浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

今日のニュース

2018-05-10 20:52:18 | その他
 テレビは見ない、新聞は夕方くる、という日常の中で、国会の動きをみつめることをしなくなった。

 今日は、柳瀬という官僚への質問が行われ、テレビでも騒いでいるのだろう。しかし、どうせ事前に何を話し、何を話さないかはきちんと決めてきていることだろう。

 3割の安倍支持の国民、そして創価学会の幹部の言うことをひたすら聞いて従う創価学会信者たち、いずれも専制政治に馴染む方々が協力すれば小選挙区制で低劣な人間が自民党に入って公認をとれば当選するという仕組みができてしまっているから、そして野党には、自民党に入りたい者とか、毅然として専制政治と対峙する者とか、有象無象がいるから、野党が統一することなんかないだろうとたかをくくって、次に選挙があっても専制政治が続けられるだろうと、自民党、公明党の皆さんは思っていることだろう。

 現在の悲惨な政治状況は、小選挙区制が産みだしたものだ。だから私は、今なお、あちこちで、小選挙区制に賛成した元議員や政党を非難し続けている。

 何ごとも歴史があり、何が原因でこうなったのかを知ることが必要だ。戦後鳩山一郎内閣の時だったか、小選挙区制の導入が図られたことがあった。「鳩マンダー」などと言って、正常な政治意識を持っていた人々は反対した。

 しかし細川内閣の時に、そういう歴史を見ないで、小選挙区制に賛成した者たち、今になって、やっとあれは間違っていたと言いはじめる。歴史に学ばない者の憐れな姿である。しかしそのおかげで、日本は専制的な、そして低劣な政治が行われているが、それが是正されない。

 したがって、今日、たとえ国会中継を見ても、何の得られることもなく、変わることもない現実を見せつけられるだけである。私は、最近の政治にはただ呆れて、怒りも出てこなくなった。

 『日刊ゲンダイ』の言うとおりだ。

安倍首相の指示否定…出来レースだった柳瀬氏の参考人招致

 私は、国会のニュースより、下記の記事に未来を見る。

【動画】増えてる…!?京都大学で立て看板闘争が始まってしまう

 こういう抵抗精神が、未来をつくりだすのだ。

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井上ひさし「泣き虫なまいき石川啄木」

2018-05-10 07:15:04 | その他
 図書館から、『井上ひさし全芝居』その4を借りて、「泣き虫なまいき石川啄木」を読んだ。

 井上の遅筆は有名で、その理由は関連文献を読みあさるところから、その時間が厖大であるからだ。だから、井上の「芝居台本」は、歴史的な事実をきちんと踏まえ、それにかかわる歴史観もしっかりしている。だから、私は、歴史上の人物、たとえば小林多喜二などを取り上げる場合も、必ず井上の作品を読む。

 しかし、この啄木を、井上が書いている最中、井上の奥さんに恋人が出来て、井上のもとから去っていくという、井上にとってもっとも困難な時期に書かれたという。啄木の奥さんである節子も、宮崎郁雨との間に不倫めいた問題が生じていた。今になっては、もちろん真偽不明である。啄木と節子との間に生じたこの問題を、井上は自己投影しながらこの台本を書いた。となると、そこには井上の主観が入りこんでいる可能性がある。もちろん台本を書くという行為は主観的な作業であるから、啄木の人生のどういう部分を切りとるかというところに、すでに井上の主観が入りこんでいるのだが、歴史家が歴史を書くときと同様に、そこには他者の批評を前提とする客観性がなくてはならぬ。その客観性が、作品のよしあしに大きく影響する。

 節子の不倫がどうのこうのと言っても、啄木は遊郭に入り浸ったりしているのだから、節子の不倫を啄木が批判する資格はないと思うが、しかし当時の男は、ほとんどの者が遊郭に行っている。倫理的に非難される状況ではない、という歴史的状況があった。倫理的判断は、当該歴史状況を踏まえながらなされなければならない。

 この「台本」を読んでいて、最後の場面で、節子が、日記をすべて燃やせという啄木の遺言を果たさなかったところがでてくる。

 この中さ夫が居る、トドサマがエで、カガサマがエる。それがらみつちゃんがエで、金田一さんがエる。なによりかにより、この中さわだすがエる。だはんて焼いだら、皆、エねぐなつてしまふ。

 つまり、日記には、啄木そのものが描かれているのだ。啄木を知るには、もちろん彼が書いたもの全てが材料になるが、とりわけて日記が最上の資料であろう。

 すべきことが山のようにあるが、そろそろ啄木研究にとりかからねばなンねえ。
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