窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

企業永続の法則-地域と結びついた企業は潰れない!

2019年05月24日 | レビュー(本・映画等)


  大学の大先輩であり、YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)発足のきっかけとなった「みなとみらい次世代経営者スクール」を主催した横浜市企業経営支援財団(IDEC)では常務理事を務められ、弊社が日本初の資源リサイクル団地となる(協)横浜市資源再生卸センターとして、横浜市金沢区福浦に金沢工場(現エコムナ・横浜工場)を開設した折には、金沢工業団地への工場移転に携わっておられた、何かとご縁の深い吉田正博さんがこの度『企業永続の法則』を上梓されました。
 
  吉田さんは、40年にわたり横浜市の中小企業支援事業に携わってこられました。第101回YMSで南学先生のお話にもありましたが、長く米軍に市中心部を接収され、高度成長の波に乗り遅れた横浜がいかにして今日の姿へと変貌を遂げていったのか?本書には、70年代後半以降の横浜の街づくりの苦労が、吉田さんの経験も踏まえ生々しく語られています。1973年生まれ、同時代を横浜市で過ごした僕にとって、まさに身近にあった出来事ばかりであり、大変興味深く拝読しました。マスコミや市民から評価されることの滅多にない地方行政の仕事にあって、吉田さんのような行政マンの地域に対する確固たる信念と情熱、細郷道一元横浜市長や高木文雄元みなとみらい21社長のような度量の大きなリーダーに支えられ、今日の横浜があるのだということを強く感じました。詳細についてはぜひ同書をお読みください。

  さて、吉田さんが長年のご経験から導き出し、同書の中で述べておられるのは、日本企業の99.7%、全従業員数の70.1%を雇用する中小企業は、大企業を中心に構築された主流の経営学とは一線を画した中小企業の経営学を持つべきだということです。とりわけ、グローバル化した中小企業ではなくローカルな中小企業に対してです。この点については、中小企業事業者の生まれであるということも関係しているかもしれませんが、僕自身、学生のころから考えてきたことでもありました。即ち、経営の文化的多元性を認めず、株主利益の最大化を企業の普遍的目的とする主流の経営学に対して、日本企業(特に中小企業)には、この国が伝統的に培ってきた、保持すべき経営の在り方があるのではないかということです。

  では、吉田さんが同書で述べておられる中小企業経営の在り方とは何か?それが本の題にもなっている「永続企業」を指向するということです。永続企業とは以下を目的とする持つ企業を指しています。

1.ステークホルダー(社員、地域、環境、将来世代)の幸福に寄与すること
2.人材、人財を超え、人の存在そのもの「人在」に価値を見出すこと
3.短期的利益、事業拡大、所有者の繁栄より企業の継続に価値を置くこと

  これらを見ると、基本は江戸時代の昔から受け継がれている商人道徳にあることが分かります。特に永続企業を永続企業たらしめる3ですが、日本では鎌倉時代から主君が無能である場合、家臣が合議して主君を軟禁し家を守る「押込」と呼ばれる伝統が武家社会にありました。この伝統は特に幕藩体制において顕著であり、それが町人にも規範として波及したものと思われます。これは世界の中で100年を超える長寿企業が突出して日本に多いことの大きな要因となっていると思います。

  全企業数の99%を占める中小企業が長く継続することにより、地域経済や雇用を守り、地域を維持する。それがひいては国の繁栄を維持することにつながる。それを支援するのは施策が大企業中心に傾いている国ではなく、地方行政の役割であると吉田さんは述べておられます。永続企業を育てるには、創業から20年頃までの創業段階、50年頃までの地域貢献企業段階、100年頃までの永続的成長企業段階、100年以上の永続企業段階、各段階に応じ行政、公益財団、民間が三位一体となったサポート体制が必要であるとのことです。

  2は「企業は人を幸せにする存在である」という考え方です。本書で紹介されている前野隆司氏は、人の長期的な幸福と関連する以下の4つの因子があると述べておられます。

1.やってみよう因子:自己実現と成長
2.ありがとう因子:つながりと感謝
3.なんとかなる因子:前向きと楽観
4.ありのままに因子:独立と自分らしさ

  これらは僕自身が自分の中で「成幸論」と名付けて理解していたことと一致しています。上の永続企業の3つの条件は、この4つの因子を種として満たされていくものと個人的には理解しました。究極的には、自分の「あり方」に集約されるのかなと感じた次第です。それこそ永続的視点と意志がなければ到底たどり着くことはできない壮大な課題を示していただいた気がします。

企業永続の法則 地域と結びついた企業は潰れない!
吉田 正博
幻冬舎


繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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近江直送野菜のお店-花様(梅田)

2019年05月24日 | 食べ歩きデータベース


  だいぶ前後してしまいましたが、去る4月23日、大阪梅田駅近くにある「花様」というお店に行ってきました。近江牛と滋賀県守山市の自家栽培農場から毎日直送する野菜が中心の飲み屋さんです。お店の隣には「近江の駅」という滋賀県農産物の直売所も設けられています。



  例えばこちら、卵の殻を器にした茶碗蒸し。プリンではこういうの見たことあるのですが、茶わん蒸しでは初めてです。小さなスプーンもシャベルの形をしていてかわいい。



  6種類以上の生野菜を盛りつけた、「花様の宝箱」。見た目も楽しい、新鮮野菜。



  滋賀県に海はなくとも、たこつぼ(?)の中でつけて食べるたこわさ。



  さらに厚切りのカルパッチョ。



  中華料理屋で見かけるのとは見た目が全然違う、これは「よだれ鶏」です。



  麻婆豆腐は山椒が効いているというので、気になって頼みました。



  見た目も楽しいお店を紹介していただいたのは、いつもお世話になっている日本筆跡心理学協会の関西地区の皆さんでした。素敵なお店と楽しい時間をありがとうございました!

花様 NU茶屋町



大阪府大阪市北区茶屋町10-12 NU茶屋町 B1F



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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