去る7月11日、世田谷区烏山区民会館で開催された「リサイクルBORO環境学習2021」にて、「服はどこへ行くの?」と題してお話しさせていただきました。
28年前、PTA仲間6人で始められたという、世田谷区における古着回収の先駆け「リサイクルBORO」さん。当社も当初からずっとお付き合いさせていただいていますが、毎年こうした環境学習も行っており、リサイクル関係企業の見学や講演会などをされておられます。
今年はもともと4月末に開催される予定でしたが、東京都における度重なる緊急事態宣言により2度の延期を余儀なくされ、3度目の正直でようやく開催の運びとなったわけです。その間、大変なご苦労がおありだったのだろうと思います。
当然、会場であるホールも間隔を空けての着席、会場へ通じる階段の入口には「ウィルスバスター」という除菌剤を噴霧するアーチ状の設備が設置されていました。
日曜の朝にもかかわらず、50名ほどの来場者。この地域の意識の高さと長年の地道な努力の成果が窺われます。国会議員、都議会議員、区議会議員のみなさんも10名ほど来られていました。
さて、今年の環境学習のテーマは、「今日からできるSDG’s(衣類・紙おむつのリサイクル)」。衣類もおむつも私たちにとって非常に身近な存在です。SDG’sというと何かとても大きな概念で敷居が高いように感じられますが、その核心は私たち一人一人の日常行動であり、決して縁遠いものではありません。そういう意味で、一番身近にある衣類やおむつから目を向けてみるというのはとてもよい試みだと思いました。
僕は前半の衣類の担当で、長年衣類に携わってこられたリサイクルBOROさんには自明のお話しだったかもしれませんが、それでも一般の方々にはとても身近な存在でありながら未だにそのリサイクルについては馴染みが薄いものと思われます。ということで、できる限りビジュアルに、簡単に、しかしながら決定的に重要な部分についてお話しさせていただきました。僕自身も、お話しの後の質疑では今まで気づかなかったような視点が得られ、大変勉強になりました。
また、会場の外では、当社の「
特殊紡績手袋よみがえり」シリーズを展示・販売していただきました。この手袋は、「衣類のリサイクルはどうなっているのか見えにくい」という多くの生活者のみなさまのお声に応える形で、「手元に戻ってくるリサイクル品」の実現を目指し2009年に開発した経緯があります。
第二部は、
一般社団法人NIPPON紙おむつリサイクル協会理事長、須東亮一様より、「大人の紙おむつが大変!」と題してのお話しでした。恥ずかしながら、僕はこの日まで使用済みの紙おむつがリサイクルできるとは思ってもみませんでした。紙おむつは大人用、子供用合わせて年間55万トンも消費されているそうです。しかも、おむつですから使用後はかさが増します。その量、重さにして約4倍。つまり、55万トンが220万トンに膨れ上がるわけです。超高齢化社会の進行により、この量は今後ますます増えていくことになります。
その使用済み紙おむつですが、大手メーカーにより様々な手法でリサイクルする技術が確立されつつあるようです。例えば、水解性でパルプを抽出する方法、粉砕・乾燥し、固形燃料とする方法、下水道を利用し、洗浄して廃プラスチックと汚物を処理する方法、炭化処理する方法などです。こうした技術は、日本だけでなく今後世界中で大いに貢献していくことでしょう。ご講演では写真や映像と共に、これらの技術をひとつひとつご紹介いただきましたが、全く初めてのことばかりで、感心しきりでした。また、僕自身は子供も大きくなってしまいましたし、両親は健在ということで、介護のことが実感として薄いということに気づきました。興味深いお話しをありがとうございました。
土曜は山梨、日曜は東京と目まぐるしい週末でしたが、コロナで様々な活動が制限される昨今にあって、久しぶりに充実したものとなりました。お招きいただき、ありがとうございました。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした