浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

次々と読んでゆくいきおい

2024-11-21 19:12:52 | 

 『ブラッドランド』下巻を読み進んでいるのだが、あまりの死者(殺された人)の数が多くて、どこそこで何万人、ここで何万人、合計で数百万人・・・とか、あまりの数の多さに辟易している。表された数には、ひとりひとりの人生があったのに。ヒトラー率いるドイツ、そしてスターリンのソ連、さらにそれに協力した国籍はいろいろの人びとが、殺人者となって、人びとに銃口を向け、ガス室に追い込んでいく。殺害の命令を下すのは、ヒトラーやスターリンであるが、それに協力し、実行する者の多さに、人間とはいったいいかなる存在なのか、と思わざるを得ない。

 今日、図書館に行って、姜尚中本を返却し、あらたに斎藤真理子『本の栞にぶら下がる』(岩波書店)を借りてきた。彼女は、ハン・ガンら韓国作家の作品を翻訳している。 

 だからこの本には、朝鮮半島出身の作家のことが多く書かれている。こういう本を読むと、そこに紹介されていて、いまだ読んでない本を読みたくなる。

 とっても読みたくなっているのが、脱北者のパク・ヨンミの『生きるための選択ー少女は13歳の時、脱北することを決意して川を渡った』という本である。

 そこには、「愛」ということばへの言及があった。北朝鮮において、「「愛」という言葉で表される感情は指導者への敬愛の念だけで、家族、友達、夫や妻に対してその言葉が使われるのを見たことがなかった」という文に、目がとまったのだ。彼女は、「韓国に来て、愛という言葉が人間だけでなく自然や神、動物にまで使われることを知」って、驚いたというのである。

 そして「韓国には、私の知らなかったたくさんの語彙があり、世界を表現する言葉が増えれば、複雑なことを考える能力もより向上する」「自分のなかに育つ言葉がなければ、ほんとうの意味で成長したり学んだりすることはできない。」と。

 ということは、北朝鮮は語彙が少ないということになる。語彙が少ないということは表現する力が弱いということであり、思考や感情が狭くなるということであり、自由がないということでもある。

 ※ついでに記しておけば、今の若者のことばも、語彙が少ないと感じる。日本語には豊かな語彙があり、異なった場に於て、同じ意味のことばでも、異なった言い方がある。語彙が豊富なら、表現力も高まる。そのためには、良書を読むしかない。

 斎藤さんは、その後で、金元祚『凍土の共和国』も紹介する。1984年に出版された。わたしもこの本を、刊行と同時に買って読んで、北朝鮮の真実の姿を、驚きと共に知った。誰かに貸してあげた記憶はあるが、今その本は不明である。

 斎藤さんのこの本、いろいろ知的刺激を受けつつ、明日には読み終えるだろう。

 昨日、ハン・ガンの『別れを告げない』(白水社)が来た。図書館から借りようと思ったが、たくさんの人がついていたので買った。これも読まなければならない。

 あまり人と交わることがなくなっているので、触発を受ける手段は、本しかない。他人との会話から触発を受けることが、めっきり少なくなった。人生の晩年とは、さびしいものだ。

 

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