浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】長谷川泰子『中原中也との愛』(角川ソフィア文庫)

2018-05-06 07:55:04 | その他
 村上護が長谷川泰子から聞き取って執筆編集した本である。長谷川泰子という女性が、どういう人生を送ってきたのかが、彼女の語りのなかに描かれる。

 中原中也、小林秀雄・・・・彼らをとりまく文学者、あるいは演劇人らとの交流。とはいっても、彼女は文学者でもなく、演劇で身を立てたわけでもないので、それぞれの分野で主体的に生きたわけではない。それぞれの分野に生きる人々の傍らで、あるときは病的な潔癖症に陥ったときもある。それが原因でか、小林は去っていった。

 彼女の人生は、ひとつの主体としての脈絡をもったものではなく、行き当たりばったりの人生であった。しかしそれでも生きてこられたというのがすごいことだ。彼女の人生にとって、過去はすぐに消え去り、過去は彼女を束縛しない。同時に、彼女は未来を見通すこともしない。ただあるのは、生きている現在だけである。そしてその現在は、集積しない。過去を振り返るときもあるが、過去は現在とは関係しない。

 そういう生き方もあるのだ。

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