以前ご紹介した三橋貴明さん(http://blog.goo.ne.jp/hardworkisfun/e/21b34ca33dfce82a324a4b838dcfa532)の新著、『崩壊する世界 繁栄する日本-「国家モデル論」から解き明かす』を読みました。
本書は公に入手できるマクロ経済指標を駆使し、ここ数年話題になった9カ国について、各々の国家モデルを同一のフォーマットで分析したものです。同一の分析手法を用いることで都合の良い部分だけを過大または過小評価するような歪みを避け、しかも分かりやすく説明することが可能になっています。
分析の結果、今や誰の目にも崩壊が明らかになった金融バブルがいかに脆弱なモデルであり、しかもそのモデルにかくも多くの国々が国家経済を丸ごと依存し仮初の繁栄を謳歌してきたか。三橋さんの前著『ドル崩壊』では今回崩壊した金融バブルの構造が詳しく説明されていましたが、本書ではマクロ経済分析によって前著よりもより平易に説明されています。本書に登場する経済指標の意味が分からなくてもとりあえず読み進め、再度読み返してみればより分かりやすいと思います。
また、本書ではマスメディアで盛んに喧伝されてきたステレオタイプ、例えば「輸出依存国家の日本は円高になったら崩壊する」、「赤字国債を国民一人当たりの借金に換算するといくら云々」など。ここで詳しく述べることはしませんが、例えば赤字国債の場合、日本では円建てでしかもほとんど日本国民が買っているものなので、当然のことながら日本国民は債権者であるはずです。それを国債発行額を国民の借金として置き換えること自体、普通に考えればおかしいと分かることです。しかし、それにもかかわらずこのような根拠のないステレオタイプがメディアを通じて日本社会に蔓延しているということが、本書を読むと実に良く分かります。
海外資本を呼び込まなければ日本の経済成長はないと唱え、つい最近まで圧倒的に支持されていた、いわゆる「構造改革」は今や崩壊してしまったイギリスやアイルランドの国家モデルを模範としていたこと、自由主義の盟主を自認し各国に市場開放を迫ったアメリカがいまや主要な金融機関を次々と国有化するという社会主義と見紛うほどなりふり構わぬ国益保護に邁進している姿を見て、わが国は自ら「失ってきた20年」を省みる絶好の機会なのではないでしょうか。本書でも述べられていた通り、重要なのは「他がどうしているかではなく、自国がどういう国家モデルを目指すのか」なのです。本書では日本が「構造的に」持っている強み(つい最近まで改革しようとしていたものです)を最終章で列挙し、日本がこの世界的不況からいち早く立ち直るシナリオを提示しています。しかし、「繁栄する」か否かは偏に日本国民が「繁栄する」と思うか否かに懸かっているのだと思います。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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本書は公に入手できるマクロ経済指標を駆使し、ここ数年話題になった9カ国について、各々の国家モデルを同一のフォーマットで分析したものです。同一の分析手法を用いることで都合の良い部分だけを過大または過小評価するような歪みを避け、しかも分かりやすく説明することが可能になっています。
分析の結果、今や誰の目にも崩壊が明らかになった金融バブルがいかに脆弱なモデルであり、しかもそのモデルにかくも多くの国々が国家経済を丸ごと依存し仮初の繁栄を謳歌してきたか。三橋さんの前著『ドル崩壊』では今回崩壊した金融バブルの構造が詳しく説明されていましたが、本書ではマクロ経済分析によって前著よりもより平易に説明されています。本書に登場する経済指標の意味が分からなくてもとりあえず読み進め、再度読み返してみればより分かりやすいと思います。
また、本書ではマスメディアで盛んに喧伝されてきたステレオタイプ、例えば「輸出依存国家の日本は円高になったら崩壊する」、「赤字国債を国民一人当たりの借金に換算するといくら云々」など。ここで詳しく述べることはしませんが、例えば赤字国債の場合、日本では円建てでしかもほとんど日本国民が買っているものなので、当然のことながら日本国民は債権者であるはずです。それを国債発行額を国民の借金として置き換えること自体、普通に考えればおかしいと分かることです。しかし、それにもかかわらずこのような根拠のないステレオタイプがメディアを通じて日本社会に蔓延しているということが、本書を読むと実に良く分かります。
海外資本を呼び込まなければ日本の経済成長はないと唱え、つい最近まで圧倒的に支持されていた、いわゆる「構造改革」は今や崩壊してしまったイギリスやアイルランドの国家モデルを模範としていたこと、自由主義の盟主を自認し各国に市場開放を迫ったアメリカがいまや主要な金融機関を次々と国有化するという社会主義と見紛うほどなりふり構わぬ国益保護に邁進している姿を見て、わが国は自ら「失ってきた20年」を省みる絶好の機会なのではないでしょうか。本書でも述べられていた通り、重要なのは「他がどうしているかではなく、自国がどういう国家モデルを目指すのか」なのです。本書では日本が「構造的に」持っている強み(つい最近まで改革しようとしていたものです)を最終章で列挙し、日本がこの世界的不況からいち早く立ち直るシナリオを提示しています。しかし、「繁栄する」か否かは偏に日本国民が「繁栄する」と思うか否かに懸かっているのだと思います。
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