浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】色川大吉『わだつみの友へ』(岩波書店)

2021-10-15 21:51:09 | 

 色川大吉さんが亡くなった。高校生の頃だったか、当時購読していた『朝日新聞』の日曜版では、「思想史を歩く」という連載があった(その後それは書籍化された)。そこに三多摩地方の自由民権運動の記述があった。私はそれに大いなる関心を抱いた。たしかそれは色川さんが書いていたように思う。

 それ以来、『明治精神史』や『ユーラシア大陸思索行』など、色川さんの本はほとんど読んできた。自由民権100年の集会の時だったと思うが、話をしたこともある。

 私の歴史研究を照らしてくれた学者はたくさんいるが、色川さんはその重要な一人である。しかし色川さんをはじめ、ほとんどが亡くなってしまった。民衆思想史の研究者では、安丸良夫さんが亡くなり、つぎにひろたまさきさんが亡くなり、そして色川さん。生存しているのは鹿野政直さんだけだ。ほかにお世話になった研究者はすべて亡くなられた。何かを書いても献呈する人は誰もいなくなった。寂しい限りだ。

 さて色川さんの訃報を聞き、書庫から出してきたのがこの本。これだけ読んでいなかった。

 色川さんの歴史学には、情熱がある。その情熱は生来のものだろうが、それだけではなく、あの戦争が大きく影響している。戦時下の大学生の多くが国家により殺された。殺されなかった色川さんは、殺された友人たちの魂を担っていたように思う。それが情熱へと転化していた。その思いがこの本には繰り返し記されている。

 本書の中には、友人らの手紙、詩などが掲載されている。その詩の中に、私は「人はのぞみを喪っても生きつづけてゆくのだ」という文を発見し、これに強く同感した。今の私は「のぞみを喪っ」たまま生きているからだ。

 「歴史は為政者らのつくる小さな事実の積み重ねによって進行する。小さな事実だと思って見送っている間に、あるときそれが巨大な「悪」となってわが身にふりかかることがある。」(141頁)

 これが「今」なのだろう。その「悪」をはねかえす力がないことを自覚する。

 色川さんは、いつも終末感を抱いていたように思う。それを抱きながら、それに巻き込まれないように自覚的に生きていた。

 色川さんのご冥福を祈る。

 

 

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テレビメディアの現状

2021-10-15 07:01:42 | メディア

 NHKが自民党・公明党政権の広報宣伝機関であることは周知の事実であるが、その傾向を強めていたテレビ朝日は、まさに自民党の広報機関となった。

 日本のテレビメディアは、産経新聞系列のフジ、読売新聞系の日テレ・・・堂々の布陣となっている。

 わが家のように、テレビを棄てよう!受信設備をなくしてNHK受信料を払わず、Netflixなどを利用すれば良いのだ。

 

岸田首相の総選挙直前『報道ステーション』単独出演に「中立性欠く」と批判殺到!「野党も党首討論でなく単独出演させろ」の声

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この事実は重大だ!知るべきこと。

2021-10-15 06:54:36 | 近現代史

 伊藤さんのこの論考はきわめて重大である。日本の近現代史だけではなく、世界史にとっても貴重な歴史的事実である。こういう事実はもっと掘り起こされなければならないし、また伝えられなければならない。

水銀中毒から原爆開発まで…“水俣病”の原因企業「チッソ」が北朝鮮で行っていたこと

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