浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】石井妙子『魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣』(文藝春秋)

2021-10-13 21:02:25 | 

 読後感は複雑だ。本を読んで、新しい知識を得た、いろいろ考えさせられた、感動した・・・と一口に言えるようなものではない。この本に記されたことごとくのものは、空中に浮かんでいて、すとんと落ちてこない。

 ユージン・スミスとはどんな人か、は描かれている。アイリーン・スミスも、家族の歴史も含めて描かれている。二人が協力して撮影した有名な写真についても説明されている。水俣病の歴史もきちんと記されているし、被害者たちの運動も描かれている。

 だがそれらのすべてが、落ち着くところなく、そのまま示されたままなのだ。

 水俣病そのものが、当然であるが、最終的な解決がなされていない、これまでも、これからも解決は存在しないから、なのか。

 私は水俣病に関する本をかなり読んでいるが、これほど読後感がすっきりしないものははじめてだ。だが本当は、こうでなくてはいけないのだろう。問題が、問題として、続いているから。

 ユージン・スミスの水俣病の写真集を買った記憶がある。書庫を探したがみつからない。「入浴する智子と母」という有名な写真。この写真が、家族の希望によりこれ以上公開されないようにしたいということをめぐる「動揺」。

 ユージン・スミスの写真は、それを見る者に「考え、感じる」ことを促す。この本も同じことを求めているように思う。この本を読んで、「考え、感じ」て、と。

 ぜひ読んで欲しい、と思う。

 なお269頁の最後の行、「東京地裁は川本を72年12月に起訴する」とあるが、裁判所には起訴する権限はない。 

 

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立憲民主党という政党

2021-10-13 07:33:09 | 政治

 国会議員というのは、特権階級である。世界最高の報酬をもらい、優雅な日々を送る。庶民の生活とは隔絶した世界である。国会議員だけではなく、地方議員もいなかの小さな自治体を除きかなりの報酬を得る。役所の吏員やふつうの人々からも「先生」と呼ばれる。一年中働かなくても、選挙地盤に少しの利益の誘導をすればあんがい当選し続けることができる。

 市民運動をしてきた私は、議員諸氏は勉強もしない、知識もない人がほとんどであることを知っている。

 さて立憲民主党の議員であるが、議員になって何かをしたいという意欲をもった人もいるだろうが、そういう人は多くはなく、「議員になりたい」ということ、それが目的となっている。議員になれるのなら何党でもいいのだ。本当は自由民主党から出たいが、立候補する選挙区には自民党議員がいるのでやむなく他党から出る、そういう人が多い。

 さて選挙運動をするには人の手を借りなければならない。自民党は業界、公明党は創価学会員、日本共産党は共産党員が動いてくれる。立憲民主党や国民民主党から立候補すれば労働組合が動いてくれる。もちろん連合系の労働組合である。となると、連合系の労働組合には足を向けて寝られない。

 「野党共闘」というが、立憲民主党の議員諸氏は、自民党・公明党政権の悪政を倒すということよりも、自分の選挙で動いてくれる人々を確保するほうが大切なのだ。そのためには、連合系の労働組合のご機嫌をとらなければならない。

 しかし連合という日本最大の労働組合の集合体は、「労戦(労働戦線)統一」という名の下に、右派系の労働組合主導で結成された。右派系の旧同盟系、そして旧総評系の労働組合が所属しているが、基本的には正社員により構成され、企業別の組織となっている。それに「御用組合」が多い。組合の幹部はその後会社の幹部になり、組合幹部の人事は会社の人事総務関係が差配している。そして非正規の労働者が増えている中で、組合の組織率は低い。

 「労働戦線」といわれたが、「戦線」ではない。連合ができてからは、労働組合は戦わなくなった。

 そういう連合のいうことを聞く、ということは、戦うな、ということでもある。立憲民主党議員を信用できない理由のひとつである。ちなみに、立憲民主党議員のなかでいろいろ言う議員は組合依存率が低い人だ。

 小選挙区制、連合結成など、1980年代末から90年代にかけ、日本の政治が改善されないシステムがつくりだされたのである。

 立憲民主党は、そのシステムの重要な担い手なのである。枝野の言動がそれを物語る。

 

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