん−−が参画している。
課題は資金。元手は「たね蒔き」存続運動で市民500人から集めた866万円で、その後も賛同者から寄付があるが、それでは足りない。ディレクターの大谷知史さん(57)は「資金を食いつぶしている状況。スポンサーに頼らず、お金を確保する方法が他にないか、模索している」と語る。
石井さんは「最近、NHKは問題がいろいろ出てきている。公共放送でもなく民間放送でもない、自らお金を出して支える『市民放送』という形態もあり得ることを、多くの人に理解してもらう、よい機会になるかもしれない」と話す。女性パーソナリティーの起用、地方発のニュースの導入などで充実を図る方針だ。「2年目こそ真価が問われる。幸い、ラジオは身軽です」【日下部聡】
ラジオ・フォーラムのaddressは下記。
http://www.rafjp.org/
時流・底流:ラジオフォーラム 報道の明かり、市民が支える
毎日新聞 2014年02月24日 東京朝刊
市民の寄付で運営される異色のラジオ報道番組「ラジオフォーラム」が、1周年を迎えた。
毎日放送(MBS、大阪市)の報道番組「ラジオニュース・たね蒔(ま)きジャーナル」の終了(2012年9月)を惜しんだジャーナリストら有志が、昨年1月に始めた。インターネットによる無料配信の一方、ラジオ局に次々と進出し、現在は全国のコミュニティーFM48局、カナダの日本語放送局のほか、KBS京都▽NBC長崎放送▽RKK熊本放送▽ROKラジオ沖縄−−のAM4局でも放送されている。
「ラジオ報道番組はたくさんあったが、経営悪化で削られてきた。でも、報道番組を求める人は多いということでしょう」と、有志の一人で番組パーソナリティーも務める放送作家の石井彰さん(58)は話す。
ラジオフォーラムは原発問題や特定秘密保護法から「婚活」のあり方まで、多様なテーマをゲストと掘り下げるトーク番組。1回50分の番組で、放送はこれまでに59回を数えた。
1月30日、大阪市内で58回目の収録があった。ゲストは立原啓裕さん(60)。かつて、朝日放送の人気バラエティー番組「探偵!ナイトスクープ」の探偵役を務め、関西のテレビやラジオを中心に活躍してきたタレントで、大阪芸術大客員教授でもある。
テーマは「『探偵!ナイトスクープ』は何が面白かったのか&ネット時代のテレビについて」。大阪の商店街で取材する面白さ、バラエティー番組の劣化、若者たちの「心の折れやすさ」など話題はさまざま。さらに、小出裕章・京都大原子炉実験所助教による原発問題の解説▽卒業式で君が代を起立斉唱しなかったために処分を受けた元府立高教諭の電話インタビュー▽視聴者からの便り−−なども盛り込まれた。
この日、パーソナリティーを務めたジャーナリスト、西谷文和さん(53)は「苦労のしがいがありますね」と笑う。西谷さんはアフガニスタンなどを長年取材し、民放テレビのニュースに時々出演するが、話せる時間は長くても2分ほど。「背景まで説明しようとすれば最低15分は必要。そういう場が日本の民放にはほとんどない。日本全体が事なかれ主義に染まっているような気がする。個人がもっと自由に発言できる社会を作るための場にしたい」
「たね蒔き」は東京電力福島第1原発事故の報道で11年度の坂田記念ジャーナリズム賞特別賞を受賞するなど評価が高かった。打ち切りのうわさを耳にした石井さん、西谷さんらが「すきすきたねまきの会」を結成、市民から寄付を募ってMBSに存続を働きかけたが、かなわなかった。
「マスメディアの報道機能が衰退し、伝えられるべき情報が埋もれたままになるのではないか」。そう危惧したこの会の中心メンバーが、ラジオフォーラム設立に動いた。石井さん、西谷さんのほか、アジアプレス共同代表の石丸次郎さん▽フリージャーナリストの今西憲之さん▽社会活動家の湯浅誠さん−−が参画している。
課題は資金。元手は「たね蒔き」存続運動で市民500人から集めた866万円で、その後も賛同者から寄付があるが、それでは足りない。ディレクターの大谷知史さん(57)は「資金を食いつぶしている状況。スポンサーに頼らず、お金を確保する方法が他にないか、模索している」と語る。
石井さんは「最近、NHKは問題がいろいろ出てきている。公共放送でもなく民間放送でもない、自らお金を出して支える『市民放送』という形態もあり得ることを、多くの人に理解してもらう、よい機会になるかもしれない」と話す。女性パーソナリティーの起用、地方発のニュースの導入などで充実を図る方針だ。「2年目こそ真価が問われる。幸い、ラジオは身軽です」【日下部聡】